初めての荷物
「え?今夜も?」
(え?今夜もあの痛い思いを?)
「私はイヤよ!!何でこんな奴と同じテントで寝ないといけないの!!」
ナーサの顔が真っ赤にして怒っている。
「私はいいですよ、だって抱き心地良かったですからね。」
「ちょと、ニナ!!こいつ成人だよ!!何かあったらまずいでしょ!!!」
「そうですね~、そうだ!ナーサが一緒だとそのような心配もないと思うのよね~」
と言いニナがニコニコしながらナーサを見つめる。
「だけど…」
「それにね、抱き心地良かったのよね~、病みつきになっちゃうぐらいに」
「ほへ?」
「それに、今朝のようにトモヤさんを真ん中にして抱き着けば大丈夫よ、実際身動きできていなかったしね。」
「・・・・・・抱き心地いい・・でも・・・」
ナーサが迷いだす、テントから直径10mに退魔結界石で魔物を、テントには、退ムシ、退病気の付与がついてるからだ、外で寝かせて、病気に感染され、PTが力を発揮できないなんて、お粗末でしかないのだから。
しかも抱き心地がいい、抱き枕がないと次の日、体の調子が悪い、とほぼ抱き枕決定の思考になりつつある。
「そろそろいいか?まだ町には1日掛かるからな。」
ヴィルが話を進めようとする。
「トモヤには町に着いたら、冒険者登録をしてもらう、未登録の奴を連れ回す訳にはいかんからな、簡単に説明する。」
テンプレと同じで、身分証明とランク証明の意味合いがあるが、★でランクを分けられている。
★10から始まり★1に、それを超えるランクはあるが、誰もなれていないとの事だ。
ヴィル夫妻が★2でナーサとニナが★8、ヴィル夫妻は半年に1度★2の依頼をこなすことでランクを維持し、後は2人の教育をしているとの事だった。
「詳しくは冒険者ギルドでしてもらえ、荷物をかたづけて行くぞ。」
そこからの皆の動きはすごかった、30分もしないうちにすべての荷物がリュック6個と肩掛け袋1個に収まった。
おれは、テント、食料、魔物の素材、使用度の低く軽い物のリュックとポーションの入った肩掛け袋を1度開けたイベントリーに入れ、重い物、着替えなど入ったリュックを背負う。
イベントリー【重量49.5㎏】【消費MP1】
同じようにアイテムBoxに、ポーションを5個、MPポーションを3個、毒消しポーションを2個入れた。
アイテムBox【10/10】【消費MP1】
「よし、出発するぞ。」
時々休憩を取りながら歩いていく。
戦闘4回、オーク2匹1回、ゴブリン4匹1回、スライム2匹2回だった。
オークは夫妻が、ゴブリンは4人で、スライムはナーサとニナ2人だけで戦った。
そこで分かったのが、ヴィルが盾で攻撃を受け止めたり、体当たりをして体制を崩したり、大剣で切り飛ばす、剣はもしもの時用、前衛
魔法は使えない。
リーリは攻撃魔法で攻撃したり剣に付与して攻撃、前、中衛
魔法は火、水魔法。
ナーサは弓の攻撃と魔法、短剣は護身用みたいだ、中、後衛
魔法は風、土魔法。
ニナは魔法と杖による打撲、後衛
魔法は無属、聖魔法。
どれも危なげなく、簡単に終わる戦闘、だだ俺だけは何もできなかった
「今日はここまでだな、テントを出してくれ。」
「ナーサ、退魔結界石を頼む。」
俺はうつむきながらイベントリーに入れた荷物を出す。
「ん?どうしたトモヤ?」
「俺って役に立ててるのかな?」
「立ってるぞ。」
「荷物を運ぶだけで何もできなかった。」
「それだけでも十分なのだが…」
「できれば戦闘でも何かしたい!」
顔を上げながら訴えた。
「・・・ふぅ~、なら町に着いたら短剣をナーサに習うか?スキルを持ってなくても練習していれば扱えるようになる、うまくいけばスキルも獲得できるかもしれんしな。」
「短剣を?しかもスキルも?」
「あぁ、それで後衛が少しでも厚くなると助かる。」
俺はとりあえず短剣を扱えるよう目標を立てた、まだ短剣を持ってないが。
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