第6話 新生活

幸生は、ホテルから2駅先の分譲マンションの

貸し部屋を借りた。夢のマイホームからすると

手狭ワンルーム。でも、学生時代に戻った気がして

楽しかった。外は、見晴らしがよく、南向きで

南は一面の駐車場で、視線を遮るものは、なかった。家具付き、エアコン、冷蔵庫付きなので

すぐに生活ができた。職場までは40分。

快適だ。ただ、気がかりは、子供。

子供の泣いて不安そうな最後にみた顔が

脳裏から離れない。

それと、松井さんから連絡がないこと。

あの笑顔は仕事の笑顔だったんだ。

そんなことを夕焼けを見ながら、

ぼーと考えていた。


ご飯かいに行こう!晩ご飯の時間だ。


近くのスーパーに買い物に出かけた。

商店街を歩くとそこに彼女がいた。


黄色の光をまとい、彼女は一人

買い物をしていた。


松井さん。自然と言葉が出た。

何しているの? 


近くに、彼女も住んでいることがわかった。

そして、お客様とコンタクトを私用で

とることが禁止されていることも。


松井さんは、次のお休みの日を教えてくれた。

そして、松井さんと夜、食事をする約束を

とりつけた。職場に絶対に迷惑をかけないと

いって、また、ホテルに行くためと、

何でもいえた。必死だった。心の隙間を

うめるため。


ワンルームマンションに帰る足取りは

軽く、初恋のときのような感覚におそわれた。


なんか、忘れていた感覚が帰ってきた。

買い物に行ってよかった。


夕焼けが燃えるような紅色にかわった。


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