第11話 守護天使

 どんどんどん。「お嬢様っ」どんどんどん。「お嬢様っ、旦那様がっ」

 どんどんどん。「旦那様がっ旦那様がっ」どんどんどん。「お嬢様っ」


 「「みなには啓示けいじを授けて有ります。さぁ~お行きなさい」」



 「混ざり合いながら消えて行くぞ」「何処へ帰られるとやろう」

 ぴょこ。「神はいつも、みなの直ぐそばにおられます」

 「えー、お風呂やトイレも見よらすと、ちょっマール、どうして目ば逸らすとっ」


 「私も神に成りたい」ばっちーん。

 「・・・ふぃー、はぁー、いったいなぁー、二人してぇー、息、止まるだろっ」

 「ふっん」ぴょこん!「ふっん」



 「本当に驚きました、旦那様」「よろしゅう御座いました」

 「ナイトハルトも、エルンストも、無事でよかった」


 たったったったったったったったっ、ぱん。「お父様っ」

 「「 「「 「お嬢様っ」 」」 」」「「クララっ」」


 たたたっ、どん。どっさ。「パパっ」

 「おやおや、随分と甘えん坊じゃないか、…ほら、ベットから降りよう」

 「はいっ、お父様」



 「へぇ~、そこそこ広い部屋だな、10畳ぐらいか、クララとマールで7人か、大きなベットだなぁ~」

 「パパとママのお部屋なのだ」「でも、窓ガラス薄いな」

 ぴょこ。「この当時で、こんなに大きな1枚ガラスは、なかなかないっすよ」



 「クララ、お祈りが届いたのね」「はい、お母様」

 「有難うクララ、御蔭おかげでヴォルフガンも、ナイトハルトも、エルンストも、見ている間に傷が治って、こんなに元気になった。不思議な事よね」


 「そうだっ、クララ、私もアリシアも神様のお告げを受けたっ」

 「旦那様、礼拝堂に居たわたくしも妻も、エルンストもその家族も、みんな同じ啓示けいじを受けました」


 「そ、それでっ、どの様なお告げであったかっ」

 「はい、神エヌオカエヌオカ様は、わたくし達の中の一人だけなら救えるが、お嬢様が、う、うぅうお嬢様が、わたくし達も家族である故、みなを救いたいと申され、その代償に呪いをその身に受け止めたと」


 「私も、私も、そう告げられましたヴォルフ」「それで、その先はっ」

 「はい、次に神鬼天竺鼠おにてんじくねずみ(カピバラ)様が、お姿をお示しになり、天使をおつかわしになり、わたくし共を守護し」


 ぴょこん!!!「えっ」

 「呪いを受けたお嬢様を御導きになり、その呪縛じゅばくからおはなちになられると」

 「おーーー、同じだっ、私もその様にお告げを受けたっ」



 「なぁ~、マール、神様達、クララを守護してって、言ってた様に思うんだが」

 「私もそう聞いたと、でも、みんな都合の良い方にとってしもうてぇ」

 ぴょこ。「はぁ~、神様達の名をけがす事になるっすから、言えなかったっす」


 「じゃぁ~守護する事になったのか」ぴょこ。「はいっす」

 「そうなのだ。この日より天使マールエルは、ここにつどっていたヨランカ・ピュージンゲン一族とミュラー一族、アイゼナッハ一族の守護天使となったのだ」


 「へぇ~何か凄いな」

 「本当に凄かよ、だからマールが守護する土地が、今でも飛び地になって名前が残っとると」

 ぴょこん!「えへへへ、でもそれは、今でも私に祈りを捧げる人がいてくれるからっす」


 「この後、うちには、聖ミカエル様の礼拝堂とは別に、パパとママのお部屋の横に、小っちゃな私達の守護天使、マールエル様をあがめる小さな礼拝堂を造ったと。そこにはね、石板にこのお話しと、一番上に神エヌオカエヌオカ様と神鬼天竺鼠おにてんじくねずみ(カピバラ)様の神々こうごうしいお姿と、その下に天使マールエル様と私が描かれとると」


 「でも誰が、クララ姉弟きょうだいいないんだろう」「う~~~ん」

 ぴょこ。「だからミュラー一族とアイゼナッハ一族の子供達が、今も祈りを捧げてくれてるっす」

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