第10話 解呪

 ぷるぷるぷる。「きっ、ききき、聞き届けたり」



 「大丈夫か、あの神様、へたり込んじゃったぞ」

 「私も驚いたとよ、どうしたんじゃろか」


 ぴょこん!「きっ、気にせんでぇ~」「マールなまってるぞ」

 「私なまっとると」「クララ良いんだ」


 「二人共小っちゃな女の子に姿を変えて、後光ごこうしてるけど、マール見たいにまぶしくないぞ」

 「私はまだ勉強中っす、上手く抑えきれないっす」

 「お~~~、天使様も大変かねぇ~」「そっか、やっぱり神様なんだな」



 「こ、これで男達は、天寿てんじゅが訪れるまでこの世にとどまるだろう」

 「呪いについて、お尋ねする事をお許し頂けますか」


 「はぁ、先に、…はぁ、話そうとしたのに、この呪いは、貴方あなたの、…はぁ、よわいを奪い、それをかてとして、男達の魂をこの世に繋ぎとどめるもの」

 「それはいったいどの様なぁ~」


 「貴方あなたは、今の姿のまま、貴方あなたの事を知る者がいなくなったこの世で、悠久ゆうきゅうの時を過ごすのです」

 「では私は」


 「…クララ、貴方あなたに死は訪れず、孤独の中で独り生きるのです」

 「ママやパパがいなくなってもぅ」


 「それだけではないのです。月に一度、血が足りなくなった時、人から血を奪わねばなりません」

 「人の血をすするのですかっ、その様な恐ろしい事出来ませんっ」


 「ならば、かわきにもがき苦しみながら彷徨さまようだろう」

 「そんな」「誓いはなされた。戻る事はかなわぬ」


 「呪い、呪いとおっしゃいました。…く方法は無いのですか」

 「・・・吸血する者、そのまわしき呪いをく方法が、一つだけある」

 「それはどの様な事でしょうか。みずから望んだ事、図々ずうずうしいのは承知しております。でも。お授け下さいませっ」



 「そうか、お父さん達を助ける為に吸血鬼になったのか」

 「他の神様には、御すがりする事が出来なかったとぉ」

 ぴょこ。「他の神様は、なかなか応えてくれないっす」



 「我が呪いをその身に受けたいとし子に、格別かくべつ慈悲じひを持って授けて上げましょう」

 「感謝致します。神エヌオカエヌオカ様」


 「このまわしき呪縛じゅばくくには、チュプヌコ」

 ぴょこん。「true love(真実の愛)っす」


 「・・・このまわしき呪縛じゅばくくには、チュプヌ」

 ぴょこん!「true love(真実の愛)っすっ」


 「…チュプ」ぴょこん!!「true love(真実の愛)っすよねっ」


 「こ・・・・・・このまわしき呪縛じゅばくくには、true love(真実の愛)を得るのです」

 ぴょこん!!!「Yes!清き正しき道へ導いたっすっ」



 「お~、マール、ガッツポーズだなぁ、でもあれ、脅したって言わないか」

 ぴょこ。「私は天使マールエル、迷える子羊に光を指し示し、清き道へ導いたのです」

 「抑揚よくようが無くなってるぞぉ~」


 「マール、神様が言いかけとったチュプヌコって、どげなもの」

 ぴょこん!!!「さっ、さぁ~、何の事っすかぁ~」



 「ぅぅぅうううーーー、かぴたんっ、マールが言わせてくれへん~~~」

 よしよし。なでなで。「天使マールエル、幼女を泣かしましたね」

 ぴょこん!「でも鬼天竺鼠おにてんじくねずみ(カピバラ)様」


 よしよし。なでなで。「貴方あなたは責任を負わねばなりません」

 ぴょこ。「はいっす」


 よしよし。なでなで。「天使マールエル、貴方あなたに使命を与えます」

 ぴょこん!「つつしんでたまわります。神鬼天竺鼠おにてんじくねずみ(カピバラ)様」


 よしよし。なでなで。「殊勝しゅしょうな心掛けです。天使マールエルよ、呪いを受けしこの者が、貴方あなたが定めた『true love(真実の愛)』を得られる様、守護し導くのです」

 ぴょこん!「はいっすっ、あっ、…天使マールエル、必ずや使命を果たします」

 「まぁ~、天使様がわたくしを導て下さるのですか」


 ぴょこ。「そう言う事になったっす。あっ、鬼天竺鼠おにてんじくねずみ(カピバラ)様、近々謝恩会しゃおんかいがあるっすけど、その時は帰ってもいいっすか」

 よしよし。なでなで。「いいけど、天界と現世げんせは時間の速さが違うから、現世げんせから戻る時はルミナスを少し解放して、マーキングしてから帰って、天界からは、そのマーキングの時間に帰る様に」


 ぴょこん!「はいっすっ」

 「鬼天竺鼠おにてんじくねずみ(カピバラ)、眠くなったから帰る」

 「あっ、私もぅ~、マールたん、後宜しくぅ~」

 ぴょこん!「はいっす、まかせるっすっ」

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