第3話 元貴族


 かちゃ。ぴょこ。「持って来たっすよぉ~」

 マールがトレーにティーカップ、ティーポット、コンビニのスイーツを3つ。

 結構、無理無理乗せて持って来た。


 がちゃがちゃ。「クララ、スイーツをどれか一つ取って欲しいっす」

 「分かった」クララがふくれっ面でモンブランぽいのを取る。


 「うぅ~~~、それっすか」「マールが悪か」ぷい。

 ぴょこ。かちゃかちゃ。「まだ怒ってるすっか、私はちゅうのつもりで言ったっすけど」


 クララは、ベットに座り直し、マールは床に座ってトレーをテーブルに置いた。

 ぴょこ。「置く場所が無いから、先にあきがスイーツを選ぶっす」


 「おっ、良いのか」「い、いいっす」

 え~っとミルクプリン。もう一つはぁー、ベリーのかまくらケーキ。


 ベリーにするか。きらきらきら。あっ、眩しいっ。誰だよ星を飛ばしてくるの。

 俺は伸ばした手を引っ込めた。「マール、ベリーの方が良いのか」


 ぴょこん!「へっ、そっ、そんな事ないっす、どっちでもいいっすよ」

 はぁ~、俺もどっちでもいいよ。「あぁ~じゃ俺、こっち」


 ぴょこんぴょこん!「あき、有難うっす、3番目ぐらいに好きっすよ」

 二番ですらないのか。


 ぴょこ。ちゅっ。「天使の祝福っす」

 「あーーーーーーー、マールのあほあほあほぉーーー、あきも何でけんのぉー」


 クララ、言葉がめちゃくちゃだな。

 「良いだろう、マールだし」


 ぴょこ。「その言い方は納得いかないっすね、ほっ、ほら、一口上げるっすから」

 「本当、うそつかへん」


 ぴょこ、ぴょこ。「本当っす、でも一口だけっすよ」

 マールがテーブルに紅茶を配り、トレーは床に置きティーポットはそこに、マールがスイーツを持って、クララの横に座る。


 ぺり、かっぽ。ぴょこ。「はい、一口だけっすよ」

 「ベリーのところが良い」ぴょこん!「もうー、贅沢っす、…はい」

 「うん、…おいひぃ~」どっちがお姉ちゃんだよ。



 沈黙が訪れた。二人共スイーツに集中、話しは。

 俺は紅茶を飲み、もう一度聞く事にした。


 かちゃかちゃ。「聞いちゃ駄目だったか、話しちゃいけない呪いとかそんなか」

 かちゃかちゃ。「…そんな事はなかよ」


 ぴょこ。かちゃかちゃ。「そうっすね。あ~、でも呪いと言えば呪いっすね」

 「えっ、死んじゃうのか」

 ぴょこん!「違うっすよ。吸血鬼っすから逆っす」


 「う~ん、マール、私が話すけん、もう会ってもらえないけど、私のママとパパの事じゃけん」

 ぴょこ。かちゃかちゃ。「そうっすか。クララがそう言うなら私は良いっすけど」


 そしてスイーツを急いで食べると、紅茶を飲んでクララが話し始めた。

 「私のママとパパは、元は貴族なのだ」


 「何で元なんだ」

 「私のママは二女で、お姉さんがおらしたと、パパは三男でお兄さんが二人もいたとよ」


 「兄弟姉妹がいちゃ駄目なのか」

 ぴょこ。「え~っと、貴族の爵位しゃくいやその領地を継ぐのは長男だけなんっすよ」


 「女の子しかいないとこはどうするんだ」

 「私みたいにお婿さんを迎えるのだ。きゃ~~~」

 ぴょこぴょこ。「はいはい、分かったす。そこが貴族の次男三男達の狙い目になるっす」


 「じゃそれ以外の人はどうなるんだ」

 「家を出て、お医者さんとか軍人さんとかになるのが多いっすね」


 「それだけ」

 ぴょこ。「それだけっすよ。後は治めている領地の名前や一族の名前っすね。クララの所はヨランカ・ピュージンゲンっす」


 「じゃぁクララのお父さんも、お医者さんか軍人だったのか」

 「うぅん、パパは、家を出される事が解っていたので、市井しせいの商人の商売を勉強してたの、家を出る時に小さな農園と、そこで働く使用人とわずかなお金を貰ったのだ」


 「良かったじゃん」

 ぴょこ。「余り良くはなかったっす、土地はせていたし、使用人を飢えさせる訳にもいかないし、貰ったお金ではとても養えなかったっす」

 「だからパパは、使用人の人達と商売を始めたのだ」


 「え~~~、それ、ぞくに言う殿様商売ってやつじゃないのか」

 「そうなんだけど、そんなんじゃないけん」

 ぴょこ。「まぁ~、勉強しても素人っすからね。でもそれが逆に良かったっす」


 「えっ、何でだよ」

 ぴょこ。「既に商売をしている人達と取引をしようとしても、商売人の組合やしがらみが有ったりして、上手く行かなっかたっす」


 「全然良くないじゃん」

 「それでね、パパは本家にお願いに行ったのだ」

 ぴょこん!「領主っすからね。パパさんと取引をする商人や商会には減税。パパさんには特権を認める様にお願いしたっす」

 「悪徳貴族」「ちがうもんっ」

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