第2話 怒られなかった。やりたい放題だぜっ。

 どたどたどた。ばたばたばた。

 「いやぁーーーーーーーーっ、ママっママっママーーーっ」

 「なぁ~にぃ~」ぱさっ。「あら、クララどうしたの」

 あーーー、母さんの後ろに隠れやがったっ。


 「あきが、おっぱい触ろうとするぅ~」

 減らないんだから良いじゃないか。

 彼女なんだし、…嫌っ、待て、…俺がそう思っているだけなのか。

 もしそうなら、あれは、…何だったんだ。


 「あきっ、駄目でしょっ、謝りなさいっ」

 「だって、こいつがっ」「謝りなさいっ」


 「…わかったよ、・・・御免」

 「べぇーーーーーーーー」こいつぅーーーーーーーーーー。


 「ほらほら、あっ、マール二人を連れて行って頂戴ちょうだい、今ママお仕事中だから」

 ぴょこ。「はいっすぅ~」

 「まぁ~、相変わらずいやされるわぁ」ぴょこん。「えへへへぇ」


 「あき、駄目よわかった」「へいへい」

 「もうぅ~、何その返事、仕方ないわねぇ~、今度のお誕生に0.01mmをプレゼントして上げるから、それまで待ちなさいねぇ」


 はぁ~、0.01。紙。何に使うんだ。

 「ママさんママさん駄目っす」

 ぽん「もうぅ~~~」何でこいつは赤く成ってんだよっ。


 「ぇぇぇえええ~、ママねぇ~、クララかマールがあきのお嫁さんに来てくれると嬉しいなぁ~」

 ぽん。「あららぁ~~~、クララどうしたのぉ~~~」


 ぽん。「嫌っ」「そうなの、マールゥ~」

 ぴょこん。「私は、こうぅ~、いつもそばで見守っていてくれて、いざと言う時には色々頑張ってくれる、奥手な感じの悪魔的な男の人が良いっす」


 「変な悪魔さんねぇ~、妙に具体的だし、それにそのうれいをびた伏し目がちな瞳」

 ぴょこん!「ななななな、な、何っすか。きっ、気の所為せいっすよっ」


 「えぇーーー、怪しいぃ~、ママ聞きたいなぁ~、マールの恋バナぁ~」

 ぴょこん、ぴょこん。「ほっ、ほら、二人共行くっすっ」

 「私もそれ聞きたいのだ」


 ぴょこん、ぴょこん、ぴょこん。「嫌っすっ、あっ」

 頭のリボン、大き過ぎなんじゃないか、ぴょこぴょこ動いて、…可愛いじゃん。

 「お、俺は良いわ」


 ぴょこ。「と、とにかく二人共部屋に戻るっす」

 「ママ的には、クララもマールもお嫁さんに来てくれると、嬉しぃ~なぁ~」


 ぴょこん。「クララっ、早く部屋に戻るっす」

 「分かった、だから聞かせてくれんと、恋バナ」ぴょこ。


 「あぁー、ねっ、目を逸らさんで、聞かせてっ」

 ぴょこん、ぴょこん。「あきも戻るっす」


 「俺は別にいいよ」ぴょこん!「戻るっすっ」

 「おっ、おぉー、わかったっ」


 ぴょこん!「クララもっ」「はぁ~~~い」

 「クララ、後で聞かせてねぇ~~~」


 ぴょこん、ぴょこん!「ふんっ」お~~~、天使がにらむと怖いなぁ~。

 ぴょこん!「先に行くっすっ」どすどすどす、だんだんだん。

 何やら得体のしれないものをまといながら、二階に上がって行く天使。




 でっ、何で5.5畳しかない俺の部屋に集まるんだよ。

 二人で一部屋だけど、そっちの部屋は8畳だし、二人で使ってるけどクイーンサイズのベットだし、座れるスペースもあるじゃないか。


 「なぁ~、恋バナは自分たちの部屋でしろよ」

 ぴょこ。「そんなのしないっすよ」


 二人してベットに腰かけて占領してるし、俺は床だよ。

 物を置いたり、お菓子を持ち込んだりした時に便利だから、長い方は80cmぐらい、短い方が50cmぐらいの楕円形の小さなテーブルを置いているけど、寄せないと居場所がない。


 「それで、どげん人」

 ぴょこん。「何の話っすかぁ~」


 おっ、折角せっかくだから聞いてみるか。

 「ねぇ~、聞きたかぁ~、どげん人ば好きんなったとぉ~」

 ぴょこぴょこ。「嫌っ、嫌っすよぉ~」


 「なぁ~、二人はどうして姉妹なんだ、クララはどうして吸血鬼になったんだ」

 ぴょこん!「ぉぉぉおおおお、それは聞くも涙、語るも涙っすっ」

 「あっ、そうじゃなくって、マール、恋バナ、ねぇ~、話さんと」


 ぴょこん!「長く成るっすからねっ、お菓子と紅茶を持って来るっすっ」

 すっと。たたた。かちゃ。

 ん、扉を開けて止まった。


「私がいなくなったからって、しちゃ駄目っすよ」

 かちゃ。ばっふっ。「マールのあほぉーーー」俺の枕投げるなよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る