第15話 名前を付ける意味とは (INTERLUDE)
私はやってしまった。内側から溢れ出る彼を好きな気持ちを抑えられずつい感情に任せ名前を付けてと頼んでしまった。
頬が焼かれるように熱くなってくる。
大輔は名前を付ける行為が何を意味するか分からない。だからか、彼は首を傾げている。
数秒沈黙が続きこの間の緊張感に耐えることができない私は、つい命令口調となってしまった。
「さっさと考えろ!」
大輔は訝しむ表情をしながらも名前を考え始めた。
しばらくかかるかと思っていたが案外早く名前を考えたらしく、口が小刻みに動き出す。
だが、声にはなっておらず、名前を口にするのをどうやら躊躇っているらしく、その様子は表情からも見受けられる。
無言で様子を伺っていると、深呼吸をしだし、覚悟する様子であった。
もしかして、名前を付ける意味をご存知で? ...それはないか、異世界人が知る訳がない。
少しドキドキしながら、大輔からの名前を待ち、名前が口にされた。
彼から命名された名前はこの世界では異物感があるような名前であった。
だけど、私は嬉しかった。今までにないほど幸せだった。
名前をもらった、後は名前をある魔法陣に書くだけ。
だが、名前の字が分からなかった。
名前と同じ字で書くのが本当の
大輔に付けてもらった名前の字はどう書くのかと聞くと、大輔はしゃがみ込み"シノ"とカタカナで地面に右の人差し指で書き始めた。
その二文字の字を契約の魔法陣に書き写す。少し苦労した、私が知らない字だから。
何とか書き終え、契約が終了する。
書き終えた瞬間、心臓がばくばく激しく動く。そして、また顔が激しく熱くなる。
とうとうやってしまった...。私は悪い奴だ。
私は大輔を騙すような形で彼を手に入れてしまった。
——なぜなら、名前を付けてもらう意味はこの世界では——
大輔はこの事実を知ったらどう、思うのだろうか。
怖かい。大輔の気持ちを聞くのが...。
しかし、黙っているのは彼に悪い。
だから、城に戻ったらしっかりと話そう。名前を付ける行為が何を意味するのか、そして、好きて事を。
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