この場所はどこで、時代はいつなのか。

 場所はどうやら、彼女の記憶にある彼女自身の国である、つまり凍刑を実施した国であることに間違いはない。だが、時代がいつなのかはわからないらしい。

 コンピューターには日誌が記録されていた。残念なことに、その日誌は西暦二三九八年十二月二十三日で記録されることをやめていた。しかも内容からもその日の業務内容がわかるだけで、人類に何が起きたのかわからない。その日付の日も何か劇的な変化があるわけではなく、作成者の愚痴を含んだその日の活動内容が記されているだけだった。

 その日付が何を意味するのか、それを知る方法はない。そして、それからいったいどれくらいの月日が、年月が経過したのかを知る手段もない。

 地下の食料庫には、少なく見積もっても数十人を数年賄えるだけの食料が保管されているそうだ。彼女が目覚めて間もないころはそれで飢えを凌いでいたらしいが、食料の中に食材の種があることを発見してから、外の土地を耕し、自給自足をするようになった。

 不知火雪と話すうちにだんだんと私の発音もはっきりしてくるようになった。その日眠りに就く前には違和感がないほど流暢に話せるようになっていた。

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