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「以上。これが凍刑。君が受けていた刑罰さ」
――じゃあわたしはそのとうけいでながいあいだねむっていた、と?
「そういうことになるね」
――わたしはとうけいしゅうなのですか?
「そうだよ」
――きおくがないのは、きおくをちゅうしゅつされていたせい?
「そうさ、そのはずさ」
――とうけいというのはしけいにかわるけいばつなんですね。
「少なくとも僕が仕入れた知識じゃあそういうことになるね」
――じゃあわたしはしけいしゅうなんですか?
「死刑囚じゃあないよ。凍刑囚だよ」
――いまもっているきおくは、じんこうてきにつくられたものなんですか?
「そうなんじゃない? 没個性さ」
――なんでそこにとうけいとそれにかんするじょうほうがないんですか?
「さあね。僕は知らないよ。何か不都合なことでもあったんじゃない?」
――あなたは? あなたもとうけいしゅうなんですか?
「……そうさ、僕も凍刑囚さ」
不知火雪は答える前に一瞬、言葉を詰まらせた。
――じゃあどうしてあなたはじぶんのなまえをしっている? なんでそのとうけいというものを知っているんですか?
「自分の記憶だからさ。自分の記憶を自分の脳にインストールした。それだけの話さ」
――きおくをいんすとーる?
「そう。この建物の中にはコンピュータールームがあってね、そこのコンピューターに凍刑囚の記憶が保存されているのさ。それを自分の脳に入れる。すると、自分の名前や近況について思い出せるってことさ」
――そこにはわたしのきおくもあるんですか?
「君はこの建物の睡眠室から出てきたんだろ? ってことは凍刑囚だから、ここのコンピューターに君の記憶もあるはずだ」
――じゃあわたしはじぶんのことをおもいだせるんですか?
「そうだね。記憶をインストールすれば」
――じゃあつれてってください、いますぐそこへ。
そう言って私は立ち上がる。だが、不知火雪はきっと私を睨んで、テーブルのお盆を指差した。
「食べ物を残すな」
自分の皿を見る。パンが一欠片とスープが少量残っていた。
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