第11話 魔力測定
「い、今のは…………?」
衝撃はなかった。けれども、確かに僕の中にナニカが入り込んで、揺さぶっていった感じがした。
そんな風に呆ける僕の手から針を抜き、清潔な布で傷口を抑えているリーリスはひょいと首を伸ばすようにして装置の上についている水晶の板を覗き込んだ。
「今、
「うん! あれがもしかして魔力…………?」
「ああ。この装置は血液中に含まれる魔力と、装置から発せられる魔力との反応によって総魔力量と魔法適性を調べることができるものだ。といってもこれは簡易版で、本格的なものはそれこそ街にでも行かねば見られないがな」
「適性って項目があるのは、適性によって使える魔法とかがあるってこと?」
「そうだな。適性には大まかに分けられた火、水、風、土と特別な適性である光と闇があるな。まあこの二つの適性が出ることは滅多にないが」
「へえ。…………あ、本格的な装置になるともっと大きくなるのかな?」
「もちろん。簡易版との大きな違いは、先程の項目に加えて瞬間放出魔力量を調べることもできることだな。といっても、これを知ることによるメリットは『どれだけ高位の魔法を戦闘中に使用できるか』という指標を得られる、ぐらいだろうか」
「つまり、高位の魔法になればなるほど魔力の消費量が増えていき、戦闘中であれば時間をかけて魔力を使っている暇がないから瞬間的に魔力を使えないといけない、ってことかな?」
「ほう、なかなか鋭いではないか」
「いやぁ、そういうのって向こうの世界ではよく使われる設定だからね」
その言葉に、リーリスはふむふむと頷きながら「魔法についての知識はある程度あるのかもしれないな」とつぶやいていた。
「さて、これが主様の魔力量と魔法適性だな」
「…………ごめんリーリス、僕まだこっちの文字読めないんだった」
「…………あー、それも勉強項目に追加だな」
水晶の板を差し出されたときにそんなやり取りはあったものの、僕は彼女に代読してもらうことで自分の魔力についての知識を深めることとなった。
「まず、総魔力量は百七十五万、といったところか。喜べ主様、これは人間の中ではかなり多い方だぞ」
「え、あ、そうなんだ」
「まあどうせ後から魂の器を広げるがな。それでも最初の魔力量がこれほど多いのは流石主様といったところだろう」
「魔力量って生まれたときから変わらないんじゃなかったっけ?」
「時間と労力をかければある程度までなら広げることができる。とはいえ元の器が小さければ大して広げることはできないから、元の器が大きいに越したことはないのだ」
「へえ…………」
「そうだな、ユリウスの魔力量はおおよそ二十五万ぐらいだ。恐らく器を広げ切ってこの値だろうな」
そう聞くと百七十五万という値がかなり多いということはわかる。そこで気になった僕は一つ質問をしてみた。
「リーリスの魔力量って、どのくらいなの?」
「ん?
「…………じゃあ、人間としての最高値は?」
「ああ、それなら先々代の勇者だったかが出した三千五百万、ぐらいが最高だった気がするな。それからは流石に二千万を超えるような人間は出てきていなかったと思うぞ」
「そ、そっかぁ…………」
どうやら僕の魔力量はかなり多いらしいとはいえ、当然のように上には上がいるようだ。というか現状リーリスの方が僕より強いのでは…………?
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