第45話 このバカ
「傭兵戦隊? お前達、傭兵だったのか?」
……いや。それはゴロが良いというか、何となくのりが良かったというか……。
「ま、まあ。そんなようなものだ……」
なわけあるか! どう見ても子供だぞ俺達。
「クッソー、罠だったのか!」
違います。
俺はベソをかいているミルを抱き起こすと、もう一度『聖縄』を発動した。
「うおっ。なんだこのロープは?! うわっ、やめろ!」
俺は『聖縄』を操ってレーバをグルグルと
「お前のアジトは、まだ遠いのか?」
「えーと、この近くです。あの雑木林の中にテントを張ってアジトにしてました。どうか命ばかりは……」
「それは、お前の態度次第だ」
どうやら、すっかり諦めたらしい。俺は来たルートを戻って死体をアイテムボックスに回収。こいつらの服をジョーンズさんに返すためだ。
馬の荷物もついでに入れて、エクストラスキル【優良ドライバー】を発動。これで馬に乗れるのは当然の事だが、副次的に馬をテイムできる。
ブルブルブルブル。何々、水が飲みたい? よしよし。
「おい、レーバ。水はあるか?」
「ヘイ。アジトに戻れば汲み置きがありやす」
すっかり下僕である。
パムとミルを先に乗せて、俺も颯爽と飛び乗る。レーバを先に歩かせて案内させた。テントは思っていたより大きかった。
「おい、金は?」
「へっ、金ですか?」
「そうだ、金だ! お前は役人に渡すんだから、もう必要ないだろう」
差し出された金は少額だった。
「人数も増えて飯代が嵩みまして。これから稼げるはずだったんでやすが……」
* *
壊れた馬車に戻り、俺は『錬金術師』に就労して車軸を直した。
「ショキのダンナ。あんた猟師で傭兵じゃなかったのでは?」
「これくらい『傭兵戦隊セイント・カイーン』ならば朝飯前なのさ」
どや! こいつでも褒められると嬉しい。
「それよりレーバ。お前は馬車の扱いが上手いな。盗賊団でやってたのか?」
馬車が扱えると言うので、やらせると実に巧い。
「いえ。実はこれが本職でして……」
馭者をしていたそうだ。盗賊団にいたのは幼馴染みのロスだけで、盗賊団が討伐されたのは本当らしく、それを機に故郷に戻って来てレーバに再会したらしい。
そこで2人で新しく盗賊団を作って儲ける気だったようだ。今回が初仕事だと言うが本当だろうか?
「レーバ。お前、全員死んでるのを良いことに、死人に罪を全て、なすりつける気じゃないだろうな!」
「とんでもねぇ。3年かけて貯めた金も全部テントや手下共の食い扶持に消えましたんで、俺にはもう何もありません。盗賊を働いたのは確かなんで奴隷落ちは覚悟してやす。それから、あっしの本当の名前はレーバじゃなくてウルゾンって言いやす」
んー? 凄ーく最近聞いた名だ。
「お前の爺さんの名前は?」
「へっ、爺さんですか? ウルソって言いやす」
* *
このバカ!
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