第27話 間歇スポット

 俺がサクッとオークに、とどめを刺すと御手洗会長と片桐先輩が迎えてくれました。


「練習は良いけど、油断禁物よ!」


 言葉は、厳しいが目が笑ってますね。


「見事な攻撃だったね。あのフェイント、僕にも教えてよ」


 嫌です!


     *     *


 索敵しながら6層から7層目を過ぎ8層へ。


 ここまで、戦闘回数……12回目まで数えましたが、面倒くさくなってやめました。


 御手洗会長も片桐先輩の反対を押しきって、単独戦闘やってます。いずれもハルバートをクルリと一閃、クビチョンパ。危なげなど一切無し! 素敵です。


 俺のレベルは28になりました。さすがに上がりにくくなってきました。これが俺の現在のステータスです。


     *     *


・名前/タロー ヤマダ

・種族/人間

・年齢/16

・職業/未定Lv.28

・生命力 107/120

・攻撃力 142/160

・防御力 87/100

・魔力 52/60


     *     *


 これ、けっこう凄いと思います。ここまでくれば技術で劣っていても、力で騎士団の皆さんに勝てると思います。カイン小隊長も含めてね。


 まあ、片桐先輩なんか未だレベル3ですけど、


    *     *


・名前/ユウヤ カタギリ

・種族/人間

・年齢/17

・職業/勇者Lv.3

・生命力 1200/1200

・攻撃力 2400/2400

・防御力 600/600

・魔力 1050/1050


    *     *


 ……こうですからね。片桐先輩と御手洗会長は俺と違ってレベルが上がりにくいみたいですけど、一つ上がるとドーンですから。この調子なら、今日きっとレベルが1つ上がると思います。チートだよね全く!


 今日の予定は、この8層のモンスターハウス? っぽい所だそうです。ぽいって、何それですよね。


     *     *


 この8階層の最奥に魔素が間歇的に吹き出す所があるそうです。


 普通は20匹前後の魔物が発生するそうです、そうなるとモンスターハウス。


 少し魔素が濃くなると2ランクくらい上のボスキャラが混ざるようです。フロアボスぽくなるんですね。そのかわり数が4~5匹に減るとか。


 俺としては、20匹の方かな。ボスキャラが出てきたら、たぶん片桐先輩一人が対応して、俺はよくて遊撃だろうから。俺の攻撃、通じないだろうな。


 よし、モンスターハウスぽい方が来い!


     *     *


「あの辺りに、間歇スポットが在ります」


 カイン小隊長が指差した先に階層の最奥にしては、かなり広い空間でした。間歇スポットがあるそうですが、ここからじゃよく分かりません。


「少し時間があるようですから、小休止しましょう。近衛騎士団が見張りを引き受けますからミタライ様らは、しばし休息を」


 騎士団の皆さんが簡易的な野営を設置してます。


     *     *


 それぞれ自分のアイテムボックスから携帯食料を出して、モムモムと頬張ります。王国が俺達のために、わざわざ用意してくれた、お弁当だ。OBENTOではない、お弁当なのだ。


 大きな葉っぱに包まれた、おむすび。男性は3つ、女性は2つ。そしてタクアン2枚。


 もう驚かないぜ先輩勇者! さすがです。


 軽く1つと思っていたら、予想以上に旨い。もう1つ食べようかと悩んでいたら、分隊長のゼクスさんが近づいて来ました。


 俺の剣術の先生でもあり、格闘のエキスパートで御手洗会長の初代従者(笑)だった人だ。


 今は俺だからね!


 気の良い兄ちゃんだから、初代の栄誉は譲ってあげよう。


「タロー君、簡単な訓練です。ちょっと間歇スポットを近くで見てみましょう。1度見ておくと索敵の勉強になりますよ」


 うん、これは仕事だな。おにぎりは諦めて付いていくことにします。


    *     *


「聖女様。タロー君と間歇スポットを見て参ります」


「私たちも、一緒に行った方が良いかしら?」


「いえ、索敵に必要な事をいくつか説明するだけです。魔素のスポットなど地面から魔素が沸き出しているだけですから斥候役が知っていれば充分でしょう」


「そう……気をつけて下さいね」


「魔素の噴き出しには、未だ時間がありますから御安心下さい、聖女様」


     *     *


 間歇スポットヘ向かう途中に気が付いた。


「あれ。ゼクスさん、剣を変えたんですか?」


 前を歩くゼクスさんが少し振り向いた。


「聖女ミタライ様は、本当にお美しい方ですね」


 はぁ?

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