3章 ダンジョン
第21話 近況という名の説明回
王都に戻り、本格的な訓練が始まった。レベルが上がり訓練についていけるようになったからだ。
剣術は近衛騎士団の若い騎士さんと一緒に訓練している。素振りから始まり、型の理解。反復練習で動きを体に染みこませる。
あれから、もう一度、砦のへ魔物の実戦訓練に行ってきた。オーガが思ったより早く拘束できたからだ。
今、俺のレベルは25。
* *
・名前/タロー ヤマダ
・種族/人間
・年齢/16
・職業/未定Lv.25
・生命力 87/87
・攻撃力 116/116
・防御力 72/72
・魔力 43/43
* *
これは、騎士団の平均ステータス値を超えている。数字だけなら、ベテランクラスだ。最も実際に対戦すれば、経験不足から若手の騎士にも軽く捻られる。
でも! でも! 俺、魔法も使えるようになったんだ。エヘン! 魔法の習得はスクロールを使います。素直に嬉しい。
今は火属性と土属性を中心に練習している。若手の神官さんが先生だ。
金さえあれば魔法だって使えるのだ。ビバ異世界!
* *
未だに職業を決められない。毎晩シミュレーションしているのだが、余りにも楽しす……ゲフンゲフン、選択肢が多すぎて決断出来ないのだ。
順風満帆のようだが最近、何か様子がおかしい。
騎士さん達、特に若い騎士さんが最近よそよそしいのだ。ステータスが上がって俺、偉そうにしちゃったかな?
小隊長のカインさんや、直接指導してくれているゼクスさんとかは、そうでもないから、やっぱり偉そうにしちゃったのかもしれない?
若手といっても全員貴族様だ。プライドも高いに違いない。
人間、謙虚が一番。自分の行動をもう一度、見直したいと思います。
ちなみに指導のゼクスさんって、あの
* *
「何故! 女神ミタライは、あの半人前を訓練の度に、傍に置いておくのだ!」
はい。理由が判かりました。
勇者カタギリが、大げさな身振り手振りで小芝居やってます。
「もし、魔物が女神ミタライに近づけば半人前を守りながら闘わねばならんのだぞ! 全く、腹立たしい! 君達もあの半人前に近づくとろくな事にならないぞ。判るだろぅ、僕の言ってる事が……」
意地の悪そうな目つきで若い騎士達に語っています。わざとらしいです。
騎士さん達、居心地が悪そうにしてますね。早くその場を離れたいって顔してます。気の毒に……。
仕方がない。
「エホンゴホン」
俺に気づいた片桐先輩は、キッとこちらを睨みつけてきました。騎士さん達は気まずそうな顔をしながら、この場を離れた。
その姿が見えなくなると、片桐先輩は三角にした目を丸くして俺にウインクした。
「見てたのかい? 恥ずかしいなぁ。どうだった、今の。ちょっとしつこすぎたかなぁ?」
「あんなシナリオ、有りましたっけ?」
「もらったシナリオなんか、すぐになくなっちゃてねぇ。色々組み合わせたりアレンジしてるんだよ。どうだったかな?」
あんなに嫌がっていたのに……。真面目な、この人の性格を侮っていたようだ。
この世界に来た当初と違い、俺達の心情は変化していた。国の思惑は別として各個人と親しくなるに伴い、もう少し穏便に出て行く方法を考えようかと3人で話し合っていたところだった。
つまり片桐先輩! あなたも、その場にいますよね……。
片桐先輩、あなたって……。
* *
明日はダンジョンのある街、ダラコスへ向かいます。初めてのダンジョンです。
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