第14話 平原のフラグ
実は御手洗会長って、かなり強い。
高いステータスのおかげもあるが、旧家の出の彼女は幼少より薙刀を修得。素人目に見ても、かなりの腕前と思われた。
そしてこの世界、薙刀があるのだ。醤油が、あるくらいだから驚く程の事じゃないだろう。
御手洗会長が俺を守る! と言ったのは、あながち言葉の綾だけではなかったのだ。
だからといって……。
「いきなり魔物相手の実戦は早急過ぎます!」
勇者カタギリは、強硬に反対した。うん、珍しいほど強い口調だ。
「何を心配しているの? 相手はコボルトよ。私のステータスなら、何の心配も要らないわ」
俺もそう思う。俺なら致命的な攻撃も聖女御手洗なら、ほとんどダメージは通らないだろう。
それでも強硬に反対する片桐先輩! 見かねたカイン隊長が折衷案を提示してくれました。難しい事じゃありません。それは聖女としての役割を果たす事。
つまり、後方支援。
* *
実は近衛騎士団って、かなり弱い。
こういう言い方をすると語弊があるが、本人達が語った言葉である。
主に貴族の次男三男で構成された彼らは、資質としては魔法使い寄りである。
王の騎士団の最大の任務は王国と王の守りだ。ガチガチの甲冑で固めて自身の肉体で王を守る。敵を遠間から魔法で攻撃し、近づいた敵は剣で倒す。という戦法らしい。
つまり守りに強く、攻めが苦手ということだ。俺の訓練の相手をしてくれる若い騎士さんが合間の休憩中に語ってくれたのだ。
「大変ですね」と言ったら苦笑いしてました。
今回の砦への同行は、俺達の護衛と同時に自分達の訓練も兼ねているようです。
でもまあ、コボルトですよ。しかも、どう考えても過剰戦力! 会長に危険は無いでしょう。
と異世界初のフラグを立ててみた! ほとんど人ごとですかね(笑)。
俺達、留守番組は更に更に後方だ。まるでショーを見るような気持ちで、これから始まる戦闘を眺めていた。もっとも片桐先輩一人、厳しい表情で前方を睨んでいた。
ああ、草原の風は爽やかだなぁ。
* *
討伐組は風下から音を立てずに、コボルトの群れに近づく。甲冑の音はサイレントの魔法で消している。
遮蔽物の無い草原だ。ある程度、近づくと音が無くとも気付かれる。
逃げるようなら逃がす。向かって来るなら殺す! そういう方針だ。
どうやら、戦闘になる気配だ。
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