第12話 書記
まあチートな会長達の事は、いいのだ。問題はやはり俺のステータスの低さだ。
バーンハイムのオッチャンが危惧した通り、俺は訓練について行けなかった。
俺の魔力の低さでは、全く体内の魔力を感じる事が出来なかった。だから生活魔法以上の事が出来ない。
剣術は剣が重すぎて、素振りすらままならない。つまり、これも全く練習にならない。さすがに、ここまでついて行けないとは思わなかった。
御手洗会長も今更、俺の扱いを変えるわけもいかず少し焦りだした頃、指導の騎士さんから次の訓練が伝えられた。
この騎士、あの声のデカい騎士さんは、近衛騎士団の小隊長カインさん36才。3人の子持ちさんだ。この前の思い切り偉そうな態度は、異世界からの勇者達になめられないように頑張っちゃったから! らしい。親しくなると、滅茶良い人だった。
「ミタライ様、カタギリ殿。明日は野外で本物の魔物を使って戦闘訓練をしますぞ」
「これよ!」
「レベリングですね御手洗会長!」
「やっぱり、あなたは話が早くて良いわ」
騎士さん達は、御手洗会長の事をミタライ様と呼ぶ。まあ、女王様だからね。付け加えると【女神のカラオケ】の時、騎士さん達は決して笑わなかったよ。肩を震わせ必死に耐えていたけど。
* *
この世界にもパーティー制度がありました。謎水晶に順番に手を乗せてパーティー名を名乗るという簡単な手続きでOK。
一般的には、冒険者ギルドでやるそうですが、今回は神官長さんがやってくれました。神官長さんは、やっぱり神官長でした。
御手洗会長が決めたパーティー名を発表します!
その名も『生徒会
意味がわかりません。いや、意味は分かるんですけど。俺、生徒会と関係ないし何ですか48って? 必ずしもグループに48って付けなくても良いんですよ!
勇者カタギリは喜んでます。片桐先輩は、御手洗命名なら何でも良いようです。覚えておきます。
騎士さん達にセイトカイの意味を聞かれましたが、説明が難しかったので、ある組織の最高意思決定機関であると答えると納得してくれました。
48に関しては説明してもわからないと、
ちなみに俺、書記に任命されました。
* *
明日は早朝から魔物の森と呼ばれる大森林の近くの砦に出発です。馬車で4時間の場所らしいです。
王城から出るのも魔物を見るのも初めてなので、ちょっとテンション上がってます!
「グギャゲギャ、グギャゲギャ」
「何を言ってるの?」
「ゴブリンに対面した時の練習を……」
「……馬鹿な事してないで、早く寝なさい。明日は早いのよ!」
* *
ふと、深夜に目が覚めた時、壁の向こうから微かにゴブリンの泣き真似が……。
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