2章 平原にて
第11話 勇者達のエクストラスキル
初日は軽く説明くらいだったが訓練2日目からは、かなり本格的になった。
勇者の力は凄まじい。片桐先輩は、その持てる力を発揮して王国の皆さんを驚かせている。
エクストラスキルが凄い。念じれば手元に現れる聖剣、その名も【カタギリの
見かけは、飾り気のない普通の剣だが、その刀身の輝きは見る者を魅了する。
一振りすれば巨岩を切り裂き、彼方の敵も剣圧で真っ二つだ。
聖剣を持った時の片桐先輩の動きは、激しくも流麗、華麗よりも美しい。これが勇者補正というものか。王国一の剣士さえ相手にならなかった。
狡いっすよー先輩! そんな物、唯で手に入れて! という感じのチートな一品である。
ただ、聖剣を持たないときは、動きが素人に戻るため、訓練では普通の剣を使用して技術を学んでいる。元は普通の高校のバスケ部員らしいので、しょうがないよね。
ちなみに【カタギリの
* *
聖女である御手洗会長は主に魔法系、特に回復系魔法の訓練だ。
普通のヒールでさえ上位回復系の魔法かと見紛う効き目だという。
聖女の名に恥じない能力を発揮して、やはり皆を驚かせたり、喜ばせたりしている。喜ばしい。実に喜ばしい!
「困ったわね」
「えっ、どっちがですか?」
「どっちって、あなたの超絶低いステータスの事に決まってるでしょう。他に何があると言うの?!」
「やっぱり俺の方ですか?! いや、御手洗会長のエクストラスキル【女神のカラオケ】の事かなと……」
先輩は、急に顔を赤らめた。(可愛い!)
「お黙りなさい。あのスキルには何の問題はないわ!」
うん。スキルには何の問題はないのだ。
聖女のエクストラスキル【女神のカラオケ】も凄い! 最初に結界を張る必要があるが、これは屋内でも代用出来る。簡単に言えばエリアヒールなのだが効果がハンパない。
【女神のカラオケ】が発動されると、
あの時は何十人かで歌って踊るアイドルグループの『恋する何とかクッキー』とか言う昔、聞いたことのある曲。そのスローバラード調だった。本当に歌は何でも良いのだな!
訓練のため街中から集められた怪我人、病人が御手洗会長を中心に次々と同心円状に治癒回復する光景は、まさに荘厳、圧巻である。
そして、その時が訪れた。次々に回復する効果に気をよくした女神様は興に乗り、更に
騎士さん達の肩が震え、甲冑が小刻みにカチャカチャッ鳴っている……。
程なく神官達も気づいた。まあ、ここまでは許せると御手洗会長本人も後に語った。しかしである!
ここはー。病人達がー。感謝とー。感動でー。聖女様に鼻水垂らしてすがり付くシーンだろうがっ! 腹を抱えて笑っちゃ駄目だろ! 人として! たかが音痴くらいで!!
会長は、あれ以来【女神のカラオケ】を使わない。何とかもう一度、あの素晴らしい
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