第9話 沈黙
「そう、その隷属の首輪だ!」
やっぱり在ったか、隷属の首輪。テンション上がるーぅ!
さあ、このピンチをどう切り抜けるのか御手洗会長!
待てよ、その時は俺達も一緒ではありませんか……。会長、あまり声のデカい騎士さんを煽るのは厳に止めて頂きたい!
「勇者とはいえレベルの低い今の貴様らなど、どうにでも出来るのだぞ!」
声のデカい騎士さん、鼻の穴20パーセント拡大! 満面のどや顔だ。
「ふーん、嘘ね。いえ嘘ではないかもしれないけれども、出来ないのでは? 出来るなら、すでにやっているはずよ」
「ヘうっ……」
あっ。騎士さん目をそらした。そこ、顔に出しちゃあ駄目だろ。声はデカいがメンタル弱め?
「そうね。たぶん昔それをやって失敗したのでは? 今、言いましたわね。レベルの低い私達なら……と。レベルが高くなれば、どうなるのかしらね?」
「どういう事なんだい?」片桐先輩が腕組みしながら俺に小声で聞いてきた。
「んーと。たぶん昔、召喚した勇者に隷属の首輪を使って使役させたけどレベルを上がった後、首輪を勝手に外されて盛大に復讐された……とかじゃないですかね」
「あ~あ!」
しばしの沈黙。
声のデカい騎士さん以外の他の騎士さん達は、微妙な表情だ。
何で、そこでヘタるかなぁ……って感じです。
* *
「ワーッハハハハハハハハ!」
パンパンパンパン。パパンのパン!
今まで空気のような存在だったバーンハイムのオッチャンが、突然手を叩いて笑い出した。我に返ったようだ。
微妙な雰囲気が少しだけ緩みました。
「
バーンハイム団長は、人好きのする笑顔で御手洗会長と俺達を見回した後、お茶の準備を指示した。
変わり身早いなぁ~、このオッチャン。声のデカい騎士さんも、ちょっとホッとしてしてるよ。
「さて、今後の訓練の打ち合わせをしてもよろしいかな? 聖女達よ」
そこは、勇者達と言うべきでは? まあ、勇者カタギリは気にしてないが。
* *
だいたい、基本的に午前中は魔法の訓練。午後からは剣術、体術などの実技訓練という事になった。
御手洗先輩は聖女なので魔法の方が比重が多くなるそうだ。
訓練に関しては、俺らは全くの素人だから最初はお任せするしかない。御手洗会長も何のクレームも出さない。
「それと、その小僧……いや、その連れの子供の事なのだが」
うえっ、俺の事か?!
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