第15話 女の子の戦い。
「あなたがお兄を誑かしたメスガキですね。いかにもビッチっぽい顔をしてるもん」
「この子最初から失礼だなぁ」
放課後、朝会ったメスガキこと赤羽美羽と待ち合わせをする。
「これ以上お兄に近づかないでください。迷惑です」
お兄と、私が。特に私にとって。
「あのさ、美亜ちゃんってさ、ブラコンと言うよりもさ」
「なんですか」
急に真剣な顔しだしてこいつは何を言い出すんだろう。
「愁先輩が好きなんだよね?そうでしょ?」
「……」
「ん?何も言えなくなっちゃった?そうだよね。普通、兄である愁先輩に恋心なんて抱いちゃいけないもんね」
「……」
私は下を向いてしまう。
「だからさ、私と手を組まない?愁先輩と結婚するのは私だけれど、一緒に居ることぐらいは良いからさ」
…。………っぷ。ぷぷ。
「あはは、ははは。何それ、冗談言ってるの?流石に笑いをこらえられなかった」
「え?」
急に真剣な顔するから何かと思ったら拍子抜けで笑ってしまった。
「お兄の事を好き?当たり前じゃん。恋心なんて抱いちゃダメ?そんなの知らないよ。世間があれこれどうこう言おうと私には関係ないよ。言い降らしたいなら勝手にどうぞって感じです。お気遣いどうもありがとうね。メスガキ」
「…っつ。なんなのこの子」
「あー、でもお兄に言うのは無しかな。私はお兄からちゃんと告白してもらいたいし」
そして、告白された日には…………。ふふっ。ふへへ。お兄、大ちゅき。
「ふ、ふん。そんなの無理だもんね。先輩と結婚するのは私だから」
「勝手に言ってればいいじゃない。私には勝てないんだし」
私は勝ち誇った笑みを浮かべて雌犬の顔を見つめる。悔しそうな顔をしていたが急に何かに気付き始める。
「………でも、待って。じゃあさ。……」
急ににやにやしだしてこっちを見てくる。
「そんなに自信があるんだらなんで私のことなんて気にして学校になんて来たのかな?」
「っ。……。それは、偶には学校に行かなきゃいけないなって思ったのと、お兄は優しいから泣き落としでもされたら致し方なく頷いてしまうだろうと思ってお前を注意しに来ただけ」
「ふぅーん」
何こいつ、急に調子に乗り始めたんだけれど。別に危機感なんて持ってないし。お兄に近づく羽虫を叩きに来ただけだし。
「まぁ、どうあれ、私とお兄の方が付き合い長いし、密接だからもうお前の入りこむ隙間なんてないよ」
「付き合い長いと、新鮮なことがなくて飽きちゃうかもね?」
「落ち着きがないよりマシじゃない?」
二人でにらみ合う。
「「ふんっ。絶対に負けないからな」」
と言うか、負けると思ってないし。絶対私が勝つし。
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