第6話 なんで、私が悶絶せにゃならんとです。

「うがぁぁぁぁぁ」


 美亜の部屋が少しだけうるさいような気がしたけれど、推しが尊いとかそんな事だろう。


そう思い、美亜の部屋をスルーしてリビングに向かう。


「うわ、めっちゃおいしそう」


 いつもの朝ごはんより、数段手間がかかっているだろう物がたくさんあった。


「ふふっ、そうでしょ?朝から少しだけ頑張っちゃった」

「お前、いつからいたんだよ」


 いつの間にか、自分の部屋から僕の隣に移動していた美亜。


「じゃあ、食べよっか」

「おう」


定位置に座…ていなかった。僕の隣を我が物顔で陣取っていいた。


「美亜さんや、なんで今日は隣なんだい?」

「お兄こそどうしたの?いつもこうじゃなかったっけ?」

「そんなわけあるかーい」

「ちょ、待っていたい、痛い。分かった、分かったから」

 

 とツッコミを入れながら、ほっぺを引っ張っていつもの僕の前の席に移動させる。


「それでは、両手を合わせて」


「「いただきます」」


 今日の朝ごはんは和食が中心で、鮭、みそ汁、漬物、そして一番目を引くのは海鮮丼だ。


 朝からこんなに食べられるか不安だけれど…一口食べるとそんな気はなくなった。


 めっちゃおいしい。


「………」


 それと、めっちゃ気になる妹の視線。こっちをじっと見ている。


「えっと、美亜?」

「ん?何?あ、私のことは気にしなくていいよ?」

「そう言われましても」


 これは、どういうプレイなんだ?あれか?僕の顔に何かついているとか?


「何かついているのならいってくれ」

「え?何もついてないけど?」

「……じゃあ、本当になんで僕の顔なんてじっと見ているんだ」

「ん?お兄が食べる姿を見たいから」


 なんなんだろう、本当に。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 じっと、お兄を見つめる。


 さっきの、お兄ちゃんおはよう大作戦が朝ごはん豪華作戦と相まってお兄ちゃんはもう私の物になるはず。


 ……なのに、「美亜、好きだよ」どころか、「おいしい」すら言ってくれない。

 

 どうなっているんだ。


 …ははぁーん。さては、恥ずかしがってるな。この照屋さんめ。


 ほんとに世話が焼けるお兄だなぁ。


 でも、お兄がおいしそうにご飯を食べてくれているだけで、私のご飯も進むから不思議。もうお腹いっぱいなんだけれど。

 

 そんな事を思いつつ眺めていたら、いつの間にかお兄ちゃんは朝ごはんを食べ終わっていた。


「ご馳走様」

「あ、うん。お粗末様でした」


 そして、手早く準備を終え、玄関に行くお兄に私もついて行く。


「じゃあ、行ってらっしゃい」

「行ってきます」


 そう言って、扉を開けてなんでもないようにこういった。


「ああ、そう言えば、美亜、今日の朝ごはんおいしかった。ありがと」

「………ぽっ」

「じゃあ、行ってきます」


 …………………ふ、ふがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
















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