第2話 序章の序章。

 どうしたものかなぁ。考えることもう半月も経っている。美亜のブラコンと、僕のシスコンを直す。


 でも、どうしても冷たくしようと思っても冷たくできないのである。


 すると、僕の数少ない友達である、日陰沙紀が話しかけてくる。沙紀と言う名前だし、顏も若干女っぽいし、髪も長いけれど、こいつは男だ。


「お前、やっぱり変だぞ」

「なんだ、急に。僕がどんな風に変だって言うんだ」

「いつもはウキウキでこのキャラのイラスト可愛い、ここのくびれがポイントだよな。ここの食い込みが尊いとか擁護できないようなことをそこらへんに吐き捨てるから、毎日俺がそのごみを拾うのが大変だったのに、ここ最近はそれが減った」

「え?今の何処にそんなひどい言葉があった?」

「本人に自覚がないって、もうお前、いつか捕まるからな」

 

 沙紀が言ったそのイラストの中には美亜が描いたイラストもある、それは当たり前に上手い。贔屓目なんかなくて、美亜が下手くそな絵をかいたらちゃんと言うし、上手かったら褒めちぎる。

 

 まぁ…割合としては、美亜のイラスト三割他の人七割くらいなんですけれど。僕も一応高校生ですし、推しとかの少しはだけたイラストとかが欲しくなるわけで。


 美亜に描いてって言えば普通に描いてくれるだろうけれど。


 別に僕と美亜は下話がダメな訳ではない。むしろ普通にする。僕は変態も変態だし、美亜もそこそこだと思う。


 そんな話よりもだ。


「えっとさ、妹の美亜ってさ、ブラコンでしょ?」

しゅうはシスコンだけどな」

「ほんの少しだけな。でもさ、それじゃいけないと思うんだ。僕たちは兄妹だし、何より美亜は僕にはもったいないと思うから、どうやって美亜と僕の兄妹間を矯正しようかと考えているんだ」

「なるほどな」

「それで、美亜に冷たくしようとしても、出来なくてどうしたものか悩んでいるところなんだ」


 数秒の静寂の後、先は何か思いついたようにこっちを向く。


「じゃあさ、美亜ちゃんから自分で離れるようにしたらいいんじゃない?」

「…なるほど?」

「例えば、お前に好きな人ができたとかそんな感じで」

「……なるほど!さすが沙紀、頭いいな。テストでは僕の方が順位高いけれど」

「うるさい。一言余計だ」


 チャイムが鳴り、席に戻る沙紀の口元がにやけていたように見えた。


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 俺は学校の帰り道、密かににやける。これからどうなるんだろうな。


 愁の隣にいるとやっぱり飽きないな。愁の友達で良かったと思う瞬間が何度もある。


 俺は、スマホを弄って美亜ちゃんにLIMEを送る。


 愁は結構モテるの美亜ちゃんも知ってるからどうなるんだろう。



 この沙紀の行動から兄離れしたくないし、妹離れさせたくない妹と、兄離れさせたくて、妹離れしたい兄のしょうもない戦いが始まる。





 


 



 

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