第13話 魔法を実践してみますね
ニャマ、サリーナ、リシェルの三人は、冒険者ギルド地下の初級魔法訓練場に来ていた。中は結構広く奥に的の様な杭が置かれていた。
リシェルは、久しぶりに魔法の練習が出来ると、楽しみにしている様だ。
「それでは、魔法の使い方を説明いたしますわ。とは言っても魔法球で覚えたのでしたら、魔法を使いたいと思えば、出したい所から魔方陣が出ますわ。まずは[収納]を使ってその感覚を覚えると良いですわ」
「わかった。収納だね。やってみるわ[収納]!」
「うん、初めて魔法を使うからドキドキするよ[収納]」
ニャマは右手で[収納]の魔法を出そうとすると、ゆっくりと魔方陣が現れていき黒い球体が右手に現れる
「おお~凄いね。魔法だよ! 自分で使ってるんだね」
「ニャマ私も使えたよ~。黒いの出てるわ!」
「何か物を入れる時は、その球体に入れると良いですわ。ある程度の大きさなら球体球体より大きくても吸い込みますわ。ただあまり大きなものは無理ですから色々試してみると良いですわ」
「物を入れる事が出来ない時って分かるのかな」
「限界重量等で入らない物は、球体に接触させても入りませんのでそれで分かりますわ」
「なるほど、そもそも入らないって事ね」
「あとで、自分の[収納]にどのくらい入るのか確認しておいた方が良いですわよ。道具もそうだけど、魔物や魔獣の素材も入れますからですわ。また、生物は[収納]では入りませんが、死体は入りますわ」
「でも、十分[収納]は便利そうだね」
「うん。村じゃあまり数は狩れなかったけど、この魔法があればいっぱい枯れそうだよ」
「野兎の狩る量も増えそうだね」
「うん。沢山買っても大丈夫だそうだから、一杯狩っちゃおう」
「わたくしも早く冒険者になりたいですわ。だってお二人を見ていると楽しそうですもの」
二人は[収納]の黒い球体を出しっ放しで会話をしている。[収納]に関しては出したときだけ、魔力を消費するので、維持しているだけでは魔力は減らない。
「さて、ニャマ、次は属性魔法を撃ってみますわよ」
リシェルは、奥の的に一指し指を向けて
「攻撃魔法は指差した先から魔方陣を書いた方が命中率は上がりますわ[土弾]」
リシェルの指から黄色の魔方陣が現れ、こぶし大の土の塊が的に向かって飛んでいき中央に命中した。
的に防御魔法が掛かっているのか、傷一つ付いていない。
「く~。久しぶりの魔法の感覚ですわ~♪ さあ、ニャマも使ってみるのがよろしいですわ」
「うん。やってみるね。[水弾]」
ニャマもリシェルの真似をして、人差し指を的に向けて魔法を放つ。最初の魔法は残念ながら的を外して壁に当たっていた。
「うわ、思ったよりも外れちゃった」
「練習すれば、命中率は上がりますわ。回数をこなしていくのですわ」
「うん。弓だとかさばるし持ち変えもあるから。魔法の方が便利かな?」
「弓の方が射程は長いものが多いので、一概にそうとは言えませんわ」
「使い分けも必要なのね」
「そうですわね。後は魔力と魔力保有量も使っていれば増えていくのですわ」
「あれ? それなら創水や送風だったら、何時でも何処でも使えるから買ってよかったね」
「あ、確かにそうですわね。魔法学院では授業以外での属性魔法禁止だったのですわ。それが常識になって、日常で属性魔法を使うを躊躇っていましたわ。それなら」
リシェルは[煉瓦]の魔法を使うと、彼女の掌に四角い煉瓦が現れる。暫くすると煉瓦は溶けるように消えてしまった。
「これは、創水や送風と同じような魔法で煉瓦と言いますわ。これらの魔法の特徴としては、大きさや範囲が変えられること、発動以外にも維持に魔力を消費し続けること、魔力を止めると消える事ですわ」
リシェルはもう一度[煉瓦]の魔法を使う。今度は、手に載った煉瓦がそのまま残り続けている。
「ですが、わたくしの技能【固定】を使うと、この様に消えずに残るのですわ」
この【固定】チート気味の技能で、完全に無から魔力のみで物を作り出しているのだか、当人はレア技能程度の認識しかない。
「おお~リシェル凄い」
「うんうん、すごいですよ」
「ふふんですわ。それでも、この魔法で何時でも魔法訓練できることに気付かせてくれたニャマには感謝ですわ」
「わたしも、空いた時間に練習するね」
「私も収納で練習する!」
「ええ、ある程度までは、それで魔力は上がっていきますわ。個人差がありますが、成長の壁があって魔力が上がっていくと、突然全然魔力が上がらなくなる時期がありますわ」
「その壁って壊すことは出来るの」
「魔力がまた成長する例はあるのですが、壊れた事例が人によって違っていて明確な方法は解っていないのですわ」
「その時期が来たら色々試すのが良いのね」
「そうですわね。でも、そんなのはまだ先の事ですわ。今は使い始めたばかりですから、出来るだけ多く回数の魔法を使う時期ですわ」
「じゃあ、わたしは、せっかくここに居るんだし攻撃魔法の命中率上げるね」
「それが良いと思いますわ。わたくしもお付き合いいたしますわ」
そうして、ニャマとリシェルは並んで、的に向って魔法を打ち続けた。攻撃魔法を持たないサリーナは安全な所で暇そうに収納を使い続けていた。
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