銀メダルと銅メダル
銅メダリストは、銀メダリストよりもハッピーだそうです。3位の人のほうが2位の人よりも幸せだという説。不思議ですよね。これは、ある人間心理のお話です。
オリンピックやワールドカップなどの、銀メダリストと銅メダリストの動画を、とある大学生グループに見せ、メダリストの表情や動作を見て、幸せに見える度を10段階で付けてもらったそうです。1が「苦痛に耐えているように見える」10が「幸せで恍惚としている」みたいな感じで。
数々の動画で比較した結果、統計的に、銅メダリストの方が、銀メダリストよりも、はるかに幸せそうに見えたそうです。
こういう心理をちゃんと説明したセオリーとかあるんですけど、このゆるいエッセイでは割愛します。ものすごーく大雑把に言いますと、銀メダリストは、「金が取れたかも」と思ってしまうから、メダルが喜べないのに比べ、銅メダリストは「メダルが取れた!」と取れなかったかもしれない可能性と比較するので、素直に喜べる、そういう心理だそうです。
小説を書いていて、ふと、上を見上げてしまうときがあります。カクヨムで執筆していらっしゃる数々のライターさん。すごいなぁとただ感心してしまうような作品、たくさんありますよね。でも、その中で書籍化などされている方はもう本当に少数。
書籍化されている作家さんでも、生き残っていけるのは一握り。知人に本を3冊出版した人がいるんですが、本を書くことでは、到底食べていけてません。ご本人が「完全に趣味」とおっしゃっていました。ひぃぃぃ!
カクヨムユーザーだけでも50万人。カクヨム以外にも、たくさん投稿サイトがあります。日本語だけでも、小説を書いている人口って、気が遠くなるほど多そうです。
そういうのを思うとね、自分なんて、砂の1粒だなーって思います。駄作を書き続けて何になるんだろう……。なんて、センチメンタルな気持ちになったとき、「銀メダリストと銅メダリスト」の話を思い出します。
上を見る代わりに、後ろを振り返ります。ただの1つも、物語を完成したことのなかった自分。ボッコボコにされると思い込んで、投稿するのが怖かった自分。1作どころか、6作完成させて、7作目が完成間近な自分。
砂の1粒には変わりないんですけど、「小説を書きたいなぁ」と思ったことのある人のなかで、実際に1つでも小説を完成させたことのある人は、きっと10%もいません。書いた作品を他人に見せたことのある人は、もっと少ない。複数作完成させたことのある人は、さらに少ない。長編が1つでも書けた人なんて、きっと1%もいない。
さらにさらに、1年続けたら、3年続けたら、公募に挑戦してみたら、第1選考でも残れたら……。階段を1段ずつ上がるたびに、砂の1粒でもかなり希少な1粒になっていきますよね。それはけっこう、すごいことなんじゃないんでしょうか。
なのでね、たまに上向いて、ため息をついた後は、後ろを振り返って、自分に銅メダルをあげることにしています。駄作を書き続けてる自分、おめでとう!
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