好きになりたいもの

 先日完結した、「カゴの中に入る」の中で、登場人物の一人が「ダークチョコレートが好きな人」になりたくて、本当にダークチョコレートが好きになるところがあるんですけど、これは実体験です。


「チョコレートは、ダークを好む方が大人だ」と思い込んで、ダークチョコレートを好きになりたいあまり、本当にダークを好む人に半年ほどなりました。後で、「あれは偽りの自分だった」と気づきました。


 誰にも「ダークチョコレートの方が好き」とか言ったりもせず、ただ、自分のために、自分を偽っておりました。いまだに謎の多い自分の心理です。


 そんな感じで、「別に好きじゃないんだけど、好きになりたい。」というものが、けっこうあります。


 例えば、ヘミングウェイ。「ヘミングウェイが好き。」て言ってみたい。いや、言わなくてもいい。誰に知られなくてもいいので、「ヘミングウェイが好き」な人になりたい。


 前にも紹介した、大御所作家のジョイス・キャロル・オーツさん。彼女のオンライン・コースで「例えばヘミングウェイのような、名作を読んだ後は、あなたの文章は全く違ったものになるでしょう。ヘミングウェイと似ても似つかないような文章を書いたとしても、名作はあなたの作品に必ず良い影響を与えます。」とおっしゃってて、「目的意識を持って、名著を読むように。」というアドバイスをされていたので、真面目なかしこまりこは、ポチッとヘミングウェイを買って、読み始めました。


 わっからねぇ〜。単語が難しいわけでもないのに、なに言ってるのか、わっからねぇ。苦戦しております。オンライン授業の中で出演していた、頭良さそうな生徒さんが「ヘミングウェイは読者を信頼してますよね。」と言ってて、おそらく理解力だとか想像力の話をされてたんだと思うのですが、「読者を信頼しても、私のことは信頼しなくていいよ。」と言いたい。ヘミングウェイに。


 ヘミングウェイに限らず、何かしらの古典を本当に愛している人。知的でかっこいいなぁと思います。なりたい。


 それから、子ども。「子ども好き」だと、一瞬で「良い人認定」もらえるじゃないですか。私が若い娘さんで好きな人とかいたら、「子ども好き」アピールは「女子力高め」と思われて、いろいろオイシイ。


 自分の子どもは好きです。甥っ子、姪っ子も好き。自分の子どものお友だちも好き。(たまにそうでもない子もいる(爆)。)子どもでも大人でも、その人のことが分かってきたら、まあまあ、みんな好きになります。でも全員じゃないです。


 性格とか考慮に入れずに、大人という集団と、子どもという集団で、どっちが好きかと言われたら、私は迷わず大人を選びます。


 だってさ、大人は、タネも仕掛けも最初っからなさそうな、手品とも呼べないくらい下手な手品をドヤ顔でやったりしないじゃん。人の家に上がり込んで「ピーナッツバターのサンドイッチが食べたい。」とか言っといて、半分くらいでお腹いっぱいになって残したりとか、「触らないでね。」と言ってる物に限って持ち上げたりとか、うっかりポップコーンを床にぶちまけて片付けもしないとか、壁に絵の具を撒き散らかしたりとか、しないじゃん!


 心の底から「子どもはすばらしい。」と子どもを愛してやまない、本当にオトナな大人。すてきだなぁと思います。なりたい。


追記:「カゴの中に入る」は、今は掲載してません。すみません。

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