ハレルヤ

 今日のお話は、グーグルさんとかポッドキャストとか、いろんなところから借りてきた知識で構成しております。あらかじめご容赦ください。

 

 二日前に私が投稿した「パンデミック」という短編の中に、「ハレルヤ」というポップソングが出てきます。ボブ・ディランとかマドンナとか、超有名どころも含む、何百というアーティストにカバーされてきた歌で、「Sing」というアニメ映画でもゾウさん(日本語版ではMISIAさん)が歌っています。聞いたら誰でも「あー知ってる」と思うような歌だと思います。


 なんとなく、そのときに聞いていた歌の中で、書いている物語に雰囲気が合っていたので、入れてみました。


 が、入れたからには、ちゃんと歌詞の意味とかわかってた方がいいよねーと思って、歌詞を読んでみたら、わからんのですよ、まったく。歌詞の意味が。とても美しい語感で、読んでてうっとりするくらいなのですが、なんて言ってるのか全然わからない。なので、ググってみたら、旧約聖書の引用が多いと書いてあって「そりゃあ、私の教養レベルじゃついていけない」と納得しました。


 調べて行くうちに、けっこういわく付きの歌だということが判明して、興奮気味に夫に話してみたら「その歌についての面白いポッドキャストのエピソードを最近聞いたよ」と言われ、ポッドキャストを聞いてみたら、いやー、ほんとに曰く付きの歌でした。面白いので、ちょっとシェアしてみます。あ、もう知っている方、ごめんなさい。先に謝っときます。


 原曲はレナード・コーエンさん。作詞に5年もかかったそうです。1984年にリリースしましたが、反響はイマイチ。たまたまライブで演奏していた「ハレルヤ」を聞いたジョン・ケイルさんがカバー曲を出しました。そのジョン・ケイルさんがカバーした曲を、ジェフ・バックリィさんがカバーしました。カバー曲のカバー曲です。


 こっから先の展開が自分的にはびっくりなんですが、ジェフ・バックリィさん、30歳の若さで川で溺死してしまいます。彼の死後も、まだ未発表だった作品や、生前に発表していた作品を集めて、何枚かアルバムがリリースされました。そのアルバムに入っていたジェフ・バックリィさん版の「ハレルヤ」(カバー曲のカバー曲)が、全米で第一位、全英で第二位に輝きます。2008年のことです。


 作詞に5年もかかって、1984年にリリースされた歌が、いろんなアーティストを魅了してカバーされて、一人のアーティストの死も手伝ってナンバー・ワンの位置に輝いたのが2008年。その間、24年。コーエンさんが制作を始めてから30年近くです。


 「天才的にいい作品は、どんな偶然を経てもいつか評価される」ととることもできますが、「どんなにいい作品でも、歯車が一個でも合わなかったら日の目を見ることなく埋もれていく」ともとれますよね。私の個人的な好みで言えば、どっちもいいな、と思っています。


 ベストセラー作家さんのエリザベス・ギルバードさんの言葉に「自分の作品の価値を、他人の評価に委ねてはいけない。」というのがあって、私はとても勇気付けられました。自分がどうしても書きたいと思うものがあって、自分の作品の一番最初の読者として面白いと思った。その時点で、ちゃんと価値があるんだと思うんですよ。赤の他人にも共有したいと思えるほど「いいもの」を発見したわけですから。


 だからと言って、それで商品になるわけではないですけど。そこは、別の話で。商業価値が絶対価値ではないので、「自分にとっては、価値がある」ってけっこう大切だと思うんですよねー。

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