遺書と告発
僕は暇だったのでネットサーフィンをしていたら、インターネットでこの間自殺した女子高生の遺書を見つけた。
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「何もしないで」「どうして普通にできないの?」そんな言葉を投げつけられる人間だった私は、いつしか自分の生きる価値に疑いを持つようになった。
一度目の自殺未遂の後、みんな優しくなった。「生きてるだけでいいからね」「大変だったねぇ」「死なないでいてくれて嬉しい」わたしが自殺に走ったのは自分のせいじゃないと言い訳をしているようにしか見えなかった。
多くの人間は自分の言葉がどれほど他人を傷つけるものかを理解していない。「死ね」「馬鹿」「クズ」「邪魔」そして、そういう言葉を投げる相手というのは決まって自分より弱い人間、反撃をしてこない人間に向けてだけなのだ。
言葉の暴力、他人の価値を認めない暴力を振るうことに、どうして鈍感になれるのか、私には理解できない。
そうした暴力を私に振るった人たちを告発できればと思いこの遺書を残しました。
どうか世界が少しでも優しくなりますように。
(以下彼女を損ねた人の名前と、暴力の内容の羅列。そこには親の名前も含まれていた。)
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この遺書をもとに、彼女を苦しめた人々の名前をネットで検索したらあっさり出てきたが、転校したり、名字を変えたりして生活をおくっているようだった。また、彼女の自殺は、自殺に迷う人の背中を押し実行する人を少し増やしたように見えた。
僕は彼女の身内でも何でもないが、この世界の不条理を許せないものである。手始めに拡散しやすい媒体で、彼女を苦しめた人々の名を広めようと思う。このような理不尽は許されてはならない。
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