魂の告白

「人間の魂というのはつまり、脳内物質のバランスと過去の記録なんだよ。過去に善行を行った記録があればそれは良い魂を持つとされるし、逆に悪行を重ねていればそれは悪い魂だということになる。


また現在においては、感情の多くは脳内物質のバランスで生まれていることが分かってる。どんなに穏やかな人も、脳を損傷すれば獣のようになりうるし、粗暴な人にも薬を与えればおとなしくなる。


魂っていうのは極めて肉体的だ。


人間の多くは肉体的でないものを探していて……肉体はいつか滅びてしまうから、永遠に滅びない何かを探しているんだろうね。そういうわけで、人間は魂に付随して神様や心を作ったんだよ。魂は永遠だと証明したかったんだろうね。


ところで、魂の重さが21グラムだという都市伝説があって、この話は物質的で僕は大好きだ。単三電池が23グラムほどだというのだから、魂はずいぶんエネルギー効率がいいのだなと思ったよ。


さて、永遠に残るものがあるとしたら、確かに宇宙は膨張するしかない。宇宙が一定の広さであれば、永遠に残るもののせいでいっぱいになってしまうからね。


ふと考えたけど、何もしなければ拡散していくこの宇宙においてひと塊になった物、この星や、星に住まう命にはなにかの意味があるのだろうか?


魂のありかはつまりひと塊になる確率で、集合する確率。何かと何かが接触する可能性だとも考えられる。さいころを10回振って10回6が出ることには何か意味があるかのように感じるのと同様に。


だから、僕が好きな人に会うのも、確率でしかないし、好きだということも確率でしかない。」


そういった長いつまらない話を聞かされた後、私は話した彼の顔をのぞいた。無表情だが耳が赤い。わかっているけど聞かずにはいられなかった。


「それって告白?」

「確率的にはその公算が大きいと思う」


私は彼と付き合うことにきめた。


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