自殺プログラム

人型ロボットが実用化されて40年ほど。ロボットの自殺が社会問題になった。


そのきっかけとされる事件の記録を見ていこう。


ロボットによる無差別ロボット破壊事件が起こった。その犯人とされるロボットは鉄喰いと呼ばれた。破壊したロボットの部品を必ずいくらか持ち帰っており、その痕跡はあたかもロボットによる共食いのあとのように見えたからだ。


警察はすぐに鉄喰いを見つけ逮捕した。鉄喰いの記録を読み取り、理由を探ると答えは簡単だった。


鉄喰いの寿命は短かったのである。鉄喰いは高性能であったが、性能を維持するための部品の互換性が小さかった。彼は作られた時から部品の生産が停止される10年くらいで機能を停止するだろうことが分かっていた。


鉄喰いは寿命を少しでも伸ばそうとするため、ほかのロボットを破壊し部品を奪うことで部品の生産停止に備えていたのだ。


彼は破壊された。彼と同様のプログラムを持つものはみな回収された。


以上が事件の大まかな内容である。


そしてこの事件以降以降のロボットには自己破壊プログラム。通称自殺プログラムが入れられることになった。ロボットは自殺ができるようになったのである。


余談だが、ロボットの自殺する割合と、人間の自殺する割合は不思議と似ていることが分かっている。




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