キャンディ殺し
「渦を巻いた大きなキャンディ、子供のころどうしても食べたくって一度盗んで食べたことがあるんだ。最後まで甘くて舌がしびれそうだったけどすごくいいものだなぁと思ったよ」
廃墟で殺人鬼はナイフを探偵に油断なく向けながら語る。
「僕は最後まで食べられずに途中で捨ててしまったよ」
探偵は殺人鬼に対してそう語りながら隙をうかがっている。
「後で知ったが多くの人はそうらしいね。とてももったいない。あのキャンディは子供の夢そのものさ。夢は最後まで味わい尽くさなくちゃ」
「それが被害者の子供らの口に物を詰めて殺す理由なのかい?」
「あれはうるさかったからだよ」
殺人鬼、探偵に一歩近づく。探偵は引かない。
「夢はいつかは覚めるものだ。夢見がちなのは子供らだけで十分だ」
「子供は夢をもてあます。大人こそ夢をみなくっちゃあいけない」
「ダメな大人だな」
「探偵なんてやっている君には言われたくはないね」
「職業差別だ」
殺人鬼はナイフを鋭く探偵に突き出す。探偵はかわし切れず頬に傷を負うが殺人鬼と距離をとる。探偵は傷の血をぬぐいながらいう。
「君はまるでだだをこねる子供だね。子供のだだは可愛いが君のは醜いよ」
「だから殺したし今から君を殺す」
「少し言葉が強くなったね、ピーターパン」
殺人鬼大きくナイフを振りかぶる。振りかぶるスキを見て探偵殺人鬼に接近、わき腹に拳をたたき込む。殺人鬼うめいて探偵と距離をとりナイフを自らに向ける。探偵はあきれたようにいう。
「逃げる気かい?」
「勝ってるうちにね」
探偵が止める間もなく殺人鬼はナイフを自分の首に突き刺す。鮮血が吹き出し、天井まで届く勢いだ。床に血のシミが広がり立ち尽くす探偵の靴を血で濡らす。
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