第七章 面会

「ライル、面会だ」

 翌日の午後(午前の日課はショウ先生のお説教でほとんど潰れた)、教室でミオの授業を受けているライルに、ショウがそう声をかけてきた。

 俺に・・・?ライルは訝しむ。

 ライルは天涯孤独の身だ。会いに来てくれる人などいないはずだ。

「アルバ=カーバイン。お前の叔父さんだそうだ」

「・・・!」

 ライルは絶句する。8年前、カーバイン家からライルを追い出した張本人が、なぜ今頃になって現れるのか。叔父などと、家族ヅラをして。俺はカーバインの血を継いでないんじゃなかったのか。

 8年前、あれは雪の降る冬の夜だった。自分を家から追い出し、野良犬か何かを見るような目で、アルバは最後に、泣きじゃくるライルに金貨を数枚投げ付け、二度とこの門を潜るな、と冷酷に告げたのだ。

「・・・会いたくありません。」

「そうか」

 ショウはそう言ってうつむくライルの答えを予期していたようだった。

「向こうもそう言っていたよ。ライルは自分となんて会いたくないだろう、とな。だが、今更何を言っても許してもらえないと思うが、お前の裁判の様子を人伝に聞いて、自らの過ちの大きさに気付き、一目でいいから会いたくなったんだそうだ」

「・・・」

 信じられない。父を裏切り、母を貶め、自分を捨てた男の言葉を信じられるはずがない。 

「・・・まあ、信じられないだろうな。お前の家のことは、俺なりに少し調べさせてもらった。俺がお前でも信じられないし、会いたくないと思うだろう。でもな、ライル。お前はいつか、自分の家のことに、家族のことに向き合わなければならないと、俺は思う。生まれ育った家の因縁というやつは、そう易々と切れるものじゃない。それが早いか、遅いかの違いだけだ」

 ショウはそんなことを言う。

「今はまだ、向き合う覚悟がないと言うことであれば、それでもいい。ただ、お前より多少は長く生きている経験から言わせてもらえば、こう言うことは早ければ早いほどいい。向こうから来てくれるなんて言うチャンスは、もう二度とないかもしれないぞ」

 家に、カーバイン家に、向き合う・・・。自分の中に流れる血、それは紛れもなくカーバインのものだ。魔術を行使するたび、自分はカーバインを継ぐものだ、と言う自負はなかったか。家を追い出される時に、叔父の目を盗んで父から託された魔導書だけは持ち出し、一縷の望みのように読み続けたのはなぜか。カーバイン家から、叔父に捨てられて泣きじゃくっていた自分から、逃げて、目を瞑っていていいのか。ライルの中に、闘志のようなものが湧き上がってくる。

「・・・わかりました。会います」


 *


 面会室は、院長室のある建物(元司令部だ)の中に設けられている。テーブルを挟んでソファが並べられたそこは、留置場のような面会者と収容者が明確に仕切られた無味乾燥なスペースとは異なり、会いにきた人との間に何の隔てもない、午後の日差しが差し込む明るく和やかな雰囲気の部屋だった。

 ライルがショウに連れられて中に入ると、ソファに座っていた中年の男が立ち上がり、にこにこと笑顔で出迎えた。年齢は40を迎えたばかりか、茶色がかった赤毛は綺麗に整えられ、同色の口髭もポマードでしっかりと固められている。身なりは旧家の当主らしく豪奢で、着ているシャツも、ズボンも上等の絹を使って特別に仕立てられているものと一見してわかる。8年前からほとんど変わらない、アルバ叔父の姿がそこにはあった。

「大きくなったな、ライル。あの時はすまなかった」

 そう言って、手袋を脱いだ右手を差し出してくるアルバを無視し、ライルは向かい側のソファに無言で腰を下ろした。ショウは入り口側に置かれていた椅子に何を言うでもなく腰掛け、二人のやり取りを見守っている。

 やや顔を引きつらせ、所在なげに右手を引っ込めたアルバは、ソファに座り直す。

「・・・あの時は、兄貴、つまりお前の父上と義姉上をいっぺんに亡くしてしまって、私も混乱していた。指導者を失って迷走しようとする一族をまとめなければならず・・・」

「8年前に俺を捨てた言い訳をしにここに来たの?」

 ライルは、意外に冷静な声が出せたことに自分でも驚いていた。この一か月間、すぐカッとなる自分の性分を、ショウをはじめとする先生たちや、時にはキズナたち寮生から戒められてきたおかげかもな、とふと思う。

「ハハ、これは手厳しいな」

 そう言って苦笑するアルバ叔父は、ライルからの思わぬ反撃にどう言う態度をとったものか、考えあぐねている様子であり、何も言わずに見ているショウの方を、助け舟でも出してくれないものかとチラチラと窺っている。

 が、相変わらず黙して語らぬこの教官に諦めたのか、やがて口を開く。

「・・・では、ここに来た理由を単刀直入に言おう。ライル、我が家に戻ってこないか」

「・・・!」

 思いもよらぬ叔父の言葉だった。

「お前の事件の記事を読んだ。炎賊、とか言ったか。お前の身に宿る炎の魔術は、まさに我らがカーバインの血の為せる業。お前は正真正銘のカーバインの者だ。8年前の私は、お前の才を見誤った。盗賊などにその血の力を注ぐのではなく、カーバインとして、日の当たる場所で正々堂々とその力を振るわないか」

 真剣な表情でそう言う叔父に、ライルはしかし反発を覚える。我が家、我らがカーバイン、か。

「カーバインの名にこれ以上泥を塗られる前に、自分の手元に置いて管理しようってわけだ。それとも、俺の力が予想以上で、手駒として使えそうだった、ってとこかな」

「・・・!そんなことはない!手駒などと、お前はカーバイン家の後継者の一人として、ゆくゆくは家督を継ぐことも考えて・・・!」

 ライルの言葉に一瞬絶句した叔父は、言葉の背後に隠した(隠せると思っていた)図星を言い当てられてうろたえる大人の姿そのものだった。ライルがここに来る前、幾度となく見てきた、ライルを子供と侮る大人達が見せる、無様で滑稽な姿。

 その姿に、ライルはますます自分が冷静に、冷酷になって行くのがわかる。

「後継者の一人、ね。確か叔父さんにも子供がいたよね。あいつ、なんて言ったっけ、小さい頃はよくベソかいて俺の後をくっついてきたチビ。魔術の才能なんてひとかけらも感じなかったな。いいの?俺が戻ったら、今度は俺があいつを追い出しちゃうかもよ。魔術の才もないし、本当にカーバインの血を継いでるのか、ってね」

「・・・貴様ァ!」

「そこまでだ、ライル」

 アルバが顔を真っ赤にしてソファから立ち上がるのと、ショウが立ち上がってライルを静止するのはほぼ同時だった。 

「申し訳ない、アルバ殿。せっかくここまでご足労いただいたと言うのに。こいつには後でゆっくりと話をしておきます。今日のところは、ここでお引き取りを」

 ショウが憤懣やる方ないと言う風情で拳を震わせるアルバに向かって頭を下げる。

「・・・フン!全く、ここではどう言う教育をしておられるのか!犯罪者を更生させるどころか、ますますその性根を悪化させているようでは、施設の存在意義が問われますな!」 

 鼻息荒く言い捨て、ライルを最後にひと睨みすると、叔父は足音高く面会室を出て行った。

「・・・やれやれ」

 アルバが開け放したドアを閉め、ショウがため息をつく。

「・・・ごめんなさい、言い過ぎました。でも俺・・・!」

「まあ、最後のは冗談にしてはタチが悪かったな。でもまあ、少しはスッキリしたんじゃないか」

 てっきり怒られていると思っていたライルに、しかしショウは苦笑しつつそう声を掛けた。

「あ・・・、はい。少しは」

「しかし、あれではお前を引き取ろうと言う気もすっかり失せたんじゃないか」

「いいんです。今更あの叔父のいる家で暮らすなんて、考えたくもない」

 そう言うライルは、自分がすっかりアルバ叔父のことを見限っていることに気付いた。

「そうか。まあ、お前の家であり、お前の家族だ。お前の判断に、俺はあれこれ口は出さん。だが、カーバイン家に帰らないとして、お前はここを出た後、どうやって生きていくんだ?」

「ここを、出た後・・・」

「それを考えるために、お前は今ここにいるんだ。忘れるなよ」

 考え込むライルに、ショウはそう声をかける。いつもより少しその声が優しいような気がするのは、気のせいか?

 ショウに連れられて教室に戻る道すがら、ライルは少し大人になってここを出る自分の姿を想像しようとしてみたが、できなかった。


 *


 それから二週間が過ぎた。

 ライルは、何度か女子寮の前で花壇の世話をするエリスを見掛けたが、声を掛けるに掛けられず(自分のことを嫌っている女の子に、何て話しかけたらいいんだ?)、すっかり身に馴染んだ少年院の日課のリズムに合わせて大過なく生活していた。

 その日の昼食後の休憩時間、ライルは一人、大樹に登ってぼんやりと辺りを眺めていた。

 ユグドール少年院は、ライルたちが生活する二つの寮と修練棟、教室などが入る実科棟、屋内での運動や各種のイベントなどが行われる講堂、そして院長室のある庁舎と倉庫類が大樹の周りに配され、さらにその外側をぐるりと高い塀に囲まれている。この塀は要塞建設と同時に築かれ、対物理、そして対魔術にも優れた耐性を持つ、まさに鉄壁の守りを体現するものとなっていた。

 そして今、その塀は俺たちをここから逃さないための、完璧な檻を構成しているってわけだ。出入口は一つだけ、正門と呼ばれる大きな門だ。とは言え、この大きな門が開かれることは滅多にない。普段の人の出入りは、門の脇にある通用口を利用して行われる。

 だが今、その正門が開かれようとしている。サルマンが普段は厳重に封鎖されている大きな巻き上げ装置を操作しているのが見える。なんだろう、とライルは両開きの大きな扉が内側に向かって開いていく様子を注視した。

 外から少年院に入ってきたのは、大きな荷物を運ぶ四頭立ての荷馬車だった。御者席には手綱を握る者とは別に、遠目からも鮮やかな金髪の男が乗っている。荷馬車を出迎えるショウを見付けたらしいその金髪の男は、御者席から飛び降りて何事か親しげに話しかけている。ショウ先生の知り合いだろうか。

 荷馬車は、門を閉め終えたサルマンが倉庫の方に誘導しているようだ。あの倉庫は、食糧庫だったか。とすると、荷物は俺たちが食べる料理の食材、というわけだ。おそらくは定期的にこうやって食料を搬入しているのだろう。

 午後の日課までにはまだ間がある。あの金髪の男は何者だろう。好奇心がくすぐられたライルは、大樹から降りて、立ち話をしているショウとその男の方に向かうことにした。


「・・・ているのか。全くお前という奴は、少しは落ち着きというものを身に付けたらどうなんだ」

「はいはい、ショウ先生のお小言はもう結構。せっかく激務の間を縫って友人が遊びに来てやったってのに、茶の一杯も出さないのかよお前は」

 ショウ先生は苦虫を噛み潰したような顔で金髪の男に苦言を呈しているようだったが、男は意に介した風もなく、軽くいなしている様子だ。高い鼻に長い耳、彫りが深く整った顔立ちで、年齢はショウ先生と同年代、30代前半というところか。どこにでも売っていそうな平服を着ているものの、どことなく立ち居振る舞いには優雅さがある。どこかで見たような顔だが、どこで見たんだったか・・・。

「おっ、こんにちは」

 その金髪の男の方が先に歩いてくるライルに気が付き、にこにこと手を振る。

「ライル、こんなところで何をしている。昼飯はもう食べたのか」

「もう食べましたよ。荷馬車が入ってきたから、何かなと気になっちゃって」

 ショウの問いに、ライルはとぼけてそう言う。

「おー、君が噂の炎賊、ライル君か。俺はエリック。ショウ先生のお友達さ。よろしく!」

 そう言ってにこにこと右手を差し出す金髪の男。

「ライルです、よろしく」

 思わず握手をしてしまった。しかしエリック、その名前もどこかで・・・。

「エリクシル殿下!なぜこのようなところへ・・・!」

 そこへ、荷馬車の誘導を終えたのだろう、サルマンがそう叫びながら血相を変えて走り込んできた。

 エリクシル、殿下・・・?

「いようサルマン。元気で先生やってるか?」

「警護の者も連れずお一人で・・・!全く、あなたという人は、少しは落ち着きというものをですね・・・!」

「それさっきショウからも言われた。いいじゃんたまには」

「いいじゃんではありません!すぐに王宮にお戻りください!サルマンがお供いたしますゆえ」

「ちょ、ちょっと待ってよ!エリクシル殿下って、あの「放蕩王子」⁉︎なんで⁉︎」

 言い争う二人に、ライルが割って入る。

「ふっふっふ、バレては仕方ない。そう、俺こそが放蕩王子!王宮に籠ることを厭い、民草と同じ空気を吸い、酒を酌み交わして笑い、その思いを共有することこそが俺の使命!」

 胸を張ってそう言うエリックに、ショウは呆れた顔をし、サルマンは頭を抱える。 

「ええと、そうだな。今日はあれだ、視察、視察に来たのだ。何しろこの少年院は俺が作ったようなもんだからな。諸君らによって適正に運営されているのか、俺には確認しておく義務がある」

 今思い付いたな、この人。悪くない思い付きだと思ったのか、エリックはうんうんと満足げに肯いている。

「視察だなどと・・・!殿下、例の如く王宮には何も言わずに抜け出してきたのでしょう。後生ですから、このサルマンとお戻りを・・・!」

「ええい暑苦しいぞサルマン!貴様はもう俺の教育係でも執事でもなんでもないのだ!保護者気取りもいい加減にしろ!」

 すがりつこうとするサルマンを心底嫌そうに振り払うエリック。サルマンはそう言う経歴の持ち主だったのか。

「もういいサルマン。ここまで来ちまったこいつには何を言っても無駄だ。お望みどおり当院を御視察いただいて、早々にお引き取り願おう」

 ショウが頭を振りながら仲裁に入る。

「早々にはひどいなショウ。かつては生死を共にした仲間に、それはないだろ。傷ついた、俺は傷ついたぞー!」 

「うるさいお前はもう黙れ。ライル、もう午後の日課が始まるからお前はもう寮に戻れ。サルマンは食料品の納品を確認し、荷馬車を帰せ。俺がこいつをご案内する」

 てきぱきと指示を出すショウ。サルマンはまだ名残り惜しそうではあったが一礼して食糧庫に戻っていく。

 この国の王子に対して、随分ぞんざいな扱いだな、とライルは思う。放蕩王子エリックと言えば、「異邦の悪鬼」シンを討ち取り、先の戦争を終わらせた英雄だ。その英雄と生死を共にした仲間ってことは、ショウ先生も帝国と、シンと戦ったのか・・・?

「ライル、何をぼんやりしている。俺の言葉が聞こえなかったのか」

「あ・・・。はい、わかりました」

 二人の関係について、ショウ先生の過去について、知りたいのは山々だったが、潮時のようだった。ライルはすごすごと寮に戻ることにした。

「ライルくん、また後でな!」

 そんなライルに、金髪の放蕩王子がにこにこと手を振って声をかける。

 王族なのに、全然偉ぶらないんだな、とライルは思った。


  *


 その少し後。院長室の応接スペースで、ショウとエリックが向かい合っていた。

「で、裁判の日にライルを暗殺者連中に襲わせた黒幕は誰か、分かったのか」

 ショウがそう切り出す。

「それがなあ。あの暗殺者ギルドの連中は口が固い。依頼主の情報はテコでも出そうとしない」

「収穫なし、か」

「いや、そうでもない」

 エリックがニヤッと笑う。

「あれだけの暗殺者を投入したんだ、相当の金がギルドに流れているんじゃないかと思ってな。ライルの事件の被害者連中の、襲撃前後の金の流れを追わせたんだ」

「ほう。当たりがあったか」

「いや。逆だ。何もなかった」

「何もない・・・?」

 ショウが訝しむ。

「つまり、ライルの事件の被害者だった武器商人たちは、あの襲撃に絡んでないってことさ」

「じゃあまた調査は振り出しってことか」

 落胆するショウに、ちっちっちっ、と指を振るエリック。

「いやいや、そうでもない。金の動きが全くない、ということは、ギルドが金では動いていない可能性があると言うことだ。で、あのギルドの主な出資者も調べさせた。二重三重の偽装をしてな、巧妙に隠蔽されていたが、うちの情報班は優秀でね。最後にはその驚くべき名前に辿り着いたと言うわけさ。・・・誰だと思う?」

「勿体ぶるな。誰なんだ」

「アルバ=カーバイン。ライルの叔父上さ」

「なんだと・・・!」

 ショウは絶句する。

「アルバは魔術の才こそないものの、戦後の混乱の中、ライルの父母をはじめ主だった者を失ったカーバイン家を没落させることなく、よくまとめてきた。その裏には、件の暗殺者ギルドへの出資を初めとする、影の実業家としての顔があったと言うわけだ。なかなかの狸だよ、あれは。気をつけるんだな」

 エリックは珍しく真剣な表情でそう言った。

「しかし、黒幕がアルバだとしたら、なぜ奴は、ライルを亡き者にしようなどと」

「まあ、怖くなったんじゃないか」

「・・・怖い?」

「そうさ。8年前に捨てた甥っ子が、恐るべき魔術の使い手として舞い戻ってきたんだ。自分が恨まれていると言う自覚もあるだろう。生かしておけば復讐される、折角継いだ家を奪われる、とでも思ったんだろうさ。だからこそ、裏から手を回してライルの担当検事に腕利きを付け、ライルが死刑になるように仕組んだ。しかし誰かさんの弁護活動によってその目論見は外れてしまい、次の手として、子飼いの暗殺者ギルドを投入した。筋は通っているだろう?」

「それも失敗して、懐柔のために直接乗り込んできた、と言うわけか」

 ショウは先日の面会風景を思い出していた。

「ああ。だが、それも失敗に終わったらしいじゃないか。となれば奴はどう動くか」

「・・・奴の次の一手に、警戒が必要だな」

「そう言うこと。食料に毒でも仕込まれたら大変だろ?」

「・・・エリック。今日の搬入にお前がくっついて来たのは、そう言うわけか。すまん、感謝する」

 頭を下げるショウに、鼻の頭をかくエリック。

「まあ、気にするな。この少年院は俺の肝煎りだからな。そう簡単につぶれてもらっちゃ困る。お前にはでかい借りもあるしな」

「ふっ、借りなど、ここを作ってもらったことでもうチャラだよ」

「・・・そうか。じゃあ、ま、俺の作った少年院と、そこで暮らす子供たちの姿を見せてもらいますかね。俺はどこぞの暗殺者ギルドの影の出資者と違って、堂々と出資してるからな」 

「ご案内いたしますよ、パトロン殿下」

 そう言って笑い合うと、二人は立ち上がり、院長室を後にした。

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