第68話 荒野の攻防戦
「ねぇヌル君さ」
「うん。言わなくてもわかるけど、何かな?」
「魔王に挑戦するプレイヤーって、永遠に現れないんじゃない?」
「否定できない…」
玉座の間にて開かれた会議での一幕である。
今日は記念すべき日。
なんと魔王城の挑戦者が現れたのだ!
勇者勢に所属する12人程のギルド『バオラム』が、冬雪のダンジョンで得た挑戦権を手に魔王城のある荒野へと転移してきた。
冬雪のダンジョンを越えた以上、冬雪&陽夏の区画は挑戦しないが、残り3人の四天王を巡る必要がある。
勇者勢プレイヤーが転移した時点でみんなが感知できるため、あまねくは「どう料理してくれようか」と不適な笑みを浮かべたし、ティオはようやく見せ場が巡ってきたと期待に胸躍らせた。
しかし。
ギルド『バオラム』は魔王城の建物に辿り着く前に全滅した。
というのは、冬雪がログハウスで商売していることから分かる通り、魔王城の荒野には多数の魔王軍プレイヤーが滞在している。
ギルド『バオラム』は、まさにその集団の中に転移したのだ。
勇者勢を倒せば貢献点が稼げる。
ゆえにその場にいた魔王軍プレイヤーが殺到、乱戦に発展した…というわけだ。
気の毒なことに『バオラム』は転移直後に10倍以上の兵力差での戦いを強いられて敗北したのだった。
「……あの程度で全滅するようでは、ヌル殿に挑むなど百年早い。気にする必要はないだろう」
「確かにあまねくさんの言う通りではありますけど、城の周辺の魔王軍プレイヤーは今後も増える想定ですし、冬雪の言う通り永遠に挑戦者が来ない可能性が出てきてしまいます。
このような場合の対策は考えておくに越したことはないです」
「ヌル殿が対策を考えたいと言うのであれば俺に異論はない」
あまねくの了解を貰って、ヌルは四天王たちを見回す。
出席しているのは四天王全員だが、会議に参加しているのはあまねく、ハチコ、冬雪だ。
ティオと陽夏は戦闘が絡む会議の場合にはズレた方向性の意見を出すことが多く、本人たちもそのことに自覚があったため早々に隅っこで遊び始めている。
もちろん、実働段階や意見を求められる場合にはちゃんと働くが、今はそのフェーズにないことから他メンバーも許容している。
「これで…どうデスかっ!?」
「うーん……それはアタシに食べろってこと?」
二人は“シュークリームチェス”というゲームに興じている。
ちなみみ陽夏発案である。
チェスのコマをシュークリームで作ったもので、“取った相手のコマを食べなければならない”というルールがある。
自分の持ちコマのうち3個だけクリームの代わりにワサビを仕込むことができ、相手にそれを食べさせた方の勝ちとなる。
現実世界であれば「食べ物で遊ぶな」と怒られそうだが、ここはゲーム世界。
どれだけ遊んでも食べ物としての品質が損なわれるわけもないため、新しい遊びとして魔王城で密かにブームとなっている。
ちなみに一番チェスが強いのは冬雪で、ほとんどの仲間たちがワサビの辛味に泣かされている。
ワサビに耐性を持つあまねくだけは例外なのか、耐えられるか或いは舌が鈍感らしかった。
「ふふふ。食べられるものなら食べてみなさい?」
「うぐ…どれもハズレに見えるデス…」
ティオたちのシュークリームチェスが終盤に差し掛かる頃、真面目なメンバーの会議も結論が出る。
「では、まず魔王城の荒野で活動しているプレイヤーに対する制限やテコ入れはしない。
次に魔王城エントランスをセーフゾーンとして改修して安全地帯とする。
併せて勇者勢のプレイヤーには魔王城に到着直後から戦闘が始まるけれど、エントランスにさえ到着すれば安全であり、魔王城を目指す障害物競走のようなエリアであると喧伝する…と。
残りの課題としては勇者勢のプレイヤーにどうやってこの事実を伝えるのか?という点でしょうか。
発信源が我々である以上、罠の可能性を疑われることは確実ですよね。
どうにか公平な手段を見つける必要があります」
「GMに言えばいいだろう。我々だけが得する話でもあるまい?」
「いえ、我々独自の設定を布告するのにGMの手を借りることはできません。イベントの進行上必須ということでもないですし」
「ふむ…」
ヌルもいくつかプランを考えてみるが、自分は魔王視点しか持っていないのでハチコの言う公平性を担保できるかと言われると疑問が残る。
「はいはーい! 良い作戦があるデス!」
元気な声と共にティオが存在を主張する。
背筋を伸ばして元気よく片手を上げているが、サイズが小さい状態だったので飛び跳ねている。
ふと視線をティオの足元動かすと陽夏が身悶えして転がっており、ワサビに耐えられなかったのか「うきゃぁ〜」と奇声を発している。
陽夏をそんなにしたティオは堂々と宣言する。
「ズバリ、新聞社の取材を受けるデス!」
「新聞……ユニバース新聞社ですか?」
「そうデス! あそこにボクたちの独占取材をしてみないかって申し込んでみるデス。
取材場所を魔王城エントランスにしたら話題沸騰で新聞社は飛びつくはずですし、有料の記事なら信ぴょう性も抜群デス!
それに城内の写真があれば、敵さんも攻略の助けになるカモって勝手に勘違いして買ってくれますよ」
「ほう…」
あまねくが感心した様子を見せる。
いつも突飛なアイデアを出す彼女にしては筋の通った提案……とティオは話し合いでの能力を低くみられがちだが、こと宣伝に関してはアイドルとして経験が活きたということだろう。
ハチコも同意するように頷く。
「悪くない案ですね。魔王城エントランスに辿り着けば安全というのも事実ですから読者にとっては紛れもない攻略情報です。
今のうちに小さい攻略記事出す土台が作れれば、未来的にもしも挑戦者がいなくなった場合のテコ入れも可能でしょう」
「じゃあ、ユニバース新聞社に独占取材を打診するという方向でいきましょうか。顔つなぎ役をティオさんにお願いしてもいいですか?」
「モチのロンです!」
ーーー
余談。
「そういえば、冬雪のダンジョンは結局どうやったらクリアできるんだ? こないだみたいに絶対に儲からないシステムじゃなくしたんだろ?」
ヌルが世間話を装って冬雪に攻略法を尋ねる。
実は冬雪はダンジョンを全体に公開する前、魔王軍幹部を招いておためしでスロットを遊ぶ機会を設けていた。
その時ヌルは冬雪の罠にかかりスロットを壊してしまい、全コイン回収という悔しい思いをした。
「いやいや、もともと”絶対に僕が勝つシステム”なんて組んでないよ。それはGMさんに禁止されているし、ちゃんとクリアできるように設定してるさ」
「本当にぃ?」
「もちろんだよ。というか、あのカジノスロットは君みたいに純粋な人にこそクリアできるように設定してるんだよ?」
「だったら俺が全ロスしたのはおかしいだろ」
全ロスとは全財産を失うことを指すのだが、ゲーマーの間では大きく損失があった際にも用いられる。
「わかってるよ、タネ明かしするよ」
冬雪は四天王の権能を使用して、自分のダンジョンで各プレイヤーに配布される特殊スロットマシーンを取り出す。
これは冬雪に限り特別に検証用のものを使用できるようになっている。
「実のところ確実にクリアする方法は2種類ある」
冬雪はスロットマシーンの裏側にあるハッチに鍵を差し込むと開き、機械の中にある設定画面を見せる。
「見ての通り、レートは1以上なんだ。つまりずっと回し続けていればいつかは1万コインまで貯まる設定なんだよ。ただ、そのいつかが回し続けて一週間くらい後の話ってだけでね。
それで君を含めたプレイヤーはみんなコインが数枚づつ微増する時間が待ちきれなくって違法改造パーツに手を出した。
改造パーツの効果は明文化してないんだけど”所持コインが1万に近づくほどスロットが壊れやすくなる”というものでね、まぁ、一度でも改造してしまったら1万コインまでは到達しないと考えてもらっていいよ」
「やっぱり詐欺じゃないか!」
「ふふふ…そう思うよね。でも”違法”の”改造”をしたのはお客さんなんだし自己責任だよ。ちゃんと注意事項をアナウンスしてるし。
まぁスロットでコインを稼ぐ以外の方法で1万コインを集めてしまえばいいだけさ」
「うん? スロットしか無いのにスロット以外を使うって謎かけか何かか?」
「いやいや。スロットを渡されたからってスロットを回す必要はない。実のところ、これを使うのが正解なのさ」
そう言って冬雪は違法改造パーツの一つである”コイン電子化”という機能を取り出す。
初期状態ではコインを物理的なコインケースに入れ、そこからスロットを回すたびにコインを投入するのだが、このパーツをスロットに取り付けると手持ちのコインを全て投入して電子化することが可能になる。
そしてスロットを回すたびに自動的にプールから消費コインが引き落とされるという便利機能である。
「それってコインをいちいち投入する手間を省くための道具…だよな? 関係あるのか?」
「うん。一番大事なパーツだよ。もうやり方教えちゃうけど、このパーツをつければ手持ちのコインを全部投入できるだろ?
手持ちがない。つまり交換所で500コインを新しく購入できる。
そして、その500コインをまたスロットに全投入する。
また購入して、スロットに投入。これを繰り返すとスロットを貯金箱のように使えるからね、1万コインまでスロットに投入すればいい。
それで貯めた分を払い戻しすれば1万コインが返ってくる。
つまりコイン代100万とパーツ代5万、合計105万ユニ払うだけで挑戦権を買えるってわけさ」
「あー…そういう事か。で、今魔王城周辺にたむろしてる魔王軍プレイヤーたちはその方法を冬雪から聞いたってことなんだな?」
「そうだね。おそらく到達してすぐにやられちゃった勇者勢の人たち…最初の挑戦者も、このやり方をどこかで聞いたってことだと思う。
まぁ僕は最低でも105万は儲かるし、気にせず広めたってわけさ」
「なるほど…。冬雪が新しく始めた商売利益をほとんど
ーーーー
───────しばらく後。
ティオの活躍によってユニバース新聞社から記事が公開された。
『魔王城の秘められた内部を暴く!!』と銘打って販売された記事だったわけだが、魔王城での会議で想定されていた以上の効果があった。
ヌルたちの予想に反して魔王軍プレイヤーまでもが記事を購入したのだ。
というのも、記事を購入した魔王軍プレイヤーたちは勇者勢プレイヤーを返り討ちにしたことについて魔王がどう認識しているかが気がかりだったからだ。
魔王とその幹部がレアアイテムやレベルアップ手段を提供してくれている以上、魔王の機嫌を損ねるのは避けねばならない。しかし、魔王と直接話す機会もないために行動指針とするべき情報が不足していたのだ。
魔王がどう思っているか知りたい。
そうして読んだ記事には魔王城エントランスがセーフゾーン、つまり一度到達すれば転移可能な安全地帯であること、そして売り文句のように『魔王軍プレイヤーの猛攻を乗り越えて魔王城に辿り着こう!』と記載されていた。
つまり、魔王自身は魔王軍プレイヤーが挑戦者となる勇者勢を“選別”することを歓迎していると受け取ったのだった。
もちろん、当然のことながら勇者勢プレイヤーには記事が爆売れして幅広く読まれた。
四天王ダンジョンがなかなか突破できないプレイヤーは何かヒントがあるのではないかと期待して記事を手に取るが、魔王に挑戦する前段階で苦戦している時点でそもそも魔王城は遠いい。
しかし、一度でも勇者勢でカジノを越えたプレイヤーが現れた以上、その方法が共有されるのは自明の理であった。記事の公開を契機とするかのように、魔王城に転移するプレイヤーは日に日にその人数を増し加えたのだ。
徐々に増える勇者勢だったが、同じ記事を読んでいる以上、その勇者勢プレイヤーを狙う魔王軍プレイヤーも同様に増えてくる。
元々の人数差から勇者勢が圧倒的に少ないため、散発的に転移した勇者勢が魔王軍プレイヤーに囲まれて殲滅されるという状況が長く続いた。
そのため、勇者勢も知恵を絞って魔王城入口までのルートを真剣に検討したり、人のいなさそうな夜の時間帯を狙うなど、子供の陣取り鬼ごっこのような様相をみせていた。
魔王城の入口に勇者勢が辿り着けるかは、暇な魔王軍プレイヤーがいるかどうかという不確定要素となる。
ヌルたちは魔王軍プレイヤーの密度の少ない時間帯にも防衛できるように、余っていた魔物を城の周辺に配置することにしたのだった。
そして現在、勇者勢プレイヤーたちはというと組織的な攻略にのりだそうとしていた。
「準備はいいか?」
魔王城が手薄になるとされる夜間。
とある街の宿屋に彼らは集結していた。
「よし、作戦の再確認をしてから突入だ」
宿屋の大広間に7つのギルド、実に総勢52名が顔を見せている。
これほどに集まっても注目を浴びないのは、宿の所有者がこの集まりの参加ギルドであるためだろう。
そして彼らが勇者勢としては中堅どころ。牽制し合うほどの強豪ではないし、魔王軍が警戒するほど有名でもない。
「まずはこの後に全員同時に転移。
敵の人数はともかく、まず間違いなく囲まれた状態から始まる。よって全員同時に目眩しの閃光と煙玉を使用する。
あとは各々のギルドで散会して事前に報告したルートに従って城を目指す…というのが大本の方針なんだが、いまさら異論のあるギルドはいないよな?
あとは注意事項、ってかマナーだよな。
一度散会したらどこのギルドに敵さんが集中しても恨みっこなしだ。
当然、他のギルドに敵を擦りつけるのもなし。
フェアなルールでのかけっこ競走と行こうじゃねえか」
彼らは自分たちが様々な点で“究極英雄”や“山崩し”といった一流、あるいはそれに並ぶ強豪ギルドには及ばないと自覚しているが、だからこそできる戦い方があることも知っている。
それは“妥協”である。
そもそも彼らは自分たちが魔王ヌルを倒せるなどとは微塵にも思っていない。
彼らの目的は貢献点の蓄積によって“そこそこ良いアイテムを貰って楽しむ”ことなのだ。
例えば『魔王城に最初に入城した』や『四天王へのファーストアタック』という実績による貢献点は、一流ギルドにとっては物足りない報酬だが、人数や装備品の劣った彼らには十分美味しく利益がある。
彼らは小金稼ぎのようにして魔王城へと挑戦するのだ。
「そろそろ、いい頃合いか?」
最後の念押しとして主催者が確認を促す。
彼が宿屋のオーナーであり、今回の作戦の中核である。
彼がオーナーとして様々な人物と顔を合わせることによって得た人脈が今回の作戦を実行させた。
彼自身がギルドの代表であるため、冬雪のダンジョンで購入した挑戦権を使用するべく取り出す。
他のギルドのリーダーたちも同じように挑戦権を使う体勢にある。
もう号令をかければ一斉に行動開始となるはずだったが、ここで慌てた声が上がる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
見るとどこかのギルドの人物が両手をあげて制動をかけている。
確か…偵察系のジョブで、情報のやり取りを任せられている人物だったかと思い出したところで言葉が続けられる。
「興味深い情報が入った! もう少しだけ待機してほしい、上手くいけば状況が有利に動くかもしれない!」
得な事があるかもと提示されれば聞く耳を持つのが彼らの柔軟なところ。
しかし急いでいるわけではないが、あまり悠長にもしていられない。
それぞれ生活のある者達である。今回を逃せばこのメンバーが次に集うのはいつになるかわからない。
「内容次第では聞こう。とりあえず話してくれ」
「わかった、これは俺の使っている極秘情報ルートから確度9割以上として流れてきた情報なんだが、この後、俺らと同じように考えていた“山崩し”の連中が魔王城に突撃を掛けるらしい…」
「何ぃ?」「マジか!?」「ほほぅ?」
口々に驚きの反応が返る。
どれも「そうであったらありがたい」という声色をしている。
ギルドの総合的な攻撃力で言えば究極英雄に匹敵する“山崩し”である。それが魔王城に攻勢を仕掛けるなら利用しない手はない。
山崩しは広域で乱戦を展開するだろう。
そこで敵味方入り乱れる状況となった戦場に後乗りで自分たちが入り込めば作戦の成功率は大きく増す事だろう。
「ふむ、10分待つ程度なら大きく差は出ないだろうし、仮に誤報でも計画の範囲内だな」
そう結論づけると声を張り上げる。
「俺は彼の報告を考慮して突入を遅らせるつもりだ! 異論のある奴はいるか?」
それなりの夜中にも関わらず大声で周囲に問いかけたのは、宿の建物効果に防音が付いているためだろう。
主催の人物は注意深く周りの顔をみる。
こういう時に声を上げない割に納得していない者がいると作戦の邪魔になるのだ。
幸い懸念通りにはならず、険しい顔の男が手を上げてくれている。
「異論はねえけど、出来れば10分じゃなくて正確なタイミングが知りたいぜ。
いざ行ってみて俺らの後から山崩しが来たんじゃあ目も当てられねぇ」
「そうだな。…なあその極秘ルートは、正確なタイミングはわかるか?」
情報を提出した者に問いかける。
問われた方は首を横に振った。
「まあそれはそうだろうな」
山崩しがこれから突撃するなどという極秘情報が出回った事自体がほとんど答えに等しい。
つまり、内通者が情報を流している。
所属メンバーは名前の通り“山”ほどいるが、金銭に貪欲な事で有名な山崩しである。仮に魔王を討伐できたとしても魔王との戦いに選抜されなかった者はオマケ程度の利益しか得られないだろう。
人数に対して不平等に分配される報酬に反感を持つ者も居るはずで、小遣い稼ぎとして情報を流していてもおかしくはないのだ。
だが、魔王城に突入して以降もメニューを開いたままで情報をやりとりしていれば、流石に裏で作業をしている事がバレてしまう。
突入の正確なタイミングが知れないのはそのせいである。
「おーし、それじゃあこの後のことを指示するぞー。
聞いた通り状況が良くなる“かも”って考えるくらいにしといて貰って、各ギルドで“山崩し”の戦闘に乱入した場合のパターンも検討してくれ。この作戦タイムに10分使ってから、最後の確認をして突入だ!」
「OK!」「承知ぃ〜」
返事と共にそれぞれギルドごとに相談を始める。
主催である彼自身も一番いいテーブルに陣取ると、ギルドの仲間達と山崩し乱入バージョンのプランを練る。
「まぁ、なんだ。細かい動きの調整は俺の方で勝手にやっておくから、全力で強化魔法をかけてくれりゃあいい。
うちは元々、魔王城直進の最短ルートだ。
仮に乱戦状態でも俺に魔法を集めて突進する作戦は変わらねぇ。
このルートを得るために主催なんてクソめんどくせえ仕事を引き受けたんだ。俺のおかげでシンプルで助かったな?」
そう笑い、ギルドメンバーたちに頼もしいシブい男の顔を見せる。
そんなリーダーの勇ましい姿に「フッ」と優しい笑みを返した後。
「そのクソめんどくせえ仕事の折衝と調整をしたのはこっちでしょうが〜!」
と、大いに反発したのだった。
そうして彼らは時間が満ちた後、魔王城へと転移していった。
───この日。初めて魔王城の内部へと到達するギルドが出現することになる。
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