第17話 四天王あまねく・わかつ

「ムーさん最近どうよ?」

「すっごく充実したユニバース生活を送ってるよ。…ありがとうな。」

「お、おう。なんか面と向かって言われると照れますな。」

いつもの学食。

無流と平和はいつもの会話を楽しんでいた。

下手なことを話せば勘繰られるため、話題を選ぶ必要がある。

例えば、唐突にあまねくの話なんてするわけにはいかないが、今の無流には話題における手札が一枚多い。

「ピンさぁ? 盾について詳しい?」

平和の目が光る。

「お? おっほー? もしかして、盾に興味がおありですかな?? いやーお目が高いですなぁ!」

テンションが唐突に上がる。

「何を隠そうユニバース世界で最も盾の熟練度が高いのがワタクシ、ピースフルさんなんですねぇ!」

「そうなの!?」

身近なところに上達の手がかりがあったものだ。

「…でも何で盾に興味を? ムーさんは鎌主体ファントムだったよな? まぁ剣盾の相性はそこそこだとは思うけども。」

「ええと、こないだちょっとしたキッカケでバリア盾? っていうのを知ってさ。ちょっと興味出たんだ。」

もちろんキッカケは自分自身である。

「そうなのかー。まだバリアは装備できないと思うけど、アレは良いものですぞ。使いやすいし。」

「へぇ〜。ピンもバリアなのか。意外。てっきり重厚な感じのドアみたいな盾かと。」

「ん? もちろん物理盾でござんすよ。超高性能な大盾ですわ。まーワタクシともなれば? 盾じゃなくても剣と鎧、それにアクセにから、順番に使えば永遠にバリア張れますわ。」

「え…ナニソレずるい。」

あまねくと修行していたヌルが右手左手の順に使っても、少なくとも4分はインターバルが必要で、とても永続とはいかない。

そもそも片手盾以外でバリアを使えることにも驚きである。

ピースフルの装備は一級品なのだろう。

「じゃあ無敵ってこと?」

修行の経験により無流は勘違いをしているが、バリアはダメージの遮断ではなく、軽減である。

「いやー、流石にそんなことはないっすわ。バリア割りスキルとか、ダメージ超過なんかは防げませんわ。」

やれやれという顔をする。

「もちろん何枚も同時展開すれば一時的には無敵に近いけどな。」

とも加える。

無流が冷静であればバリアの弱点を簡単に明かしたことに違和感を覚えただろうが、与えられた情報のインパクトに心を揺さぶられていたために気付くことはなかった。

「にしても、そうかー。ムーさんは盾に興味ありますか〜。なら、序盤の盾は大地の門:Iがおすすめだな。」

「…どんな装備なんだ?」

「普通の片手盾でござんすよ。ただ、入手できるタイミングと装備レベルが優秀で、市場で流通してる盾よりも高性能なんすわ。」

「へぇー。どうやって手に入れるんだ?」

「カナババ山脈のノームには会ったかい?」

「ああ、もちろん。(パスタで)冒険したし、鳥のボスも倒したぞ。」

無流が順調に進んでいることに平和は良しと頷く。

「あそこの妖精の泉に4000ユニ投げ込めば手に入りまっせ。」

「え? 俺、合計10000ユニ入れてるはずだけど、貰えてないぞ?」

ノームの作った斧なら6000の時に返礼品で貰えたけど、と加える。

「んにゃ、バースレコードの到達報酬ね。」

「…バースレコード??」

「うん?」

お互いに頭の上に疑問符を浮かべたまま首を傾げた。

どこかに話の食い違いがあるのだろうか?

そこで平和がハッとする。

「もしかして、ムーさん。バースレコードを知らない…??」

「ええと、うん。」

「なるほど、通りで…。」



こうして無流は『バースレコード』というものの説明を受けていた。

繰り返しになるが、バースレコードはある種の記念を達成した時にその記録が残る機能である。

例えば「はじめてレベルが10に到達した。」とか「あるダンジョンを踏破した。」というもので、記録達成の項目を確認した際に記念報酬が手に入る。

報酬はお金や装備のような普遍的なものや、薬や魔法の巻物のような消耗品、意味のない置物など様々である。


そして、ノームの村にある妖精の泉に4000ユニのお金を投げ込むことで達成できるバースレコードの報酬こそ、大地の門と呼ばれる盾なのだ。


「とまぁ、そういう機能があって、達成したらとりあえず報酬をもらった方がいいですわな。」

この手の機能はオンラインゲームには多いが、無流がユニバースを始めるまでにプレイしていたゲームにはなかった。

そのために気付かなかったのか、はてまた魔王というインパクトが、メニューに関するチュートリアルを忘却させてしまったからなのか。

今となってはわからない。

「なるほどな。つまりは、俺は貰えるはずのものを貰えてない、ちょっと勿体ない奴ってことだったんだな。」

平和は首肯する。

「あ、そうそう。ちなみに、新しい記録を世界で最初に残すと報酬が特別なものになるんだぜ。」

「ほう?」

「最初に記録を残した報酬ってことでファーストレコード、略してFR報酬なんて呼ぶんだが、ワタクシことピースフルのアクセ装備も、FR報酬なんすわぁ。使いやすいし強いっすね。」

「そうなのか、楽しみだなぁ。」

無流はおそらく魔王として一個くらいは記録を達成していると思っている。

平和は無流が「いつかは達成できたらいいな」と思っていると認識している。…それと同時にバースレコードを知らずプレイしていた点が引っかかった。


それはちょうど無流が魔王の自分について考えていた時だった。

「…なあムーさんや。」

「うん?」

「ゲーム内で会わないか?」

「……!」

恐れていたセリフを親友が口にしたのだった。


理由はわからない。いや、明確である。

初めから彼は会いたがっていた。

いつもの逃げ口上を言おうとして無流は逡巡する。

…いつかは出会うのだ。

魔王と、プレイヤーのトップという敵同士で。

しかし今はまだその時ではない。

ならばと無流は覚悟を決める。

「いいよ。『パスタ・ルーム』ってキャラから通話がいくと思うから。どっかで会おう。」

「おおー! ついにムーさんもワタクシに遠慮しない事にしたワケですな! もちろん楽しみにしてますぞ!」

「…ピン、ごめん。ちょっと…驚かせちゃうかもしれない。」

「ふっふっふ。サプライズ大歓迎! 一体どんな事に…。」

「あー…うーん…。いや、うん。楽しみにしてくれな。」

無流は考えないようにしていたプランを決行しようと心に決める。


ーーーーーーーーーーーーーーー


あまねく・わかつがログインした。

彼のログイン場所は魔王城である。

特定の活動拠点を持たない彼だが、魔王城は居心地がいい。

「あまねくさん!」

ログインして早々に魔王から声がかかる。

「ヌル殿! どうした? 修行の続きか?」

「いえ、手伝ってほしい…協力をお願いしたいことがあるんです。」

その言葉を嬉しく感じ、二つ返事で了承する。

あまねくはそれだけ彼のことを信頼している。


「ありがとうございます。

それで、ええと、協力をお願いするのに隠しておくのは不誠実なので先に打ち明けますが、

俺はなんです。」

「えっ…。」

「それで、あまねくさんには…」

ヌルが何かを言っているが、判明した事実の衝撃が大きく、ヌルの言葉が耳に入らない。

何かを説明しているが、うまく聞き取れない。

「これが俺の魔王じゃない時の姿です。」

そう言って『パスタ・ルーム』というプレイヤーが出現した。

レベルは27。弱い。

もしかして、自分は騙されているのだろうかという気持ちが芽生える。

ピースフルと結託して、自分を嘲笑っているのではないか?と。

自分に敗北を与えた相手が知り合い同士なんてことが偶然にあるだろうか?

しかし、その気持ちはあまねく自身によって両断される。

たかだかヌルとピースフルが友人という事実ごときでは、あまねくのヌルに対する信頼は揺るがないのだ。


そして、考えを改めたことで、違和感に気づく。

そう、ピースフルと現実での友人なら、ユニバースの開始も近いタイミングの筈である。

なのに種族のレベルが27しかない。あまりにも低すぎる。

魔王ヌルは、あまねくの弱さを指摘した。

なのにその人物がピースフルではなく自分に修行を依頼した。

そして、ピースフルは魔王を倒すことを公言している…。

何かがおかしい。


「ハッ…! そういうことか…!」

その時、あまねくの心の中の内なる迷探偵が完全なる推理を披露した。


『ピースフルと同時期にゲームを始めたパスタ・ルーム。

しかし友人は物凄い速度で上達し、トップレベルのプレイヤーになった。

一方でパスタは、友人に追いつくどころかスキルをうまく扱うことすらできない。

その友人との差に苦悩し、ユニバースをうまく楽しめなくなってしまう。

それでもピースフルは歩みを止めることなく、最上位まで上り詰めて行く。

パスタは最早、キャラクターのをしたかも知れない。

そんな中、大会でピースフルと対峙するあまねくを見た。

スキルに振り回されるあまねくを見て、自分と重ね合わせる。

そして「魔王に任命される」という転機が訪れ、

魔王の性能というスキル以外の戦法を身につけ、ヌルの戦闘能力が開花する。

かつて自分を置き去りにしたピースフルと雌雄を決するために、彼が自分と敵対するように仕向けた…。


つまりこれは、2人の男の因縁の戦いであり、ピースフルに数度負けて不貞腐れていた自分などの比ではない。

ピースフルが日の光を浴びている間、パスタは雌伏の時を過ごし続けたのだ…!』


…とあまねくは勝手に解釈し、一生懸命に説明するパスタの話をすっ飛ばして、自分の妄想を事実であると勝手に受け入れた。


「そういうわけで、自分は…。」

「わかっているとも、ヌル殿。」

「えっ!?」

「ヌル殿が世界の覇権を握るその時まで、ピースフルにはヌル殿が、いやパスタ殿が取るに足らないプレイヤーであると偽装する必要がある。

そのための共犯として、ピースフルと顔見知りである俺を選んだのだろう? もちろん協力するとも。」

根拠と経緯はまったく違うのだが、結論だけは一致するという奇跡が生まれる。

「そ、その通りです! あまねくさんは凄いですね。俺の考えをすぐに理解するだなんて…!」

「ククク。俺は四天王だぞ? 造作もない。であればピースフルからの疑惑の目を全てパスタ殿から俺に向くように仕向ければよいのだな。任せておけ。」

パスタには、あまねくがこれ以上なく頼もしい人物として映った。

「ありがとうございます! じゃあ、矛盾のないように自分とあまねくさんの関係性とかを決めましょう。」

「うむ、パスタ殿は俺の弟子という事にしてもらいたい。俺は他人には興味がないが、ヌル殿の修行に付き合っているわけだ。嘘というわけでもあるまい。」

「はい! それいいですね。」

あまねくは首肯する。

「それと…いくつか用意してもらいたいものがある。まずは…」


こうしてピースフルを欺くための策は着実に進行していく…。


ーーーーーーーーーーーーー


バートンライト陸橋交差。

巨大なドラゴンの通り道を迂回するために作られた巨大な橋の麓には町がある。

南バートンライト。

そこに最強のプレイヤー「ピースフル・ワイルドアイランド」が訪れる。

目的はもちろん友人と初めて再会するためである。

そしてすんなりと待ち合わせ場所の魔法店の前に目的の人物を発見する。

『Lv.27 パスタ・ルーム ファントム/戦士』

「お! いたいた。パー…?」

声をかけようとして、その隣に佇む人物に目が行く。

『Lv.110 あまねく・わかつ 鬼/剣豪』。

「んんん???」

二人がこちらに気づく。

「ピースフル! 遅刻か? 俺を待たせるとはいい度胸だ。」

会って早々あまねくから叱責が飛ぶ。

「い、いやー、待ち合わせしてたのはパスタの方で、あまねく氏はなんでここに?」

「それは俺から説明するよ。実は、あまねくさんは俺の師匠なんだ。」

「どえっ!?」

ピースフルが大仰に驚いてみせる。

あまねくは勝ち誇った笑みでピースフルを見る。

「パスタの師匠って…。あまねく氏が弟子をとったのも驚きだぜ。」

確かにあまねくはそのような人物ではない。

「ククク…。パスタはその辺の有象無象とは別だ。鍛えれば俺に届くかもしれん。」

この一言でピースフルは色々な事を納得した。

親友が今まで自分を頼ってこなかったのは、遠慮ではなく自分と同格の人物がサポートしていたからだ。

敢えて告げなかったことが、サプライズかも知れない。

とはいえ、パスタはバースレコードを知らなかった。まだまだ配慮が足りないと過保護にも考えていた。

「早速だ、パスタ。ピースフルをパーティに誘え。そして行くぞ。」

了解を示したパスタがピースフルをパーティに加える。

「ん? 何かするのか?」

パーティ加入を承認した上で、何をするのか尋ねる。

「決まっている。ここで自分より格上の強者を連れ歩くならばあそこしかないだろう。」

あまねくはドラゴンの棲む山を指差す。

「えっ? あ、あー。そうか、俺はパスタの特殊ミッションの手伝いとして呼ばれたのか!」

そしてピースフルの顔にやる気が満ちる。

「ヘヘッ、パスタさんにいいところ見せてやんよ!」

「言ってろ。お前の出番は雑魚潰しだ。」

極めて“自然な”流れでミッションへと出発する。



「へー? パスタは珍しい組み合わせの装備だなぁ?」

道中の雑魚敵の戦闘中。

パスタの戦闘スタイルを目に留める。

パスタは物理の片手盾とショットガンの組み合わせである。

ありえないではないが、普通のプレイスタイルでは選ばれないものであった。

「俺が指示した。パスタは刃物の扱いは下手くそだが、盾の使い所は悪くなかった。それで両方取らせた。」

などという会話をしながらどんどんと進んでいく。



今回のミッションは「竜の財宝」という。

レベル70代のドラゴンの巣からアイテムを盗み出すという、パスタには相当難度の高い内容だった。

しかし、結果だけ見ればあまりにあっけない。

財宝にパスタが手をかけた時点から無限に湧き続けるドラゴンたち。

しかし、ドラゴンが湧くそばからピースフルとあまねくが倒してしまうのだ。

パスタは意気揚々と財宝を持ち帰るのだった。



再び街に戻ってくる3人。

「パスタ、ミッション達成報告はわかるか?」

「あっハイ。ちょっと行ってきますね。」

一人用ミッションの報告は一人でしかできないのでパーティを解散する。

パスタが小走りで街角へ消えていき、最強のプレイヤー2人がそこに残される。

ピースフルが顔を向ける。

「いやはや、あまねく氏がこんなに面倒見がいい人だとは思わなかったぜ。」

「ククク…。パスタには見どころがある。まさに俺のとして最適だ…。」

「それは…どういう…?」

ピースフルは違和感を覚える。

あまねくの名前の表示に見覚えの無いアイコンが表示されている。

いや、知ってはいたが実際には見たことの無いアイコンである。

それは魔王軍:幹部「四天王」を示すものであった。

「…あまねく氏…? 何だよ、それ。」

「知らないわけではあるまい? 俺は四天王あまねく・わかつ。もちろん“お前の敵”だとも。」

反射的に戦闘態勢に入る。

しかしここは中立のエリアであり、Ver3.0イベントは戦闘の局面に入っていない。

現時点での奇襲は仕掛けた側にペナルティとなりかねない。

戦闘に応じたとしてもメリットが薄い。

そのせいか、あまねくは刀を抜かない。

「まだ俺はお前とは戦らない。勝つには能力が足りんからな。今は力を蓄える時だ。俺の軍団にも人員不足が否めん。」

もちろんブラフである。

四天王の配下は編成が開始されていない。

しかし、あまねくはピースフルの関心を自分に向けるための演技を続ける。とはいえノリノリであった。

「ちょうど俺の右腕を任せるにもいる事だしな。楽しみだ。」

その言葉にピースフルが思い当たるものがあった。

「…! 待て! パスタは巻き込むな! アイツは魔王軍とは別の場所で冒険を楽しむべきだ!」

「ククク…。」

「まさか…もう…?」

「安心しろ。その顔が見たかっただけだ。俺はパスタに四天王どころか、魔王軍所属であることさえ明かしてはいない。」

ピースフルは一応の安堵をみせる。

あまねくは四天王アイコンを非表示に切り替える。

パスタの気配を感じたためだ。

タタタッとパスタが駆け寄る。

「戻りました! 今回はありがとうございます。何かレアな羽アイテムを貰いました!

ん…ピースフル? どうしたんだ?」

「あ、いや…。」

「ククク…コイツはパスタが思いの外成長していた事に驚いていたようだぞ?」

「そうなのか? 俺だって頑張ってるんだぜ?」

「あ、ああ。驚いたぜ。基礎的な動きもマスターしたみたいだし、今後が楽しみだな。」

愛想笑いをするピースフルを他所に、あまねくが話題を変えてしまう。

「パスタよ、その羽はカロミオの吟遊詩人が探していたものだ。受け取れ、カロミオ行きのワープパスだ。先に行って交換を済ませておけ。」

「あ、ハイ! ありがとうございます!」

チケットのアイテムを受け取ると、パスタの足元に転移の魔法陣が表示される。

パスタの姿が消える事を確認すると、あまねくが向き直る。

しかし、先に口を開いたのはピースフルだった。

「パスタを解放しろ。」

「ククク…。解放だと? 俺は何も強制していないが…?

だが、そうだな。欲しいものがあるなら力づくで奪ってみたらどうだ?」

「…。」

ピースフルはあまねくを睨むだけである。

「そんなに大事か? なら約束してやろう。

俺は四天王としてお前を待ち受ける、もしお前が俺を倒せたなら、パスタにはただのプレイヤーとして接する。ただし期限は、アイツが強者として成長するまでだ。」

「なら今すぐ約束を果たさせてやるよ!」

ピースフルは剣に手をかけ、あまねくに対して「占有状態」を申請した。

「気が早いなァ! だが許可してやろう。お前が俺に挑むに値するか確かめてやる。」

占有状態を受け入れる。

戦闘が開始されるまでの30秒。

異様な緊迫感が2人を包み込んだ。

ピースフルは怒りに似たごちゃ混ぜな感情によって大事な事に気付かなかった。

あまねくが戦闘準備をしていない。

戦闘開始まで僅かといったタイミングであまねくが口を開いた。

「まぁ、戦うのは俺ではないがな。」

あまねくの手の上には一冊の本があった。

名を『魔王軍目録』という。

そして四天王専用のスキルを惜しげもなく披露する。

召喚サモン:魔王の軍勢」

その場に四天王しか呼び出せない高位の魔物が出現する。

『Lv.115 ギョン/魔王イカ』

言わずと知れた凶悪なモンスター。

それが3

小さい声で「好きに暴れろ。」と命令する。

戦闘開始と同時にギョンの名前が赤色に変わった。

「なっ…。」

突然の出来事に驚くがピースフルも警戒を解いてはいなかった。

襲い掛かる3体のギョンをバリアと盾でいなす。

全方位に油断はなく、戦闘に入る。

その刹那、あまねくが目に入った。

…その足元には魔法陣。

「じゃあな。」

「てめっ、逃げるな! 待ちやがれぇぇ!!」

邪悪な笑みを浮かべたまま四天王の姿がかき消える。

そしてその場には最強のプレイヤー1人と、3匹の凶悪な魔物が残されたのだった。

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