Session03-05 手合わせ
「あれじゃな……”
「……そうですね。……上昇志向の強い男であれば、ハーレムの人員として女性を
バーバラが提供されたエール酒を呑みながら皆に聞こえるように口にする。それに、フィーリィもエール酒を口にしながら答えた。その眼差しはアイルに向かっており、優しげな光を
「おっと、そろそろ始まるようだぜ?
「そうだね。ボク達は
ピッピとルナが
対するアイルは、木剣をイーネが構える型よりも下に剣先を下げる。その構えを見たイーネの目つきが
「はあああぁぁ!!」
気合を入れると共に、一歩前に踏み出す。その踏み出しに合わせて上から打ち込んでくる。
イーネがふっと笑った様な気がした。そして、気合の声を上げて激しく打ち込む。右、左、右下、左下、連続でアイルへ打ち込んでいく。それをアイルは受け流しながら、反撃として打ち込み返していく。カンカンカンと木剣が打ち合う音が響き渡る。先程よりも、鋭さが増したように見える。そして、何よりも……イーネに変化が起きていた。
「……お、おい。イーネの首筋、首筋!!」
ピッピが
「……おお!?」
「……あら。」
「……さすが”
イーネの首筋に
「……アイル!”
イーネが間合いを取り直した際に、そう叫ぶ。その叫びを聞いたアイルは、上段に構えを変えた。しかも、見たことのない構えだ。右手を天にしっかりと伸ばし、柄の下部を左手でしっかりと支える。そして、少しだけ腰を落とす。その姿を見たイーネは、警戒を強め、”正眼の構え”を維持して油断なくアイルの全身の動きを
「キエエエエエエエエエエエエイ!!!」
アイルが
「……あ。」
『眠り、招来、雲!!』
イーネが気の抜けた声を上げると共に、アイルが”
アイルは、へたり込んでいるイーネの
「な、なぜこの様なことを?」
「……水を
アイルの一言で、イーネは自身の状態に気づいた。アイルの気合と剣の鋭さに耐え切れず、へたり込んだ時に
イーネはそのまま顔を赤らめたまま黙ってしまった。アイルはその沈黙を
「……”あなた様”、一体何を?!」
「イーネ殿……いや、イーネ。俺は、あなた一人を愛する事は約束できない。だが、俺は皆と平等に愛することを誓う。あなたを
その言葉に、イーネの胸が熱いもので満たされていく。イーネも女性で、良い
「……“あなた様”。私、イーネ・ソーヤ・ツーシュウは、“あなた様”のものになります。“あなた様”の剣、盾、筆となりてお役に立って見せます。……皆様もどうかお引き回しのほど、宜しくお願いいたします。」
「……うむ。イーネ、こちらこそ宜しく頼む。……さて、イーネにも加護が宿ったことじゃ。ケーマ殿、ソーヤ殿にも説明せねばな!」
バーバラが代表して受け入れる旨を伝えた。それに併せて、三人も言葉は
◆◆◆
イーネとの試合が終わり、六人ともずぶ濡れになったこともあり、本日は“青鮫党”の母屋へ
今まで、ケーマが座っていた上座へアイルが
今、この場でアイルの“
「改めて、アイル様。ワシら“青鮫党”四十名。徒党“
「我ら、
ケーマとソーヤの言葉が終わった後、アイルは平伏した“青鮫党”の皆に頭を上げるように言った。そして、頭を上げたのを確認した後、改めて自身が皆に対して頭を下げた。
「……皆の忠誠、感謝しております。……
そう言い切った後、アイルは身体を戻し、ケーマを始めとする“青鮫党”一人一人の瞳を見つめる。そして、皆を見回したのを確認したケーマが代表して、「ハハッ!」と口にして、平伏する。それに続くように、ソーヤ以下、“青鮫党”全員が平伏した。
その後、宴会となり、
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