Session03-03 掘り出し物
「ピッピ。傷は大丈夫か?ルナ、見てあげてくれ。」
「あ、あたしはかすり傷だよ!」
アイルは、ピッピに近づいてそう口にした。ピッピの
「”戦女神”様、あなたの
「ルナ、ありがとう。……みんな、心配かけてごめん。」
ピッピが皆に向かって頭を下げる。ゴブリンに破かれた服は、すでに予備の服に着替え済みだ。ピッピの言葉を聞いたアイルが、何も言わずに抱きしめる。急に抱きしめられた事でピッピは顔を赤くし、固まってしまった。アイルは、ピッピを抱きしめながら無事で良かったとただ、そう口にする。
「……ピッピ。本当にお主がそれだけの怪我で済んで良かったぞ。……油断は禁物じゃ。次はするんじゃないぞ?……無事で良かったぞ!」
バーバラが、ピッピの頭を撫でながらそう口にした。その
「……ごめん。ごめんよ……。」
ただ、そう言って涙を溢す。あの時に剣を突き立てられていたら。喉を切られていたら。……この場に居られなかった。それが痛いほどよく分かる。今更ながら恐怖によるものか、震えが止まらない。覚悟していたはずなのに。
「バーバラが言ったことと同じですが……、今回欠点が見つかりました。それでも、乗り越えました。……次に同じことを起こさないようにすれば良いのですよ。ピッピ。」
フィーリィが”
「……よし、まずは野営地を決めよう。それには、ピッピ……君の力が必要だ。やれるな?」
「……ああ!もちろん、あたしの仕事だ!」
ピッピを抱きしめるのをやめて、
その顔を見て、アイルは笑顔を浮かべた。
◆◆◆◆◆
一群との戦いの後は、順調に計画は進んだ。一日目は野営地を確保後、大事をとって反省会と休息を行った。頭の良い奴がいれば、魔法を抵抗した後、かかったふりをすることがある。それがわかった。改めて、戦闘不能になっている敵は後回しに戦力を削っていく方針を取ることにした。色々と意見はあったが、確実に一体一体を撃破して、不測の事態をできる限り避ける方針とした。その後、交代で休息を取り一日目は終わった。
二日目は、一群を三つ見つけることができ、撃破する。どれも小規模の一群な上にトロールがいなかったこともあり、特に
三日目は、一群を二つ見つけて撃破したが、激戦となった。トロール込みの中規模一群と、小規模一群の二つであり、小規模の方は中規模一群の
ピッピが捜索をした結果、離れた位置に中規模一群が
手早く一群を
『火よ、玉となりて飛び、爆ぜよ!』
それに合わせて、アイルが”
『我との契約に従い、
フィーリィの”
「グゴオオオォォ!?」
潜伏していたバーバラ、ピッピ、ルナが隊長格であろうオークだけが残った機会を逃さずに、
バーバラが正面から
『我との契約に従い、
『眠り、
フィーリィが”酩酊”を、アイルが”誘眠雲”を発動させた。丁度固まっていたこともあり、すっぽりと範囲に包み込む。そして、眠った奴は後回しにし、起きているものを
今回はトロールに”誘眠雲”が効いた事もあり、バーバラが一匹を抑え、ピッピとルナが二人で一匹を
その後、特に
五人で討伐証明部位になる鼻を削ぎ落としていく。削ぎ落とした後、装備を
◆◆◆◆◆
「……これは、”
バーバラが”
”魔法の鞄”は、その名の通り、魔法がかかった
フィーリィは”魔法の鞄”が存在したことで、なるほどと納得した。
「……これだけの数がいるのに、
人は生きていくだけで
背負い袋型の”魔法の鞄”の口を開けて、中身を取り出してみる。すると、
「で、あれば、まずは武具を突っ込んで行っちゃおうぜ? 持って帰れるなら少しでも金になるしな。」
ピッピの言葉に従って、剣、斧、棍棒、短剣、革鎧、
「……これ、まだ入るみたいだね。野営地に確保していた武具も入りそうだね。……ボク、魔道具には詳しくないけど……これ、凄すぎない?……保存性能もあったら、素材も入れておけるよね?」
ルナの言葉に、皆がハッとなる。大量に狩るのと、長期間いることで倒した後の
「……換金できる部位も持ち帰れるかも知れない……か。」
アイルが確認するように言葉を口にした。それを聞いた皆が一度頷いた。フィーリィが、今手に入りうる素材を指を折りながら数える。
「……トロールの皮膚、血、オークの肉、
「……あー、精力剤の元じゃな……。オークの方が高級品で、ゴブリンの方は
少し顔を赤らめて、頬掻きながらバーバラが言った。トロールの皮膚は、アイルの攻撃があまり通じなかったところから分かるように、トロールの皮膚を使った皮鎧はより軽く、頑丈になる。血は錬金術や魔道具作成の素材に。オークの肉はきちんと処理されると、ただの豚肉よりも美味となる。睾丸は二人が口にしたように、精力剤の素材として重宝されている。
フィーリィとピッピの指示の元、ゴブリンの解体をしていく。トロールとオークは、”魔法の鞄”へ”そのまま”突っ込む。ゴブリンは睾丸だけ切り取り、それを突っ込んだ。投入量を超える事なく、すべてを呑み込む。……これの容量については秘密にしないといけないと、皆で改めて認識をした。
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