Session02-06 マーリエの騎士
「俺の名前はダール。傭兵だ。……まぁ底辺傭兵だがな。」
孤児院の応接室に、アイル、ルナ、マーリエ、ピッピ、そして眼帯の男と襲撃者である男が机を囲んでいた。
降伏した男は、ダールと名乗った。一緒にいた男達は、貴族然とした雇い主が一緒に雇い、あくまでもダールがリーダーをしていただけの付き合いであるという。今回の依頼は、ここの修道女……マーリエを
「……お前はこの街に来たばかりだったな?」
眼帯の男が、ダールに質問をした。その質問に、
「……ダール、よそ者なら知らなくて当然だ。……マーリエは、レンネンカンプ
アイルの説明を聞いて、ダールは一瞬にして
「……辺境伯家のお嬢様と
その
眼帯の男も、その潔い態度に
「ブルズアイ。今回の陰謀を
眼帯の男……ブルズアイはマーリエが、彼の態度を潔しと認め、落とし所を作ろうとしているのだろうと理解した。この中で、被害者でもあり、辺境伯家の長女でもある彼女が一番地位が高い。その彼女が落とし所を用意しろと言っているのだ。辺境伯家に忠実なブルズアイは、功と罪を並べて口にした。
「……そうですな。言ってしまえば、お家乗っ取りの陰謀を暴く役割をしたという事になれば、
ブルズアイの言葉を聞いたマーリエは、彼に向かって頷いて見せた後、頭を下げているダールに向かって宣言をする。
「ダール。あなたのその潔い態度と、この度の陰謀を暴いた功績を持って、今回の誘拐未遂の罪を半分、
この流れは何なのか。ダールは
ただの傭兵。しかも底辺の傭兵だと自身の事を伝えた。そして、貴族のお嬢様を誘拐未遂とは言え、その実行犯をした。それだけで、貴族に手を出した事で
なのに、この自分を、騎士として雇うという。正直言って、傭兵の立身出世としては上出来過ぎる話である。裏があるのではないか。そう考えるのが普通である。そう考えておきながら今回の依頼を受けた事で、この苦境があった。……しかし、マーリエの瞳には一片の曇りはなく、凛とした光を湛えていた。その光に、自分が身命を賭して仕えるべき主がここにいると、理解し、納得した。そして、改めて頭を下げる。
「このダール。ただの平民出の傭兵ではありますが、
ダールはそう答えることに精一杯で、目からは涙を
「改めてではありますが、マーリエ様は俺に
その発言にマーリエとブルズアイは頷いた。マーリエ自身が出なければ相手は姿を表さないであろう。ならば、今後の憂いを払うためにも、自身が出る必要があると判断していた。
「そして、アイル殿。あなたには、依頼主が現れた後、乗り込んで捕まえていただきたい。」
アイルもダールの発言に頷いた。これはアイルに花をもたせる為のダールの考えである。ダール自身は、この策が上手く行けば功を成せるので、アイルに捕縛の功を
「……わかった。ダール……お前を信頼する。マーリエを頼んだぞ。」
アイルは、ダールへ向かって身体を倒し、頭を下げてみせた。自分の愛する女を
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