弍章 一夫多妻制の路
弌話 転移と婚約者と
人は幸せを求める生き物である。
そう、例えば彼女のように…
「導け、導け。私を彼のもとに転移させ給え。」
彼女は
ここは日本である。色々な転移術を試みていずれも失敗している。
もちろん失敗するのは当然の話だが。
「あー、なんでこう上手くいかないのよ!」
彼女は諦めず数式を書き出した。
そして数式に妙な記述があった。
本人は無意識でこの記述を書いたようだが。
数式が完成した途端彼女は白い光に包まれた。
~その頃
浩弐は4人で作戦会議?をしていた。
まず「王子様のお名前をお聞きしたいのですが」
「僕ですか?僕は、
「俺は
「君が治彦君の息子でいいのかな?」
「いいぜ。」
「みんなして私を無視しないでよ」
エミリーの嘆きで全員が笑い出す。
その時!
「浩弐。なにか降ってくる。」「浩弐さん。なにかが降ってきますわ。」
マリーとエミリーが警告する。
竜馬も浩弐も人間だけど、マリーもエミリーも獣人だ。感覚が鋭い…いや、もはや第六感だ。
俺は降ってくるのが生物、それも人の形をしている事に気がついた。
そして俺は咄嗟に落下速度軽減をする。
…落ちてきた人を見て俺は一瞬意識を失いそうになった。
「なんで
俺は反射で叫ぶ。
「浩弐?その女をなんて呼んだ?」
マリーが闇を漂わせる。
「う~ん。浩弐?」
「日向だよな?」
「浩弐なの?良かったわ。はいあんたのスマホ。」
「竜馬。ちょっといいか?
(一夫多妻制だよな?)」
「(そうだね。)
なんだ。そんなことだったんだHAHAHA」
一方、日向はマリーに向かって「あなたが浩弐の婚約者でいいの?」と訊いていた
「世界のルール的にそうなった。」
「私達は姉妹だね?」
「姉妹?血縁無いよね?」
「この姉妹は『妻として』の姉妹よ。一夫多妻制なんでしょ?」
「そういう意味ね。それじゃあ、あたしはあの時から二番目だったのね。」
「魔術適正って私にはないのかな…」
「あたしが調べるわ。
…錬金術と通信魔法以外は特にないわね。」
「ありがとう。…えーっと?」
「あたしはマリーよ。」
「ありがとう。マリー。
私は北条 日向。よろしくね」
こっちは握手していた。
何だかんだで一日
もちろんテントは一枚では足りなくて日向が錬金術で作り上げていた。
小さなテントには浩弐と竜馬が、
大きなテントにはマリーとエミリー、そして日向が
それぞれ入って休んだ。
~小さなテント(男子テント)
「竜馬はなんで『狐』のままのエミリーを認識したの?」
「耳かして
(多分他の人には見えなかったと思うけど僕には見えていた。)」
「(私を見てほしいって意思が影響させたのでしょうね。)」
~大きなテント(女子テント)
「あたしは彼のお父様に育てられたわ。」
「浩弐が3歳のときに行方不明になったって聞いたけどこっちに来てたのね。」
「竜馬と私は治彦さんに助けられましたわ。」
…こんな感じで過去を話して全員が…いいえ。浩弐以外が寝たときにまた事件は起こります。
浩弐は眠れそうになくテントの外に出たときのことでした。
羽と尻尾がある少女が立っていました。
彼女がこっちを見たとき、浩弐は本能的に危険を感じました。
彼女は危険を感じて怯んだ浩弐に近づき、首筋を噛みました。
「吸血鬼?」
この発言に彼女は驚き慌てて離れようとしますが、
浩弐も男です。謎の吸血鬼を押し倒します。
「君は誰?」
「ボクはアリシア・バーミリオン。魔族の吸血鬼に入る亜人だよ。」
(ボクっ娘!?)
「婚約者か彼氏はいる?」
「ボクは仲間から捨てられた。そんな存在は居ないよ。…まさか」
「その『まさか』だね」
彼女にキスする。
「責任とってよ?」
「ああ、そうさせてもらうぜ。」
翌朝。浩弐は日向に説教させられていた。
そしてアリシアはというと…
「うわ~ん。ごめんなさい。ごめんなさい。」
泣きながら謝っていた。
「日向。昨日浩弐に渡した道具は何?」
マリーは異世界のアイテムにも興味があるらしい。
まぁ親父が持っていても
「あれはスマートフォンっていう機械よ。通信魔法より便利に使えるの。」
と日向は説明しているが。
「基地局作らなきゃ駄目だよな?」
指摘する。が
「電波状況見てから言いなさい。」
スマホの電波状況は「圏外」「シグナルなし(認識はしている)」「かなり弱い(1)」~「かなり強い(4)」の6段階である。
しかも何処かの動画投稿しながら異世界ファンタジーを書いているクリエイターが趣味で作ったOSが入っている特殊なやつ。
【ISnowOS Mobis】このOSが入ったスマホはデータ接続も[P]と言うアイコンで別に出してくれる。
「6G,強さが4,パケット通信ができる…」
「パケット通信って古いわよ。
マリー。あんたも要る?」
「あたしも使ってみようかしら。」
「ボクもボクも!」
「わかったわ。そうそう、誰か刻印魔術使える?」
「ボクならいけるよ」
「ありがとう、アリシア。」
アリシアと日向はスマホを作り出した
今日は一日休めそうだ。
こうして(?)『日向』『マリー』『アリシア』と婚約し異世界で生きて行くことを決めた浩弐であった。
旧約・転移と狼少女と 秋雪 こおり @Kori-Syusetu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。旧約・転移と狼少女との最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます