伍話 旅と少女と(下)
夢。それは、おおよそ自分の記憶。
それは、時として現実のものになる。
他人が関わる夢に関しては尚更だ。
天文学的確率とでも言うべきだろう。
そして…
「俺は短期間に二度も正夢を見てしまったぞ!」
もう一度言う。【他人が関わる夢が正夢になる確率はほぼ皆無だ。】
なんなら0%と言っても過言ではない。
「あの蘇生術使えるの?」
(わからない。
術の詠唱がわからない…ん?
ああ。そんな単純なことだったのか。)
独りでに納得する。
「試してみる。
霊よ
彼女は少ししてから起き上がる。
そしてこの場の二人は彼女の『耳』と『尻尾』に気がついた。
この耳と尻尾で誤魔化すことができるとなると…狐か。
「…見た?」
質問が質問なだけに意味深発言に聞こえる。
「見えたぞ。」「見えたわよ。」
もう一度断っておくが決して深い意味ではない。
「…見ての通り私は狐よ。」
狐。日本では神や妖怪として扱われ祠で祀られることが多い。
狐は人狼同様に人を騙すが人狼は殺すことが多いのに対し、狐は恋人になるなる詐欺が多いのだ。
…でも狐って犬(狼)苦手でしたよね?
「以前の私は彼女のような狼を苦手としていました。」
「浩弐。意味わかる?」
マリーは少ししか意味を理解しておらず、俺に訊いてくる。
「平等主義の王子に惚れて苦手を克服した。
狐は猟師や犬、狼が苦手。妖狐は正体を見破られるから嫌っている。」
「あなたは妖狐をご存知なのですね。全ては彼が言う通りで、かなり高度な化けをしないとバレてしまう。だから苦手なの。
だけど彼は人にも亜人にも平等に接する。彼に相応しい恋人になれるように努力したわ。」
「で結果的に苦手意識がなくなったと?」
「そうよ。でも努力しているうちに彼の使用人でも良い気もしたわ。」
「浩弐はわからないかもだけど、身分が高すぎて自分じゃ届かないと思うことはある。
だから諦めようとした。でも王子様はあなたを見ていた。」
「!!!っ」
この場合は図星が最適なのだろうが、俺はこの反応を真似ることができないと確信した。
こう、日本語では表現できない音が入っている感じ。
「俺と友達になってくれるかもしれない、『王子様』を助けに行くぞ。」
こうして一通り『狐』のエミリーを先頭に王子の救出に向かう。
マリーは空間歪曲系統の魔術(ただし、白、黒以外は系統外)を使って牢から救出する。
エミリーは狐のままだったが…
「ごめん。エミリー、心配させたな。」と人間に化けていない=獣人状態のエミリーを抱きしめる。
途中エミリーが「なんで…?」と小声で…いや泣きながらつぶやいていた。
もちろん感動的な~が何時迄も続くわけがない。
「おたのしみのところ申し訳無いけど。敵襲。」
あまりにも自然に言うので俺とマリー以外は戸惑い構えることができなかった。
「敵を無視して一気に突破する。彼の術が発動したらあたしについてきて。」
「歪め歪め。時間を歪め我等を加速し給え。
「
術は想像とはよく言ったものだ。
例えば爆破魔法も手榴弾を想像すると小さな爆発を起こすが、
水蒸気爆発…非常に高温の熱源に大量の水が触れたときに、
瞬時に水が気化し、体積がおおよそ1700倍位まで膨張し、
爆発現象が起こる。水蒸気爆発を想像しながら放つと大爆発するわけだ
今回彼はロシアで開発されたパズルゲーム「TETRIS」で
テトリミノが1/60秒に20マス落ちるイメージで術を発動
1200倍で動けるようになった。
敵は流石の早さになにもできず、その場で棒立ちしていた。
この早さになると歩くだけで音速の壁にぶつかる。
いやその説明は妥当ではない。
時速1029メートルを1200倍すると1音速である
人間の平均速度はペース均等で時速4.8キロメートルで計算すると4.664e音速だ。
幸い俺等はマリーの防御術で衝撃波や物理的なダメージを完全とはいかないが90%位防いでいる。
とは言え周囲(敵ばかりだが)にはソニックブームの「大音響」でやられているころである。
そして敵を無視しながら転移陣がある場所まで来て砂漠のオアシスへ転移した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます