弌章 出会い

弌話 きれいな風景と悲惨な雨と

風景はいつか変わる。

環境面もあるし人の手で開拓して変えていくこともある。

時として戦も起こる。

戦は人を傷つける。それと同時に技術を発展させる。

より優位に立てるように。より敵兵を殺傷するように。

元の世界でも世界大戦が2回。今の日本国内でも天下統一戦があった。

元の世界の戦争では第二次世界大戦の最後に原子爆弾が日本の長崎、広島にそれぞれ投下された。

日本は戦争に負けたとともに、このような惨事を二度と招かぬよう戦争放棄した。

…話を戻そう

いろんな要因により風景は変貌する。

そう今この瞬間にも。

衝撃音が響いた。破裂音とも言えるが…

これが何を意味するか。

爆弾は爆発した。それで説明がつく。

そして100メートル先にはクレーター状の凹みがあった。

手榴弾ぐらいの威力なのだろう。だが平和ボケした現代の日本人には実感がなかった。

ここがであることに。

そして異世界転移後初めての人は人間の耳がなく、ふさふさの尻尾にピクピク動く頭上の耳があった。

吹っ飛んできて目の前で着地する。

でもって「ご、御主人様…」と突然いきなり人様の前で泣き始める。しばらくしてこちらの存在に気がつく。

「…あんたもあたしを殺す気?」

これは穏やかではない。

俺は反射でそっぽを向く。

「あんたは殺そうとしないのね。」

「だって突然いきなり可愛い女の子を殺そうとするのは俺としては…」

「か、可愛い!?」

「え?」

突然いきなりデレモードに入ってしまった。

でももう一度おさらいしておこう。

ここはだ。

「主人を殺ったのに、まだ庇おうとする奴がいるのか。」

男の声がする。そして殺気を感じた。

「こちとらさっきので、スローイングボムはなくなったんだよね。

兄ちゃん、さっさとその少女を渡しな。そうしたら痛い目を見ずに済むぞ。」

「渡さないと言ったら?」

「殴り合いで倒して奪うまでよ。」

「渡さない。」

「んだと?」

俺は体育会系だ。今まで勉強の時間を全て様々な格闘技の流派を皆伝まで登るために使った猛者だ。

そしてこの世界でも格闘技が通用する。

「浜松流実戦用格闘術奥儀【意識刈拳アンコンシャスパンチ】」

この技は脳震盪のうしんとうを起こし意識を刈り取る。高度な技だ。良い子はマネしないように。

「この近くに隠れられる場所はない?」

俺は気を多く使う技を出した。その影響でバランス感覚に異常をきたしており走ることはできない。

「あるわよ。先導してあげるわ。」

「ありがとう。」

「べ、別にあんたの為じゃないし。勘違いしないでよね。」

キターーー!ツンデレ定番台詞…定番どころか典型そのままだな。

少し歩いて草むらに隠れた。

「あんた、名前は?」

「人に名を尋ねるときは自分から…なんてね。俺は浩弐こうじ。君は?」

「あたしはマリー。マリー・メリエス。

さっき泣いていたときに聞いたでしょうけど、私の御主人様はさっき…

突然いきなりだけど浩弐こうじ、私の御主人様になってくれる?」

「良いけど…本当に突然いきなりだな」

よく解らず返事をしてしまっていた。

「か、感謝するわ。それで主従契約を結ぶには“キス”か“えっち”のどちらかが必要だわ。」

…これ夢で見た内容と同じだ。

「“キス”ならすぐ終わる。でも“えっち”なら最後ま…」

「“キス”でいいか?」

「え?ちょ。ん~!?」

なにかまずかっただろうか?

「主従契約を宣言しないで“キス”するなんて…」

「宣言しないと?」

「つがいの宣言になるわ。

責任取りなさいよね?」

「お、おう!」

こうしてミスから強制的に夫婦になった。

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