7:NAVY_BULLETS

_じゃあもし2回戦目をアイレス達が取ったら、その後はどう?」


「はは、聞いて驚くなよ。そこからが最高に面白れェ。そっからのシナリオはな…


ほぼ分かんねェ!」


「Wow! そうなの? ザンセツなら全部予想してると思ったのに!!」


「悪ィなハクトウワシ。論理や予測は不変な法則や規則のもとでしか通用しねェから、互いに進化しながらの戦いなんざどんなに賢かろうが予想不可能だ」


「分からない事は分からないとキッパリ言うのね、その姿勢、潔くてGoodよ!」


「強がって知ったかぶりすんのは一番危ねェ。口達者で競ってるわけでもねェしな。まあ現状分かってることだけでも良けりゃあ語らせてもらうが」


「OK.聞かせて?」


「ああ、2回戦目を取った時点でアイレスとマーロンは進化してるだろう。だがオオタカとハヤブサのアグレッサーズが指くわえて黙ってるわけもねェ。CCMや格闘理論、経験、特技、全部総動員されるだろうが、本質は無限の成長を伴ったハートのぶつかり合いだろうよ」


「Great!!! それ、生で見たかったわね!」


「こらえてくれ、アンタその場に居たら参加しちまうだろ」


「当り前よ!ザンセツも参加すればいいじゃない!!」


「シッチャカメッチャカだそんなの...じゃあマヘリ連れてくんぞ」


「Wait!!! あの子だけはちょっと時間をくれる?...準備が必要よ!!」


「ハッハ、冗談だ。またあんな戦いされちゃあ食糧庫がスッカラカンになっちまう...」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


第二ラウンドを終え、休憩をはさみ、チームは再び向かい合う。

最終ラウンドを目前に、オオタカが首を数振りしてほぐしている。


「さあ、最終ラウンドよ。作戦会議は終わったかしら」

「うん、もう話すことはないよ。あとは飛ぶだけだ」


海風が向き合うチームの合間を抜ける。

微動だにせず機を伺う4人を、潮騒の音色が包む。

その中に、微かな息遣いが聞こえる。


4人とも、自分のペースで呼吸をする。

しかし、そのタイミングは、徐々に、徐々にそろってゆく。

やがて、歩幅の違う二人の足並みがそろうように。

各々の速さで回る太陽系の星々が、全て一直線上に並ぶように。

皆が一斉に息を吸う。


「「野生解放!!!!」」

「Full-Steam!!!」

「アフター...バーナ!!」


全員の闘気が爆発し、七色の閃光が輝く。

先んじて飛び出したのはアイレス。

オオタカ、ハヤブサも真っ向からアイレスに迫る。

マーロンはハヤブサに重点をおいて後方から弾幕斉射。

背後から迫る弾幕をアイレスは五感で回避。

オオタカは高速機動、ハヤブサは急上昇で回避。

炸裂した大玉花火のような猛火の中で二羽がぶつかり合う

アイレスとオオタカの左ストレートが交差、顔面へ相撃ち。

その勢いのまま回転、地面を蹴って上昇へ。

その外周を旋回上昇するハヤブサ。


「Shit!! レディーを置いてけぼりとは失礼ね!!」


マーロンはジャンプと同時に地面へ銃を斉射し、その反動と海風で急激に高度を稼ぎハヤブサの頭上へ。


「お前、そんな銃の使い方アリか?」

「弾が勿体ないけどね! 銃もロケットも使いようよ?」


ハヤブサの進路上へ七色の天の川ができる。


「アナタの相手は私よ!! Look at me!!!!!!!!」

「最初からそのつもりだ。その翼、相当速いだろ」

「ええ! 瞬きしたらshot downするわよ!!」

「面白い、やってみろ...!!」


弾幕を越えるように高度をとるハヤブサ。

マーロンはハヤブサに向かい加速。弾速に自身の速度を乗せる。

降下するマーロンと上昇するハヤブサの軌道が交わる直前。


(上昇しながらの攻撃は[無駄な空中戦]なんじゃないかな...)

ハヤブサの記憶にアイレスの言葉がよぎる。


マーロンは後ろ回転、体重を乗せた回し蹴りを放つ。

ハヤブサはシールドの負担覚悟で肩で蹴りを受け、右腕で蹴りをはさむ。


「ちょっ何を」

「速度貰うぞ」


マーロンが何か言い終える暇もなく、ハヤブサはマーロンの速度を使い体をスピン。

その慣性を足にのせハイキック。マーロンの側頭部に直撃。

したかのようだったがマーロンも咄嗟に腕を折りたたみガード、シールド被害少。


「Damn it !!やってくれたわね!!」

「そっちこそやるな」


一瞬の攻防ののち、二羽は再び間合いをとる。

その間合いの中心で、アイレスとオオタカの七色の火花が散る。


正中線へ打ち下ろしの回転5連蹴りを放つオオタカ。

アイレス、最小限のバックステップでこれをかわす。

オオタカの手足の隙間から横薙ぎの蹴りを入れるアイレス。

オオタカも肘と膝で蹴りをはさみ固定。

そのままジャイアントスイング、アイレスを投げる。

アイレス、体制を整え回転と速度を利用して上昇。そのままオーバーヘッドキックの体勢へ。

オオタカ、腕をクロスして防御体勢。

しかしアイレスのオーバーヘッドはフェイント。体をひねらせてがら空きのオオタカの懐へ入る。


「しまっ」


アイレス、超ショートリーチの肘撃ち。

シールド損傷少だが後ろへ飛ばされるオオタカ。

アイレス追撃、加速と共に体をローリングスピン。


「サイクロ・タロン!!!」


オオタカ、翼を振り羽根をぶちまける。

視界を塞がれ、アイレスの連撃はぶれる。

連撃の隙間を掻い潜り、オオタカは右腕でアイレスの胸倉をつかむ。

投げ技への移行の瞬間、アイレスがオオタカの右ひじを掴み関節ロック。

刹那の膠着状態の後、何かに気付いた二人は互いを吹き飛ばす。

その空いた空間へ、衝撃波を伴った二物体が接近する。


「お前!!こんなに急降下できるヤツはそう居ないぞ!!」

「ハヤブサも相当速いね!!」


超音速の軌跡は猛烈な光を放ち始める。


「お前にはこれを使わざるを得ない」

「私のMaster-piece, ハヤブサになら受け止めて欲しいな!!!」


けものミラクル vs けものミラクル

「我が一撃...疾風の如く!!!」

「レインガン...ジャックポッド!!!」


軌跡の交点では花火工場の事故かと思しき爆発が上がり、天に七色の火花と稲妻が上る。

その輝きから二つの軌跡が飛び出す。


互いにシールドは半壊。

しかし、その瞳の輝きは大技を放つ前よりも眩く輝き。


「アイレス、来て!!」


マーロンはオオタカとアイレスの空間に天の川をかける。

アイレスはオオタカが一歩引いたその隙を見て降下、マーロンと合流。

オオタカもハヤブサを追い、降下。


「マーロン、凄いや。疲れただろう?」

「ちょとね...だからこそ次に全てをかけるわ」

「ああ。ボクらの全てをぶつけよう」


「お疲れ様ハヤブサ。かなりシールド削ったようね」

「私のも限界が近い。だから次で決める」

「向こうも次は大技のようね。丁度いいわ。最高のクライマックスよ」


二つのチームは、二重らせんを描いて急降下、速度を稼ぐ。

やがてその軌跡は音速を越え、さらに加速する。

超高速で弾かれた空気は炎のように熱く、赤く輝くプラズマと化す。


「行こうマーロン」

「もちろん」


降下する超高速らせんの半径は徐々に小さく、衝突点へ近づく。


「行くぞオオタカ」

「ええ」



けもコーラス vs けもコーラス

「「ダブルストライクブラスト!!!」」

「「NAVY_BULLETS!!!」」



空には、眩い閃光の玉。

その激突の音はパーク全土に響き渡り。

その光は遥か遠き月面をも照らす程に眩かった。


光が収まった空、力尽きた悪魔の翼が緩やかに下降する。

そのシールドは裂け、数秒後には消え去る程のダメージを受けていた。


「マーロン、見事な戦いっぷりだったわね」


オオタカはその背中に敬意を贈る。


「ああ、だがアグレッサーとしてコメントさせてもらう。こういう2vs2の激突の場合は均等に攻撃するべきじゃあない。連携を止めるべく片方を確実に潰すことが重要だ」


ハヤブサは厳しいコメントを送る。

マーロンは背中でそれを聞き、頷く。


「ハヤブサ、今思えばその通りよ。」


崩壊しつつあるシールドの破片が輝き、風に消える。


「でも...まだシールドは完全に消えてない」


マーロンは振り向きざまに、最後の銃撃を空にぶちまける。


「だったらこれはルール違反じゃ無いよね!!!」


撃ち終えた瞬間、シールドは完全に露と消えた。

その弾幕をオオタカとハヤブサは咄嗟に全回避する。


「っと、確かにギリギリルール違反では無い。感心はしないがな」

「あら、私は好きよそういうの。最後まであきらめないのは大事よ?」

「オオタカらしいな」


銃を下ろしたマーロンは、

「Yeah...私は、私たちは最後まで諦めないわよ?」

不敵な笑顔だった。


「Good luck. アイレス」


ハヤブサが悪寒を感じたのはその時だった。

背中へ差し込む太陽光が急に暗くなったのだ。


「嫉妬しちゃうなぁ...マーロンばっかりとお話してさ」


声のする方へ、オオタカとハヤブサは反射的に振り向く。

結果その声の主は見当たらず、二人は思わず目を細める羽目になる。


「かっ...眩しい...!!」


太陽を背に構えるアイレスへ、マーロンの放った弾幕が迫る。


「さあ、お天気雨に打たれてもらうよ」


アイレスは凄まじい連撃でマーロンの弾幕を撃ち返す。

オオタカとアイレスも迫る弾丸の気配は感じ取ったが、太陽のせいでよく見えない。

「この量の弾が全部当たればどっちのシールドも持たないね。さあ、どっち狙ったと思う?」

「っ...!!」

「マズイ!!!」


その方向は、まだシールド強度が多く残っているオオタカに全弾狂いなく向いていた。

オオタカを眩い暴風雨が襲う。

やがてその嵐が吹き止んだ後、シールドは完全に剥がれ落ちていた。


アイレスの想定と外れたのは、ハヤブサがオオタカを庇ったことだった。


「ハァ、ハァ、間に合った...」

「なッ...ボクの狙いが見えていたのか!?」

「いや、不意を突かれたさ。だがここでどっちが狙われてようとオオタカを守るのが最善手だっただけだ」

「手ごわいな...最速の翼の持ち主さんは...」

「お前もだ...ハイブリッド猛禽め」


戦線を離脱していくハヤブサは、オオタカに背中で語る。


「後は任せた」

「了解よ。あなたの判断、無駄にしないわ」


「さあ、来なさい韋駄天ちゃん。私が登るのを待つ気なんて無いでしょう?」

「当然だ。すぐに狩りに行くよ、待ってて」


アイレスは頭を地上に向け、真っ直ぐに急降下。

すぐに音速を越えソニックブームが轟く。

流星のようなアイレスの飛び蹴りに向け、オオタカは脚を伸ばす。

蹴りを滑らかに足で受け止め、衝撃を殺しつつ受け止める。


「ッ!! 仕事が丁寧過ぎないかい...!?」

「そうね、これでも年季が入ってるの」


攻撃を受け止めきったオオタカはアイレスと同じ速度に達していた。

互いに蹴り飛ばし間合いを取る。

風切羽を閉じアイレスが加速。

その直後につき、スリップストリームで追いつくオオタカ。

オオタカの横回転からの横薙ぎ連蹴り。

アイレス、クルビットで回避。

振り向きざまに減速し、オオタカに突進。

アイレスの回転連撃。

オオタカ上方旋回で回避するもかする。シールド損傷少。

間合いを詰めようとアイレスもオオタカの方へ方向転換。

しかしオオタカ、上方旋回をキャンセル。

反動を使いアイレスの頭に拳骨スマッシュ。

アイレス、首の回転で衝撃を殺す。シールド損壊少。

間合いを取り、二重らせんで降下。

らせん3週目でオオタカ、風切り羽展開。

軌道を直角に急変更してアイレスに飛び蹴り。

アイレス、コブラ軌道で減速。オオタカの蹴りをかわす。

急降下の持続により海面接近。オオタカも軌道を引き起こす。

アイレス、オオタカの背後に回ってスリップストリーム、背中を射程に捉える。

オオタカ急上昇開始。右回転スピンし始める。

アイレスのポニーテールの炎が激しく燃え上がる。

急上昇し減速したオオタカへ、アイレスが急接近し打ち下ろしスマッシュ。

アイレスのスマッシュ空振り、オオタカの右捻り込み機動成功。

スマッシュの反動を使い、アイレスも反撃を予測してクルビット。


しかしオオタカ、クルビットを読んで攻撃タイミングを遅らせていた。


「アイレス、二度も同じ回避軌道をとっちゃダメよ」


クルビットの終了地点に、オオタカの上段回し蹴りが向かう。


「だろうね」


アイレス、風切り羽全展開。体中のばねを使って衝撃を吸収。

蹴りの反動を受けてもう一回転する。

ダブル・クルビット成功。シールド損壊無し。


「危ない危ない」

「貴方、本当に...エアショーなら満点のダブル・クルビットよ」


二人とも失速ギリギリの低速飛行。しかしサンドスターのチャージ回復。

瞳の輝きが激しくなる。


「これが本当の...最後かな」

「ええ、これで終わらせるつもりで撃つわよ」


七色の輝きと共に、二人の軌跡は猛加速する。

アイレスは高度を上げ、オオタカはその場で加速する。


やがてアイレスはオオタカの軌道めがけて加速降下。

オオタカはアイレスの降下地点目がけて加速。


けものミラクル vs けものミラクル

「クールウイングブラスト!!!」

「紫電一閃レイ・マニューヴァ!!!」


光にも思える軌跡が洋上を縦横無尽に飛ぶ。

衝突は幾重にも連なり、輝く軌跡は魔法陣のような模様を海に映す。

オオタカは僅かに旋回のキレが上。

アイレスは僅かに速度が上。

ほぼ互角の機動戦。


正面衝突。

互いに後方へ飛ぶ。

しかし次の瞬間、オオタカの翼に冷たい感触が走る。


「...戦闘で生じた波...!!」


水を吸ったオオタカの軌道は大幅に狂い始める。

高速できりもみするオオタカ。寸での所でコントロールし、オオタカは海岸へ不時着した。

美しい5点着地で衝撃を抑え、着地によるシールド損壊は無かった。


しかし


「止まったね...オオタカ」


海上から、獲物を狙う狩人の声が響く。


「棒立ちでレイ・マニューヴァが止められるかな」


蒼い光の矢は、真っ直ぐにオオタカへと向かっていた。

オオタカのシールドも、もう数撃喰らえば散る程度のものだった。


「アイレス、貴方は立派なファイターよ。よくお勉強と訓練を積んでいる」

「ありがとうね、相棒...もとい先生がよかったのさ」

「ええ、テストなら100点よ。もうお稽古で教えることは無いわ」

「...さっきから何が言いたいんだ?」


オオタカは光の矢の方を向く。

まだ強く輝く瞳と、七色の気をまとって。


「貴方は教科書通り過ぎるの」

次の瞬間、光の矢がオオタカを貫く。


同時に巨大な砂柱が立ち、一人のフレンズが砂浜を転がる。

衝撃でシールドに大きな損傷を負ったそのフレンズは…


アイレスだった。


「ガハッ!!!?うッ...!」


戸惑いを隠しきれない様子だったが、すぐに着地しオオタカの方を向く。


「ハァ...ハァ...オオタカ!! 今何をしたんだ!!?」

「一本背負い...といったところかしら」

「バカな!! あの速さのボクに対応できる技じゃない...!!」

「ええ、そうね。そう、貴方のそういう考えが教科書通りなの」

「くッ...ならばボクを打ちのめしてマグレじゃないと証明してみろ!!」


アイレスは再び突進する。

オオタカはそれに向かう。

体中の力を抜いた、美しい自然体で。


アイレスの右ストレート。

その振りを使った回転連撃。

ジャンプからの踵落とし。


全てが空を切る。


「何故だ!! なんで当たらない!!?」


オオタカはノーガードの自然体で、全ての攻撃をかわす。

アイレスは困惑していた。

鳥として多くの訓練をしてきた。

残雪とも一緒に戦って、経験を積んできた。

飛ぶことに関して、誇れる技術を身に着けた。

その誇りは今もある。空中では実際負けていなかった。

じゃあこの有様はなんだ。

それはきっと、翼の使い方ではなく、全く別な_


アイレスは、オオタカの足元に視線を落とす。


オオタカが避ける度、足元の砂は強い圧力で盛り上がったり、振動していた。


アイレスはハッとしたように口を開く


「そうかオオタカ...キミのその動きは脚

「正解よ」


その瞬間、アイレスの腹部にボディーブローが叩き込まれた。

シールドは青い空へ、切ない雫のように消えていった。


アイレスは力尽きたように、ぺたんと尻もちをつく。


「...やられた。マーロンが託してくれた戦い、取れなかったなあ...」

「いえ、貴方は十分すぎる程戦ったわ。ハヤブサが撃墜されたのは想定外よ」

「ハハ、こうしてコメントする余裕もあるのか...」

「ええ、相手と空戦し、助言し、課題を学ばせる。それが飛行教導隊”アグレッサー”よ」

「年季ってヤツはすごいなぁ...」


アイレスはおもむろに背中を地につけ、激戦によって群青のキャンバスに描かれたサンドスターの軌跡を仰ぐ。


「ボクが足りなかったのは脚の使い方。翼だけに動きを頼ってたから地上でキミに追いつけなかった」

「そうね」

「脚を使った地面の蹴り方。それを身に着ければ完璧...そうだよね?」


アイレスの視界に、ぬっとオオタカの顔が移りこむ。


「そういうトコよ。教科書通りなのは」

「うわっ何さ」

「何々をすれば完璧。これこれをすれば完全。そんなものは教科書の中にしかない」

「...じゃあ何だい、現実は全てが不完全だって言うのか?」


オオタカはアイレスの横に腰をかけ、ゆっくりと諭す。


「ええ、そうよ。私の戦い方も当然、不完全。完全なモノになるなんて思ってもない」

「何だか腑に落ちないな。完全なものを目指すことに意味が有るんじゃないのかい?」

「でも完全って何かしら。最強生物だった恐竜は滅び、弱小だった私たちは生き残ってる。この世に完全が有るなら下克上なんか起こらないはずよ。大事なのは有りもしない完全を目指すことじゃない。今いる場所から一歩ずつ進む、それだけよ」

「...完全を目指す、じゃなくて、ここから進むってこと? 例え不満が、欠けてる所が有っても」

「そう。貴方にアドバイスを送ることができる言葉や本は有っても、貴方の戦い方を完成させられるのは貴方しかいない。フレンズは姿形も十人十色で、貴方の体は、特技は、貴方しか持っていないものだから」

「参ったなぁ...教え無しに強くなるのは...難しい課題だ」

「2ついい事教えてあげる」

「何だい?」

「1つ。私は技を丁寧に仕上げる、貴方のような子は大好き」

「...」

「2つ。アグレッサーは、相手のレベルに見合った課題しか出さない」

「...分かったよ。考えてみるさ、先は長そうだけどね」


穏やかに語る二人の瞳には、海岸を飛んでくる二つの翼が見えていた。

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