第2話「めんどくせぇ」という単語について

 第二語「めんどくせぇ」についてですが、この単語を発する場合は何もかも投げ出してしまう時です。しかも「自分には問題、責任などない」という意味合いを伴っている様に思えます。不思議と途中で放り投げる自分の事を正当化している、という意味にも聞こえます。

 投げ出して他人にその影響が出ない、ご自身だけの問題だけならその方の勝手ですが、他人に影響する事に於いてその単語を口にして物事を「放り投げられた」なら、いい迷惑です。特に仕事についてであれば尚更です。

 大抵の事は「面倒」な事なので、当事者がそんな振舞いをされると誰かがカバーしないとなりません。それこそ被害を被った人にとっては「めんどくさい」のです。

 あるニュース記事で、会社に欠勤する事を「LINE」で伝えたと報じたことがありました。一見、現代では特に問題ない記事に思えます。しかし、その欠勤する社員は会社に電話でその事を「LINE」で伝達する前に「めんどくせぇ」と独り言を発したのではないでしょうか。

 確かに「事項を伝達する」という観点であれば問題は無く、早く知らせられるのでいいかも知れません。しかし、「会社を欠勤する」という事を軽んじているとしか思えません。どうしょうも出来ない理由なら別です。また、いくら新入社員だった場合でも、それなりにどこかの所属になっている筈で、彼にも任されている部分もあったかもしれません。

 仮に彼に任されている事項について何かしらの問題が始業直ぐに発覚した場合で、送信した「LINE」の内容を上司が見ていなかった場合はどうでしょうか。彼は会社に居ません。上司は彼にすぐ電話連絡するでしょう。「LINE」で確認するようなお話ではなく、第一、彼に「LINE」で内容を文章を打つのでは内容を伝えきれず余計に時間が掛かるのは明白です。

 さらに彼は果たして上司からの電話に出るのでしょうか?欠勤する事を「LINE」で済ませるくらいなのですから、余計に「めんどくせぇ」と思って電話口に出ないような気がします。

 それは良しとしても、その早朝の問題が解決するまで他の社員に影響が出る可能性が高い筈です。しかも、彼しか知り得ない事が在り、時間だけが過ぎて行って相手先の人に影響が出てしまった場合、「めんどくせぇ」が原因でその相手先が怒り出したり、契約等を破棄された場合、彼は責任を取れるのでしょうか。「めんどくせぇ」と処理して、自分で自分の首を絞めてしまうのではないでしょうか。

 さらに「めんどくせぇ」で作られた商品はどうでしょう?はっきり言って「手抜き」に他なりません。そんな商品をお客様は購入するのでしょうか?予め「手抜き」分かっていて購入する人は見た事が在りません。「バレなきゃいい」のでしょうか。

 「めんどくせぇ」が内在して直ぐに分からず、使っていく内に「手抜き」が分かった場合、確実に「クレーム」対象です。大きくなれば裁判沙汰です。それは会社そのものの存亡の一因に成長する可能性もはらんでいるのです。

 こんな偉そうなことを言っている私も「めんどくせぇ」と思う事もあります。しかし、人様に影響する事に「めんどくせぇ」なんて言えませんし、事に当たる時は相手に失礼のないように対応する事を心掛けているつもりです。

 この単語で全て片付けられたらどんな社会になるのでしょう?考えてみるとぞっとします。なので皆さんでこの単語を出来る限り使わない、逃げの為に使わなければもう少しいい社会になると私は思います。

 日本人の「真摯に物事にあたる」姿勢を取り戻せば、このコロナ禍に於いてもある程度諸外国に対応しうる製品やサービスによって現在の経済状況の打開に一役、二役買うはずだと私は信じています。そこが日本人の強みだと思います。

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「つかえねぇ」と「めんどくせぇ」 イノベーションはストレンジャーのお仕事 @t-satoh_20190317

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