第十四話…交易

【ステータス】


<名前> ブルー・アイスマン

種族 ブタ 職業 落武者

身長120cm 体重100kg

【特徴】10円ハゲ*3

【装備品】落武者の鎧 釣りキット 初心者お勧め装備セット

【スキル】獣言葉 遠縁の近い 弱者の第六感 など


<名前> ポコ

種族 たぬき 職業 妖術使い

【スキル】よわよわ火炎魔法 土遁の術 など


<名前> ウサ

種族 うさぎ 職業 武闘派な白魔道師

【スキル】気絶技(師範級) よわよわ回復魔法 など



 ……拙者の名はブルー・アイスマン。

 この世界ではただの二足歩行のブタでござる。今日は馬を買いに町まで、野を超え山を越えひたすら歩くのでござった。



 町まで馬を買いに行くブタ一行のメンバーの内訳は、リーダーのブタとたぬきのポコとうさぎのウサ、そして唯一の人間でエリートな騎士である老人の4人(?)PTだった。


 途中、山賊に襲われるたびに彼らはお金やお弁当を巻き上げ、焼け太りをしながら町へ向かっていた(……ひどい話だ)



 通称ブタ子爵家の家宰にして執事、また王国公認騎士でナンデモ係な呼称は「じいや」な老人と、お供のブタ、タヌキ、ウサギの設定で町へ来た。何も知らない人間への対策だった。




 町の門をくぐると、途端にジロジロと、村人が好奇なまなざしで一行を迎えた。



「やあねブタよ、ブタ」

「いやよね、臭いわ。近寄りたくないわ!」


 とりあえず、拙者は年頃の村娘たちにボロクソ言われた。


 ……が、


「きゃあ かわいい ウサギよ♡」

「きゃっきゃ❤」


 (´・ω・`) 見た目は可愛いけど、そのうさちゃんSTR(攻撃力)が255(カンスト)で酒癖めっちゃわるいでござるよ。


 ヒソヒソ (´・ω・)(・ω・`) やっぱり外見大切だね……タヌキとブタは拗ねていた。そう、同じ動物なのに……。世の中は極めて残酷だ。



「いくぞ、ブタ共!」

 老騎士はブタ達に言い放つ。


 (´・ω・`) ……想定通りの演技だけど、なんかヒドイ感じに聞こえるでござる。




 一行は町の中ほどに来た。


 老騎士たちは一軒の宿の門をくぐる。



「いらっしゃいませ!」


 カウンター越しに、白髪の老騎士にニコニコ顔な宿屋の主人。



「ゴホン。個室一つに馬小屋を3匹分、餌ありで!」


「まいどあり!」


 宿屋の親父は揉み手をしながら微笑む、金をだせということだった。



「お代だ!」


 老騎士は数えた銅貨をカウンターにばらまき、荒っぽい勇者を演じる。


 (´・ω・`) ……テレビ番組と違って、宿屋も飯屋も風呂屋もみんな前金。大変風情がないでござる。




 宿屋の親父が支払われた銅貨を明りにかざし、その真贋を見極める。


 ……拙者たちは背筋が凍った。



『やばいぶひぃ……』

『疑われているポコ?』

『銅は本物ウサ!』

『それがし、は、わからないが……』


 ……そう、この銅貨はブタ領製の真っ赤な偽物。ウサが掘り出し、ポコが類まれなるDEX(器用さ)で創った鋳型に流し込み、冷やしたものを拙者が土埃で汚したものだったでござる。


 宿屋の親父は目を細めて言った。



「これはハリコフ王国宮廷造幣局のタリル歴194年の良質なものですな」


 Σ( ̄□ ̄|||) ……やべぇ! なんだかいろいろ全然やばぃ!



「わかるかね?」


 白髪の老騎士はそううそぶく。


「わかりますとも。長い間商売をしておりますと、このなんていうか銅貨から古の造幣の息吹が感じられます。」


 Σ( ̄□ ̄|||) だめぽ~それは昨日インチキ鋳型でつくった最も新しい偽物でござるよ。


 むふ~ <(`^´)> タヌキが鼻息を荒げご満悦。



 主人はニコニコ顔で銅貨をカウンターの下にしまう。



「ぢいやよ、なんだか悪い気がするでござる……。」


「殿! 今の我々の手持ちは、ほとんどが偽銅貨ですぞ、辛抱なされ!」


 ……拙者たちはモゴモゴ言いながら、馬小屋に行くふりをして老騎士の個室に入った。



「ぽこー」

「うさー」

「ぶひー」


「皆様方、お疲れ様です」


 実はこの一行、もちろん人間様が一番偉くないパーディーである。

 が、人間社会においては社会的な信用のある騎士がいなければうまく事は運ばない。


 ……そう、悔しかったら狸もブタも兎も王国が定期的に開催する共通一次筆記騎士試験をうければいいのだ。

 もちろん将校養成学校なので信じられないほどの難関である。まず受からない……という作者のとっさの思い付きの設定だ(大盛り)



 ……まぁ、そんなことはどうでもよかった。


 そう問題は、この個室に唯一無二、この一個だけの【簡易ベット】だ。


 できればこれを優雅に独り占めしたいのが人情だろう。




 ……激しい戦いののち。


「ウサー!」


 STRカンストのちっちゃいウサギの大勝利だった。



 いつも殴り合えば結果は決まっている。

 が、人生の真の戦場において罵り合いをすることはまずありえない。


 ……老若男女を問わず、結局人類はコブシでしか語り合えあえないのだ(てきとう)



 うさぎ(STR255)は2匹と一人ををボコボコにして、真っ白なシーツと枕を独占しその栄華を満喫していた。友情とは?(哲学)



 負け組である一人と二匹は、とりあえず町へ来た目的を遂行することにした。

 途中ポコは偽造技術向上のためにスラム街へ音もなく消える。



 拙者と老騎士は騎兵部隊設立のための軍馬を購入することになっていたでござる。



「もし!」

「ブヒ!」


 馬屋の主人は身を乗り出して挨拶をした。



「これはこれは騎士様!」


 ……(´・ω・`) またもや拙者は無視されるでござる(嫉妬)



 じいやが馬屋の主人の注意を引き付けているすきに。


【システム通知】……【スキル】獣言葉を発動!



「ブヒブヒブヒ(誰が一番足速いの?教えて~♪)」


 そう、馬に直接聞く作戦、コストパフォーマンスの術!!



「ひひひーん!」

「ブヒ?……Σ( ̄□ ̄|||)まぢ? 」


「ブヒブヒブーブー? (誰が一番力持ち? 教えて~♪)」

「っひひっひーんひひ!」


「ブヒヒ? ……Σ(´・皿・`) マヂっすか? 」


 拙者は老騎士にことの成り行きを告げた。



「…… Σ( ̄□ ̄|||) 殿! まことですか?」


 実はこの馬屋の最高速を誇るスプリンターは、ここで寝ているでっぷりとした茶色い大きな牛。

 続いて、もっとも力がつよいのは、神経質そうに老騎士の足元でプルプル震えているガリガリに痩せた灰色のロバだった。


 ……かなり見た目によらない。ちなみにどちらも馬ではない。



 拙者は老騎士と相談して、牛とロバと馬10頭を購入したでござる。



 以下内訳……


【でっぷりとした茶色い牛】……銅貨5枚(約500円)

【やせっぽっちのロバ】……銅貨3枚(約300円)


【馬】10頭……銅貨3万5000枚(約350万円)



 馬屋の主人は、すべての支払いが銅貨という条件に顔をひきつらせたが、いつも寝てばかりの怠けものの牛と、いつも滅茶滅茶に食べるだけでその存在がよくわからない灰色のロバを引き取るという条件に狂喜したのだった。



 ……とりあえず、前金は銅貨500枚で残りは通称ブタ領にて引き渡しとする約定を結んだでござる。




 ……こいつらどんだけなんだ? (;’∀’)


 そのあとすぐに、半端なく昼寝する茶色いデブ牛と、爆食しまくる灰色のガチクソ痩せな

ロバに辟易することになったでござった。



「うさ~!(おかえり!)」


「ブヒブヒ」

「某も帰参!」


 拙者たちは宿に帰りのんびりしていたところ……。ポコが帰ってきた。



「ぽこぽぽこぽこ~♪」


 Σ( ̄□ ̄|||) ……ぇ?

 掘り出し物を手にいれたと、大変喜んでいるポコ。



【ミカンの汁で炙ると古の最強古代ドラゴンが出てくる羊皮紙】を手に入れたらしい。


 またか……(´・ω・)(・ω・`)(・ω・`) 


 (‘д‘⊂彡☆))Д´) ぱ~ん ☆

 ……タヌキはウサにシバかれて気絶した。



 一見弱点がなさそうなポコだが、最近はタヌキが良すぎて人間に騙されることが多いことが判明したのだった。

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