第九話…戦慄

……とういうことじゃよ。老騎士は誇り高くも滔々と述べたのだった。


 (´・ω・`;) 話が長かったでござる(たいくつ)




 老騎士が言ってきたのは、王国はいみじくも拙者たちの【領地】を認めてやるし【爵位】をやるから【租税】と【貢物】と【賦役】を課すとのことでござった。



 (´・ω・`)ノ そんなものいらないブヒ! 爵位やいろいろもろもろ返上で!(きっぱり)

 拙者たちは、すぐに【爵位】と【領地】の返上を願い出た。



 するとじいさん騎士はみるみる真っ青な顔になっていった。



「…そんな馬鹿な、大変な名誉ですぞ! 子爵様……。」

 ブタの中身がただの中学生なのは、知るはずもない人の発想としては正しかったのかもしれない。



「いりゃなぃぶひぃぃ~!」

「ぽこぉ~!」

「うさぁ~!」


3匹で吠え立てると、じいさん騎士はどこやらへ大急ぎで走り去っていった。





 ……数日後。



 ポカポカ日和の中、拙者たちはいつものようにサケマス漁(釣り)に精を出していた。



「ぽこぉ~♪」

「うさっ♪」

「ぶぃっ♪」


 晴れ渡る空の下、三匹ともご機嫌なのんびり日和だった。


 ご近所に住んでいるクマの若夫婦が干物にしたり西京漬けに加工してくれるのだ。

 とればとるほどオイシイ!



 そんなところへロバを連れた老騎士が再び訪れてきた。


「もし……」



 拙者たちは無視をした。

 『中身が中学生で外身がブタだってわかる。きっと彼の鎧の下はトンテキが食べたいだけの狼でござる。』……と。



「……お頼み申す……」

 

 悲嘆にくれた老人の顔のしわが汗で滲む。



「……この、この通り……」


 言葉を絞り出し、老人は膝を折り、そして額を母なる大地に擦りつけた。



「娘の……、娘の生活がかかっており申す……。」

 

 すでに拙者たちの空虚な意地は崩れていた。



 どうやら拙者たちの返上申し出により、拙者たちは【軍役】なるものを負担するだけでいいとのことになったでござる。

 無血で手に入る拙者たちの労働力への支配権を手放すのは惜しいと考えたらしいとのことだったでござるよ。


 が、【王命】なるものが達成できなかったのは、すなわち王様が無能だったことになるらしいでござる。

 王様が無能でないことを証明にするには、王命を達成できなかった臣下が無能ということにしなければならないらしいでござった。



 ……それはすなわち目の前の老騎士の責任というわけだった。老騎士は所領と家財と屋敷の没収の上に追放処分の下知が下っていた。



 も、もはや拙者たちも他人事ではござらん (;’∀’)



「で、拙者たちは何をすれば?」


 拙者のとなりではポコとウサが鼻水をすすりながら泣いていた。



「こ…この私を雇ってくだされ!ごふぉっ!」


 ……老騎士はせき込みながらにブタたちに嘆願してきたのだった。



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