第八話……光脈

――激しい宇宙嵐の中、セラミック複合合金でできた漆黒の巨艦が断末魔を上げる。

 濁流のように吸い込まれた指向性エネルギー同士が激突し、追加装甲板をも激しく波打たせる。それらを支える前時代的なリベット鋲たちが虚空の彼方へ弾き跳んでいった。その下から無骨な紋様を思わせる電子回路を覗かせ、最後の咆哮を光りの球とし滅した。



……以上、ガス状星系団【カ・メワーリ】において地球連合軍は、モメ・ントーキチ率いる銀河大帝軍をこのように右翼迂回軌道戦術によって破ったのであります。



パタン(教科書を閉じる音)


「宿題は今日の授業をルーズリーフ一枚にまとめて来週提出ね、以上!」


「起立! 気を付け! 先生ありがとうございました!」



「zzz……んが……痛っっ Σ( ̄□ ̄|||) 」


 地球史のマーチャン・アサイ先生の帰り際に放ったチョークが拙者の頭を直撃し、拙者は起きることになった。



「はわわぁぁ…(´Д⊂ヽ 今日も眠いな…給食まだかな? 」



 ……(´・ω・`) 今日の給食は魚肉ハンバーグだった。やっぱりハンバーグは豚と牛の合い挽きがいいな。





 ……今日も空は青い。

 リアルの空は核戦争の歴史の足跡が色濃いが、ゲームの中の空は極めてどす黒かった。



 びゅううう~ごごごおぉぉぉ~。



 海沿いの洞窟で拙者たちは暴風雨の中、ウサの監督のもと銅鉱石掘り。



「ね~ウサ~、こんな天気の日くらい【採鉱】サボろうよ!」


 (▼ω▼`メ) 「ガルルルルルゥゥゥウサウサ……(はやく口以外を動かせ)!」


 ……(´・ω・`) もはや、性格がうさぎぽくねぇ。




 拙者たちは掘り出した【銅鉱石】などを、丸太小屋の横の納屋に持ち帰り、丸太小屋付属の自販機にて買った【家庭用魔法高炉】にて精製をする。



 ……(`‐ω‐´) たぬきのポコが【魔法高炉(家庭用)】に火炎魔力を注入。

 出てきた銅を鋳型に流し込み冷やす。

 納屋は熱気で悶々としたが、出来た銅のインゴットは3匹の顔をほころばせた。





 それからしばらくして。


 ……ピコピコ…。

 拙者たちは今日は雨なので丸太小屋でゲームをしていた。すると。



 ……コンコン。

「誰か来たかな? 開いてますよ~♪」



 扉は結局拙者があけたが、雷雨の中一人の甲冑をまとった騎士然とした眼光鋭い初老の男が立っていた。


「……」

「ブヒ? 雨ですからどうぞ中へ」





――しばしののち

 三匹は初老の騎士の前に跪いていた。


「王命である。汝、ブルー・アイスマンをハリコフ王国辺境蛮族子爵に叙する。――全能で偉大なる王、レーデニウス・ハリコフ……はっくしょぃ!」



「ぶひぃ~」

「ぽこ~」

「うさ~」



【システム通知】 …… 【辺境貴族】になりました。


 きっぞくぅ~きぞっくぅぅぅ~♪ ひゃっほ~♪ ヾ(゜∀゜)人(゜∀゜)人(゜∀゜)ノ ぽこぶひうさ~♪



 豪雨は丸太小屋の屋根を激しく叩いていたが、中からは楽しそうな声がしていた。





 が、暫しののち……それは沈黙にとってかわられることとなる。


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