《第十二章》surprise
「……なんだよ……どうしてここにきたんだよ…」
トワは口を開きかけたが、その後の言葉に詰まった。確かに、どうしてトワたちはここまで必死になってメランを助けにきたのだろうか。彼とは出会ったばかりで、ただ話をして、喧嘩をして、謝ろうと思ってついて行っただけなのに。それはもう、自分の1番の親友を助けるような勢いで、2人は必死になっていた。「わからない」トワは単刀直入に、そう答えた。そう答えるしかなかった。メランは表情を一切変えず、座り込んでいる。「とりあえず、ここまできたからには助けないと。早く鎖を外そうよ。」セツナがそう言う。でもどう外せばいいのだろう。困惑していると、メランが口を開いた。「別にこのぐらい、自分で外せるんだけどな。」そう言ってメランは立ち上がり、一気に足で鎖を引っ張った。すると、いとも簡単に鎖がちぎれた。「こんな弱々しい鎖でオレを捕らえようなんて、舐めてやがる。」と言いながらもう片方の鎖もちぎった。「足……どうなってるの?」「……オレ元々足強いから……」「そうなんだ……」「ねぇ、早く逃げた方がいいんじゃない?研究員たち来ちゃうよ?」「……そうだね、メラン、いくよ」「……おう…」3人で来た道を戻っていく。さきほどよりも研究員の数は少なかった。またトワが圧をかけて飛ばしていく。気がおかしくなりそうだった。出口が見えてくる。「あと……もうちょっと……ん?」トワは気づいた。出口の前に、人が立っている。しかもその人には見覚えがあった。スピードを緩め、立ち止まる。そこに居たのは、
「久しぶりだね、トワくん」
満面の笑みを浮かべた、望月透だった。
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