《第八章》Apology

ぜぇ、はぁ…と息切れしながらなんとかセツナに追いついた。「ねぇ、見て!」トワはなんとか顔をあげ、目の前に広がる景色を見た。先の道は急な下り坂になっていて、その先に永遠に広がる草原と、一面に輝いている空の星と、、それだけだった。「きれいだね。セツナがいなかったら、こんな景色は見られなかったかもしれない。」「へへーん、それはよかった!」セツナはそのまま座り込んだ。「ねぇ、トワの過去は?」トワも同じように座る。「そうだったね。じゃあ話すよ。」


トワは全て話した。記憶が無いこと、名前を失った代わりに能力があること、施設に収容されていたこと、謎の研究員にたすけてもらったこと、そして脱出に成功し、逃げているときにセツナと出会ったこと。セツナは「うんうん」と相槌を打ちながら真剣に聞いてくれた。「そうだったんだね……」セツナは空を見上げた。トワもつられて空を見る。それぞれ違う輝き方をした星が並んでいる。沈黙が続いた。トワはもう一度草原を眺める。「ん?」遠くの方で誰かが立っている。「誰かいるね。」セツナも気づいたようだ。その人はだんだんこちらへ近づいてくる。黒い服を着ていた。男で、青色の髪の毛だった。するとこちらに向かって叫んできた。「おい!そんな高い所からオレを見下ろして何してんだ。早く降りてこい!」何だか聞き覚えがあるような、そんな声だった。「セツナ、どうする?」「ん〜、なんかよくわかんないけど、面白そうだし行ってみよ」

「え、行くの…?怖い……急に殴られたりしたら…」「そんな急に殴るような人には見えないよ」と言ってセツナは坂を降りていく。トワも恐る恐るついて行くことにした。


「遅かったじゃねーか」

彼は腕を組んで、こちらを睨んでいた。

「あなた、名前なんて言うの?」

セツナは怖いもの知らずなのか、怖がる様子は全く見られない。「あ?名前の前にまずオレから言いたいことがあるんだが」何かしただろうか……これから殴られるのか…色々な怒られる理由を想像しながら、次に耳に入ってくる言葉に、2人は衝撃を受ける。


「本当に……申し訳なかった……」

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