《Truth》

「…まただんまりかよ……驚いたか?」

残念ながら僕には続きが聞こえなかった。今僕の隣には、誰かがいる。その誰かがわからない。思い出せない。黒くモヤモヤした影が、自分に話しかけている。涙が地面に零れている。僕にはわからない。その存在も、涙を零す理由も。でも、一つだけ分かることがあるとすれば。その存在は…


懐かしくて、やっと会えた人


というように感じた。この夢は2回目。現実世界でも会うことができるのか。いや、会える。謎の自信に満ちていた。自分に何故その自信があるのか、そんなの知らない。でも、会えるんだと心が叫んでいる。

「また会った時に、ゆっくり話そう」

そう彼に告げた。彼はその場から一切動かずこう言った。


「現実は、そう甘くない」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る