《第三章》How to do

WIE…White Invisible Everlasting

僕が見た四角い画面には、確かそう書いてあった。どういう意味なのだろう。「とりあえず、自己紹介はここまで、あまりお話している時間が長すぎると他の研究員に見つかってしまうからね。」と言って彼は部屋を出ようとする。「ついてきて、色々と説明をするには場所が悪いから。」すると突然、施設内に警報音が鳴り響いた。脱出したことがバレたのだろうか。「しまった、トワくん、走るよ!」僕は言われるがままに急いで彼を追う。部屋を出ると、廊下に出た。所々に花が飾ってある。扉がたくさんあり、それぞれに部屋の名前が書いてあった。走っているので、部屋の名前を見る余裕もない。ついていくうちに彼は立ち止まって、ポケットから鍵を取り出し、すぐ隣の「倉庫2」と書かれた扉を開ける。「さぁ、入って。」

部屋の中の棚にはたくさんのダンボールがつまれていて、広くも狭くも感じないような部屋だった。「さて、今からここの施設の脱出方法について説明する。1回しか言わないから、よーく聞いておくれ。」頷く間もなく彼は説明を始めた。

「まずトワくん、絶対に研究員に見つからないように行動して欲しい。いいかい?細心の注意を払ってくれ。君が脱出したことがバレた以上、この施設から出ることも難しくなる。そのことをいつも意識しておくこと。次に、脱出経路について。ここの施設は三階建て、ここのフロアは2階だ。出口は1階、西方面にある。」西……。トワには方角がわからない。「何を不安そうな顔をしているんだい?君は外に出たいのだろう?研究員に見つからなければいい話さ。万が一見つかっても、君には能力がある。電流を使うんだ。研究員は絶対に動けなくなる。そして、今から簡単に道順を教える。全部覚えれなくても感覚でいけるさ、トワくんならね。」そう言って彼はポケットから取り出した地図を広げた。そして指でなぞりながら説明する。「今僕達はここにいる。この部屋を出て右へまっすぐ、そして突き当たりを左に曲がって、すぐ右手に階段があるはずだ。そこを降りてそのまままっすぐ進む。すると開けた場所にでる。そこがロビーだ。そしてすぐそこに出口がある。トワくんの能力で圧をかければ、その扉は開くはずだ。以上!何か質問はあるかい?」途中で迷ってしまわないかすごく不安だ……。僕は軽く深呼吸をした。「トワくん、頑張ってね。途中で困ったことがあれば、周りを見渡すんだ。そして状況を把握しろ。君ならできると信じているよ。早いけど僕とはもうお別れだ。」いや、待てよ……。「ち、ちょっと待ってください!」彼は首を傾げる。「僕は……僕は外に出たら…一体何をすれば…いいんでしょうか……」彼は深く考えたあと、微笑んでこう言った。


「君の好きなことをすればいいのさ。」

「君はもう、1人じゃない」

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