《第二章》challenge
また白い部屋。出口までたどり着き、床下から顔を出した。部屋の隅だった。ただ今度は物がたくさんある。見覚えのあるようなものから見たことの無いものまで、たくさん。キョロキョロしていると、目につくものがあった。なにやら四角い画面にたくさんの文字がつらつらと並んでいる。目を凝らして見ているうちに、何かがこちらへやってくる気配がした。危機感を覚え、床下に潜る。足音がしだいに大きくなっていく。自分の心音も聞こえてくる。扉が開いた。誰かが入ってくる。バレないように音を立てずに部屋を覗いてみる。白衣を着た男性だった。研究者の一人だろう。歳は見た目で40代ぐらいだろうか。彼は椅子に座って、机の上でカタカタと指を動かし始めた。しばらく様子を見ていると、「あ!」という声がした。すると彼は立ち上がって、ゆっくりとこちらを振り向こうとした。それに気づいたトワは、床下に潜る。牢獄から脱出した事がバレたのだろうか。そもそも監視カメラなどあったのか。真っ白な部屋だったので、あったとしても絶対気づくはずだ。彼はゆっくりとトワの方に近づいていく。もうだめだ、バレたらまたあの部屋に戻される
と思い、来た道を引き返そうとしたその時、
「やぁ、ひさしぶり」
驚いた。それが自分にかけられている言葉だということにも理解が追いつかずに。ひさしぶり?
僕は彼と会ったことがあるのか?「君はトワくんだね、よくあの部屋から出られたね。ま、出られるようにしたのは僕なんだけど。」どういうことだ?「あなたは…誰、ですか…」「ん、覚えていないのかい?あ、そうか、君は記憶を…いや、なんでもない」僕に隠したいことでもあるのだろうか。彼はゴホンと咳払いをして、もう一度話し始める「やぁ、トワくん。自己紹介をしよう。僕は望月透、42歳……」
「この、WIEという施設の研究員だ」
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