激突——ロリvs実力隠し②
「……内田智樹。貴様にこれといった恨みはないが、陰月の一番の友人らしいな。悪いが、美沙様の頼みだ。我々の言うことを聞いてもらう」
「へぇ。なるほど、そうきたのか」
陰月礼人と、赤羽美沙の一悶着があってすぐのことだった。
一際体のごつい石川とその連中3、4人組は、陰月礼人の唯一の友人であろう内田智樹に接触を図っていた。
他に誰もいない屋上に呼び出された内田はふぅと一息つく。
「さて、どうしたもんかな」
顎に手を置きながら小首を傾げる内田。最も面白い展開は何なのか。陰月のかっこいい姿をみれるためには一体どうすればいいのか。
ここは、俺が負けた方が盛り上がる……か?
一瞬、そんな考えが内田の頭をよぎったが、———いや、ここはあのロリお嬢ちゃんを追い込んだほうが面白くなりそうだ。
すぐにその考えは脳内で払拭された。内田はニヤリと不敵に口角を上げながら、図体のでかい石川に目を向ける。
「……あぁ、あんたら運ないな」
「あ? 何を言っている?」
「ちなみに、聞くが俺に何をしてほしいんだ?」
「陰月礼人との接触を絶ってもらう」
なるほど。そんなの………
「無理に決まってるな」
内田智樹にとって、陰月礼人の存在はつまらない学園生活を忘れさせてくれる唯一の存在。
あんな面白いやつを放っておけだと?
ふっ、笑わせるなよ。
「断ったらどうなるか、なんて決まってるか」
「貴様の実力はもう把握済みだ。諦めろ、内田智樹」
「やれやれ。学校教員に訴えたらなんて考えないのか?」
「その辺は美沙様が何とかしてくれるからな」
いや他力本願だな、こいつら。
まっ、しゃーない、相手してやるか。
内田智樹は、ふぅと一息吐くと構えの姿勢をとる。
「……お前ら、退屈させるなよ?」
目を細めると、そこには表側の内田智樹ではなく裏側の内田智樹がいた。
「ふっ。それはこちらのセリフだ」
互いに構えの姿勢に入る。暴力を振るうのは好きではないが、まぁ自己防衛だ。致し方ない。
さて、お手並み拝見といこう。
「それじゃあ、いくか———」
内田がそう言って拳を突きつけた瞬間。
『ガチャリ』
不意に屋上の扉が開かれた。そして、そこには何やら二つの影が。
いや、何でお前らがここで登場してくんの?
そこにいたのは、夢島と暁であった。
「「私たちが陰月くんを守るんです!」」
いや、そこは内田だよな? 俺やないんかーい。
思わず突っ込んでしまう内田であった。
♦︎♢♦︎
な、何故だ。何故、ここで邪魔が入る!?
あいつらは確か夢島と暁。
美沙様からの情報だったが、確か相澤とかいう男と一緒にいて心配無用だったはずだ。
い、一体何が……。美沙様の情報は絶対。狂いなどないはずだ。
それなのに、どうして……。
大柄な男、石川は頭の中が混乱に満ち溢れていたのであった。
♦︎♢♦︎
夢島と暁に頼らざるを得なかったのは癪だがまぁこの手がいいだろう。
屋上のすぐそばにある階段にて。陰月礼人は一人思考を巡らせていた。
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