激突——ロリvs実力隠し

「……赤羽さんって今いますか?」

「え、美沙様に何か用ですか?」


 様づけ?? 何かこのクラス変だな。


 南の変貌ぶりからすぐのこと。

 俺は、赤羽美沙の所属するクラスへとやってきていた。


 ……だが、何やらこのクラスからは異質な匂いがする。


 匂いと言っても、嗅覚の方の意味ではない。

 本能といえばいいのだろうか。とにかく変な感じがする。


 まぁ、赤羽のクラスメイトが赤羽のことを様づけで呼んでいるのだ。ここからすでに変、異質といえる。


 現に、目の前の男からは赤羽の名をだしただけで不可解な顔をされた。


「……陰月礼人がきた。そう伝えてくれればいい」

「…………」


 目の前の男は、怪訝な顔つきながらも無言で教室内に入っていく。変な抵抗はされなくてよかったと少し安堵した。


 しばらくすると、『ふふっ。きてくれたんだ〜待ってたよ〜』という甘ったるい声を漏らしながら彼女ロリは廊下へと出てきた。


 背後には何故かちゃっかりガタイのいい男が4人ほどついている。


 ボディーガードのつもりだろうか。何にしてもやはりこのクラスはどこか変だ。


「……南の様子が急変したのは、お前の仕業なんだな?」


 俺は、ボディーガード達に一瞬目をよせたが無視して口を開いた。

 すると、途端———。


「……貴様ぁぁぁ」


 低音の叫び声と共に、顔面に素早い正拳突きが飛んでくる。

 顔面にクリーンヒットしかけたところで——


「やめなさい♡石川」


 彼女の甘くも貫禄ある声で拳がギリギリのところでピタリと止まった。

 ビュンッと風が顔にくるのを感じる。

 意外と涼しいもんだな。


「……ふふっ。石川がごめんなさい♡」

「いや、別に」


「……けど、石川が殴りかかったってのに君、表情ひとつも変えなかったね〜♡。ふふっやっと本気出してくれる感じかな?」


「ただ話をしにきただけですよ。どうすれば南は元の状態に戻るんですか? 彼女、ずっと怯えてる感じで……こっちも大変なんですよ」


 大変だという主な原因は相澤からの叱責である。

 南の震えがとまらず、ビクビクしているのを見たあいつは何故かそれを俺のせいにしてきた。


 お前はまだ夢島と暁の攻略がまだだろ。


 と、内心でずっと突っ込んでいたが。まぁ面倒にこしたことはない。はやいとこさくっと南には元の状態に戻ってもらいたい。


「……なるほどねぇ♡。でも、まだ足りないなぁ〜」

「足りない??」


「ふふっ。だって君まだ余裕そうだもんね〜♡本気出してくれるって聞いてるのに、はぐらかすし〜」


 いや、さっきから周りの視線が凄いことにこのロリは気づいてないのか?


 こんな大衆の前で、はい! 実力だします!

 なんて言うわけないだろ。


「…………」


 俺がどう言ったものか、悩んでいるとそんな俺をみた彼女はクスクスと笑みを浮かべた。

 小悪魔的……いや、これはそんな生ぬるいものではい。


 まさしく、悪魔の様な顔つきで彼女は言ってきた。


「もうね♡私に目をつけられたが運の尽きなの。さぁてと、次は一体誰を潰そうかしらね〜♡」


 さぁてと、じゃあ俺はどいつから潰そうかなぁ……。


 俺はロリを無視して、ボディーガードの方へと視線を向けた。


 ふっ。退屈させるなよ? 

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