そして、物語は動き出す。
生徒会書記に絡まれたあの日から、早一週間が経った。
南の様子も、その他のクラスの様子も特に変わったこともなく、つつがない平和な毎日を過ごしていたのだが。
今日。ついに、この女が動き出してきた。
「ねぇ〜。君って大したことない感じ〜。観察に徹してたのに、それらしいことしてないじゃん」
生徒会書記のロリ、赤羽美沙である。
彼女がいうには、ここ一週間は俺への観察に徹していたということらしい。
だが、そんなことはお見通しなんだよな。
だって、あからさまに俺にちょくちょく絡んできていたのだから。
「はぁ。だから、俺は大したことない人なんですよ。なので、俺にちょっかいだすのはやめてもらってもいいですか?」
「ん〜。でもね〜。あの美幸が、関心持ってるってことはそれなりのレベルじゃなきゃおかしいんだよ。だ・か・ら♡」
甘ったるい声をだして、身をこちらに乗り出してくる桃色ポニーテール。
「……なんですか?」
俺が催促すると、彼女は待ってましたと言わんばかりに口をひらいた。
「……もう様子見なんかやめて、あの南っていう可愛い女の子に手を出そうかな〜なんて♡」
「南は関係ないですよ」
「嘘だー。だって、毎日彼女とつるんでんじゃん! それに、彼女に手をだしでもしないと君は力だしてくれないみたいだし〜♡」
「……はぁ。まぁ、好きにすればいいんじゃないですか。俺には関係ないですし」
「……へぇ。なら本気でいこうっと」
突如、彼女の瞳からハイライトが消えドス黒い声音に変わる。
だがまぁ、彼女を敵視する必要はないだろう。正直言って脅威とはなり得ない。何故なら、南。
彼女はもうかなりの実力者だと言えるからだ。ここ数日間面倒を見てきたが、俺の目から見ても彼女はもうある程度のレベルまでは来ている。
だから、俺が手を出さないまでもきっと南なら問題ない。
俺はそう判断した。
「どうなっちゃっても知らないよ〜♡」
「……それはどうですかね」
生徒会書記のロリに対して適当に流す様に発言して互いに踵を返す。
その際。
「あぁ……どう壊してあげようかなぁ〜」
とか言って、愉悦に浸る彼女を確認すると俺は胸中で突っ込まざるを得なかった。
いや、この女……見た目に反してサイコパスかよ。
♦︎♢♦︎
「……私、生徒会にはいる。もう、貴方の指示に従うのやめる……」
南が俺にそうはっきりと、告げたのはその日を跨いだ翌日の出来事だった。
やばいな。正直、彼女を見くびっていた。
俺は瞳を細めながら、あのロリを潰そうと決意した。
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